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【2019年12月16日】討論:市職員の給与改定と議員のボーナスアップ

前回記事はこちら
今回は、本年の議会最終日、つまり12月16日月曜日の「討論」で読み上げた原稿を、下段で公開します。
「討論」と聞くと、議員同士の活発な意見交換を思い浮かべられる方も多いかと思いますが、議会の「討論」は「演説」とほぼ同義です。
本会議の場において、どんなタイミングで「討論」を実施するか、というと、この場合はざっくり以下の手順のとおりです。

  1. 議会の最終日、委員会で詳しく検討された議案が、各委員会の委員長により報告・上程される。
  2. 上程された議案に対してなされる「質疑」を実施。
  3. 個別の議案について、賛否表明とともに、その理由を述べる「討論」を実施。
  4. 上程された議案の採決。

よって、以下の「討論」原稿は、上の「3.」のタイミングで読み上げました。「討論」を実施することの趣旨は、「この議案は、こんな理由や背景があるから、議員の皆さん、ぜひ賛成(反対)してください」という、いわば自分以外の議員に対する「最後のお願い」です。

しかし、いかんせん「討論」を実施する前の段階で、すべての議員が「どの議案に賛成(反対)するか」をおおよそ決めているので、この「討論」によって賛否がひっくり返る、ということは、よほどのことがない限りありません。

ではなぜ実施するのか?というと、一つは「そうは言っても、議員中一人でも意見を変えてくれるかもしれない」という期待。さらにいえば、賛否は変えないまでも、自分の「賛成(or反対)」が、本当に市民のためになっているのか?を最後に考えてもらうだけでも、意味はあるという点。そして最後に、「自分はこう思っている」と、議会、執行部、及び市民の皆さんに宣言する、という覚悟の表明でしょうか。それでは、一部読みやすくするために小見出しを付けますが、原稿は読み上げたものに手を加えず公開します。


討論:議員のボーナスアップに「反対」、市の一般職員の給与改定に「賛成」

議席3番髙橋とみおです。
議案第9号「議会の議員の議員報酬及び費用弁償等に関する条例の一部を改正する条例の制定について」に反対
議案第11号「一般職員の給与に関する条例等の一部を改正する条例の制定について」に賛成
の立場で討論いたします。

◆市議会議員のボーナスを上げる議案に「反対」する理由

まず、議案第9号であります。
本議案は、簡単にいえば佐倉市議会議員の期末手当、いわゆるボーナスをあげる目的の議案であります。
本議案には、前回の市議会議員選挙で、28枠に40人以上の候補者が立候補したことから、市議会議員の給与については現状で十分であるとみなされること、また、議員削減により議会費用の総額を減らそうとする私の政策が達成されていない状況であることから、本議案については反対いたします。
議員は政治家であることから、政治主導で給与や期末手当を据え置く判断をすることについては、特段の問題はないと考えます。

◆市役所職員の給与改定を実施する議案に「賛成」する理由

次に、議案第11号であります。
本議案は、佐倉市において、人事院勧告に従い、一般職員の給与改定を行おうとするものであります。

まず、佐倉市にかかわらず、地方公務員の給与は、地方公務員法に基づき、民間企業従業員の給与との均衡を考慮して定めるとともに、社会一般の情勢に適応するように、随時、適当な措置を講じなければならない、とされています。

また人事委員会勧告は、職員の給与水準を民間企業従業員の給与水準と均衡させることを基本として行っており、佐倉市でも常に当該人事院勧告に従い、毎年給与の改定をしているところであります。

例えば平成21年から23年までの3年間、佐倉市職員の給与は削減し続けましたが、これも人事院勧告に従った結果であります。

以上のとおり、社会一般の情勢に適応するように、給与設定を随時改定する必要から設定された人事院勧告を度外視した政治主導の給与の査定は、しっかりした計画なり方針があってなされるべきであり、厳に慎重を極める行為であると考えます。

さて、本議会において、本議案に反対される意見が、一部の議員から表明されました。

その理由の一つとして、平成30年度の総務省統計から、職員の平均給与月額が千葉県内で3位であることがあげられていました。

他方、同じ調査の「職員1人当たり諸手当月額の内訳」を見ると、佐倉市職員の時間外勤務手当は、月平均40,633円で、千葉県内で4位であり、執行部の説明のとおり、職員の平均給与月額を押し上げる大きな要因の一つになっていることがうかがえます。

それを裏付ける数字として、時間外勤務手当を含む「諸手当月額」を差し引いた「平均給料月額」は、ラスパイレス指数と同じ県内9位であり、これは佐倉市の人口規模が県内10位であることを考えると、給与設定自体が他市と比べて高いわけではないことがわかります。

またさらに調べたところ、平成30年度の千葉県の資料で、職員一人あたり人口、つまり佐倉市の人口を、職員の数で割った数値は、総職員では千葉県で2位でした。

また、平成27年から平成30年までの期間の総職員における増減をみると、佐倉市の増減率は1.1です。これは、千葉県の市の平均である5.9と比べると、ずいぶん少ないことがわかります。

以上を概観したとき、佐倉市の総職員における職員一人あたりの人口の数が多いために、時間外労働が多くなっている可能性が示唆されます。

今後、行政の大半の業務である、デスクワークにおけるPC上の操作を自動化するロボットいわゆるRPAツールや、データ分類、チェック、確認とその承認などの属人的な知的業務を自動化するAIの利用が加速していく中、市の職員数を増やすことには慎重になるべきであり、「極力職員数を増やさない」方向がうかがえる佐倉市の人材戦略には、基本的に賛成いたします。

職員一人当たり人口が多い中ではあるものの、佐倉市の厳しい財政状況を考えたとき、私としては業務の効率化や人員配置の最適化により、引き続き極力市の職員の時間外労働を減らす努力を求めたいと思います。

そのような過渡期の厳しい状況において、人事院勧告という外部機関の勧告を度外視した政治主導による職員給与の締め付けは、行政運用においてもマイナスになると考えます。

市役所の仕事は、一義的には市民サービスです。
児童や高齢者や身体の不自由な方に対する福祉、ごみ収集、防災対策に災害復旧、農業や都市計画など、数え上げればきりがありません。

行政は、人であります。

以上から、議案第11号に賛成いたします。

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