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【2020年3月4日】一般質問:佐倉市の防災対策について(印南地区について等)

これは、私が「財源の使い方」として具体的にあげた公約のうち、サイト上ではTOPに書かれている災害関連の質問です。

昨年佐倉市を襲った大型台風の前の6月議会で、私は避難所の「飲料水の備え」、「電力の備え」、「財政の備え」の3つの十分な備えとあわせ、「実践的防災訓練」が必要だと訴えました。

そのうち、「飲料水の備え」、「電力の備え」の二つについては、本訴えにより、令和2年度の予算にて佐倉市で備えが開始される運びとなりました。「命を守る」という観点ではまだ十分とはいえませんが、備えがなされたのは喜ばしいことです。

今回は、前回の6月議会での質問に踏み込んだ点とあわせ、とりわけ顧みられることが少なかった「印南地区」に関する防災の不備に関して訴えました。

要点は以下のとおりです。

  • 昨今、佐倉市周辺でも地震が群発しており、備えの拡充が急がれる。
  • 佐倉市には指定避難所以外にも、市民が逃げ込む避難所が別途指定されているが、それらのマニュアルの整備が必要である。
  • 指定避難所でのペットの扱いが不明確である。ペットについても、ある程度「どこに」という明記があることが、避難所でのトラブル回避にもつながるので検討してほしい。
  • 印南地区の高台住民は約5000人だが、当該高台に避難所がない。指定避難所である印南小学校・臼井中学校は、どちらも坂を下る必要があるうえ、とりわけ印南小学校は通学路に土砂災害警戒区域がある等、逃げ込む際に二次災害に遭う危険性もある。
  • そこで、印南地区の高台在住者のため、臨時避難所を江原台自治会館や青少年体育館などに設定してもらいたい。また、両施設には、避難所として井戸と非常用電源の確保をお願いしたい。
  • さらに、江原台自治会館は耐震構造に心配があるため、しっかり確認のうえ、必要ならば適宜耐震補強をお願いしたい。
  • 災害対応は、事後時系列で「いつ・だれが・どのように」対応したのかを確認できる資料の整備をお願いしたい。
  • 危機管理室や福祉関連の人員が恒常的に不足しているように見受けられる。事務などは電子化に取り組む等の最適化をはかり、メリハリのある人員構成の確立を急がれたい。

以上です。下記は一般質問時に読み上げように仕上げた原稿です。


防災対策について

2月1日土曜日、午前2時07分頃、関東地方で最大震度4を観測する地震がありました。それ以降、体感できる規模の地震が増えてきています。

自助という観点でいえば、水の備えはどうだったか、1週間耐えられるだけの食料、光源や熱源、電気、トイレ、通信手段など、私も我が家の備えを改めて点検したところです。
また地震の折、万一家が倒壊したり火災にあったりした場合の逃げ込み先や避難所での生活についても、思い起こさずにはいられませんでした。

◆臨時避難所等のマニュアル整備とペットの避難

さて、佐倉市には、災害対策基本法第42条に基づいて、「佐倉市域防災計画」が策定されています。その中で、災害時のための施設として記述されているのが
指定緊急避難所、指定避難所、福祉避難所、臨時避難所、医療施設、救護所
となるかと思います。
指定避難所に関する運営マニュアルはすでに整備され、Web等で公開されております。しかし、市民が運営に係る可能性が高い福祉避難所や臨時避難所についても、指定避難所とは役割、位置づけ、備蓄品の有無や配給方法などに違いがありますので、それぞれ運用マニュアルの整備と公開が必要と考えます。本件については、要望としてお伝えいたします。

また、その流れの中で、市民の方より避難所におけるペットの扱いについて質問を受けております。本件は久野議員の質問にもございましたが、改めてうかがいます。
市のWEBでは、「ペットの同行避難とは、避難所におけるペットの同居を意味するものではありません。」とあります。具体的には、ペットは避難所の建物内の別部屋に入ることができるのか、屋外なのか。もちろん、その時々の事情により変わるものですが、人が入る避難所が体育館を想定しているのと同様に、ペットも「どこに」という点をある程度明確にしておくことが、市民の安心や無用なトラブルの元を断つことにつながると考えます。

以上について、執行部のお考えをお聞かせください。

佐倉市答弁

危機管理室長(栗原浩和):
避難所運営マニュアルでは、臭気、衛生、鳴き声の問題やアレルギーのある方への配慮から、避難スペースからある程度離れた場所で、かつ指定避難所の建物外で雨風をしのげる場所に飼育場所を設定することとしております。しかしながら、昨年の災害のように雨風が強い中、この条件を満たす場所を確保することが困難であります。現在、ペットの同行避難につきましては、避難所施設内での場所の確保など、他市の対応などを参考に関係機関との調整を図るとともに、国、県の指針などを注視いたしまして検討してまいります。

ありがとうございました。引き続きご検討いただき、まとまりましたら広報をよろしくお願いいたします。

次に、防災無線についてであります。避難勧告や避難指示の際、佐倉市では防災無線が整備されています。佐倉市ではデジタル改修工事に伴い、44局の子局増設を行い、屋外子局が155か所になりますが、無線放送をする放送局自体と放送局の電源のバックアップはありますでしょうか。

佐倉市答弁

危機管理室長(栗原浩和):
佐倉市防災行政無線の放送施設は、市役所内の危機管理室に設置されており、停電に備えまして非常用発電機を装備しております。また、佐倉市八街市酒々井町消防組合消防本部にも放送することができる遠隔制御装置がございまして、同じく非常用発電機を設置してございます。

ありがとうございます。

無線のデジタル化が進捗していることは存じ上げておりましたが、電源のバックアップ及び放送局のバックアップについても、既になされているということで安心をいたしました。東日本大震災の折には放送局自体が被災して放送ができなくなったというお話を聞いておりましたので、質問させていただきましたが、安心をしたところでございます。

◆印南地区の現状と要望

次の質問は、大震災の折の避難所に懸念のある印南地区についてであります。
印南地区の住民の大半が想定している指定避難所は印南小学校ということになりますが、ご案内のとおり江原台、江原、江原新田、第二江原、角来の一部の住民は、印南小学校からみれば比高差が約20mある高台に住んでいます。
本年1月の統計を見ると、角来地区を除いたとしても、世帯数でいえば2170世帯、人口4760人が先の「高台側」に住んでいる状況です。

私が昨年6月議会にお話したとおり、それら地域から印南小学校までは、狭く急な坂道を下る必要があり、高齢者や足の不自由な方が徒歩で逃げ込むには困難を極める立地です。
さらにこの坂道は、北側に急峻な崖を背負っているため、そもそも震災などの折にがけ崩れが発生する可能性も高くあります。印南小学校が指定避難所として適切かどうか、さらにいえば、小学校の立地として適切かどうか、という点ついては、昨年6月の一般質問に引き続きまして、再度大きな課題であることを指摘させていただきます。

さて、印南地区の高台側の住民にとっては、印南小学校が指定避難所となっている点については、先に説明したような懸念があり、各自治会をはじめ住民の皆さまから様々なチャンネルで不安である旨声をいただいています。

他方、割り振り可能な佐倉市の職員数の制約、予算の兼ね合い等から、指定避難所を増やすことには慎重にならざるを得ない状況であることも承知しております。

以上から、主に印南地区の高台在住者のため、例えば臨時避難所を江原台自治会館や青少年体育館などに設定いただきたく要望いたします。

またその場合、先のとおり臨時避難所の位置づけや運営マニュアルなどをしっかり整えておく必要性があるのはもちろんですが、それ以外に、最低限の水・食料・スマートフォン等の電源として自然エネルギーによる非常用電源の確保、が必要であると考えます。特に、水と自然エネルギーによる非常用電源については、井戸と太陽光由来の電源を前提とすれば、ほぼイニシャルコストだけで整備が可能ですので、特別の理由がない限り避難所に設置が必要ではないでしょうか。 また、井戸を掘る場所については、先に臨時避難所として指定をお願いした江原台自治会館や、江原にある青少年体育館のグラウンドが想定されますが、以上の点について執行部のお考えをうかがいます。

佐倉市答弁

危機管理室長(栗原浩和):
江原台、江原新田、江原地区の高台にお住まいの方々の最寄りの指定避難所は、印南小学校、臼井中学校でございます。いずれも、高台から避難所の途中に坂道があり、お年寄りの方には避難の利便性は高くないものと認識いたしております。議員ご提案の江原台自治会館や青少年体育館を臨時避難所として指定することにつきましては、備蓄品を収容する倉庫や配備職員の確保、立地場所が土砂災害警戒区域となることや、耐震性の問題などの課題がありますことから、臨時避難所としての指定は難しいと考えております。しかしながら、指定避難所へ避難する途中での一時避難場所として活用することも考えられますことから、今後さらなる検討を行ってまいります。
なお、江原台自治会館や青少年体育館への防災井戸の設置につきましては、現在計画にございません。
(2022年1月13日髙橋注:防災井戸については、印南地区の高台エリアが、防災井戸のある指定避難所へのアクセスが困難なことから、江原台自治会長と私とで西田市長に事前陳情にうかがったという経緯があります。その折、市長は高台のいずれかの場所に設置することを自治会長と私の前で約束したにもかかわらず、以上のような答弁となったことを履歴として追記しておきます。)
また、指定避難所における水の備蓄や非常用電源の確保につきましては、ペットボトルやソーラーパネルによる充電可能なポータブルバッテリーを順次配備するため、令和2年度の当初予算案として本議会にご提案しているところでございます。

(2022年1月13日髙橋注:以下黄色網掛け部分は、時間の都合上実施していない質問ですが、今振り返ってみると、質問を控えたことは失敗だったと反省しています)

本件は、印南地区が私の地元だから言っているわけではありません。
冒頭ご説明したとおり
・4760名の住民が、避難所から観れば比高差20mの高台に住んでいる
・ 通学路には、土砂災害警戒区域に指定されている崖を背負っている
・ 周囲を浸水想定区域に囲まれている避難所
・ 井戸の水は、飲料に適さない
このような課題を抱えた避難所であるから、高台側4760名の命のために、せめて臨時避難所の指定を、というお願いです。
そのような状況を踏まえ、市長から改めてご答弁をいただきたく思います。

今、一時的な避難所というお言葉をいただいておるところでございますが、佐倉市の避難マニュアル、地震の場合の14ページ、ステップ6には指定避難所以外の施設に避難した場合、救援ができないので、指定避難所以外への避難は避けてほしいというような記述がございます。それ以外にも、指定避難所以外の臨時避難所という記述がありながら、こういう表記があるのは(表記に矛盾があるために)、その辺の整備をしっかりといただければなというふうに思っております。

次に、青少年体育館については、日を置かず、沢山の子どもたちが剣道場などとして利用しています。市の施設である以上、早急な耐震構造の確認が必要であり、必要に応じてしっかり補強いただきますよう、強くお願いいたします。

また、井戸について。人間は48時間水を飲まなければ、体力のある大人でも失神状態になり、72時間で死を迎えます。関西大学大学院の古林智宏氏の論文によれば、東日本大震災の折には、被災地では食料や飲料水等物資の著しい不足が3月11日から4月まで続いた、とあります。
自助、共助によりしのげる期間は限られています。手当しておけば亡くなることがなかった市民を出さないためにも、今後前向きにご検討くださいますようお願いいたします。

◆災害後の経過履歴ログについて

また、災害時の事後処理として、災害発生時から終結までの時系列での経過履歴の整理フォーマットが必要ではないかと思います。

具体的には、災害発生から、災害対策本部が立ち上がったタイミング、市長が当該本部に入った日付と時間、指定避難所の開設決定、非常事態発生とその時間、被害状況等を書き込む備考欄、またそれらの終結と総括。膨大なものにしてしまうと、資料作成だけで職員が疲弊してしまいますが、ある程度時間の流れと全体像がわかる資料を残すことで、一つの災害の振り返りが可能となるかと思いますが、本件について執行部のお考えをうかがいます。

佐倉市答弁

危機管理室長(栗原浩和):
危機管理室では、昨年の台風15号、19号、10月25日の大雨につきまして、災害時の刻々と変化する状況への対応や災害対策本部の会議録などを時系列で整理しておりまして、これらの記録を基に検証を行ったところでございます。今後、検証した結果をお知らせいたしますとともに、抽出された課題解決に向け、できることから順次取り組んでまいります。

ありがとうございます。時系列での振り返りができる資料を作られているということで、ありがとうございます。

国交省が、行政の罹災前の事前計画であるタイムラインというものを作成することを推奨しているということを学びました。事前計画であるタイムラインと、いわゆる事後のタイムラインを見比べることができれば、より市民の方々にとっても、開かれた、透明性の高い行政が実現できるかと思いますので、そちらも引き続きご検討のほどよろしくお願いいたします。

◆危機管理室の人員計画

次に、佐倉市役所の人員配置の今後についてうかがいます。

昨年の台風が温暖化由来のものである可能性や、予想される大震災、新型コロナウイルス対応などの世界的な疫病対策など、市民の命を守るべき危機管理室の役割は増大しているものと推察します。同様に、高齢化が進捗する状況の中、福祉関連部門の人員もより必要になってきます。
その場合、人員配置をメリハリのあるものに改編できる可能性のある技術の一つが、RPA等を用いた事務処理の簡略化です。例えば、東京都では5つ局で、通勤届の作成支援、人件費支出科目のデータ登録等、RPAの活用効果が高いと想定された29業務が選定され、実験導入をいたしました。本件での効果は、年間ベースで計438時間の縮減効果があり、縮減率の平均は66.8%だったそうです。また、市町村でもさいたま市や浦安市をはじめとする多数の市で、事務処理にRPAを導入しはじめています。本件については、本議会でも、齋藤ひろゆき議員や石井議員をはじめ、複数の議員から提案がなされていることを申し添えます。
さらに、今般の議決事項である草笛の丘等の他、サポートセンターなども、指定管理者制度に戻し、人員を必要な部署に振り分けるような人員計画が必要と考えます。
できる限り、ロボティクスでできる事務や、外部リソースでできる施設運用などはそちらに任せて、計画立案やマネジメントに注力すること、機動的に動かざるをえない危機管理や福祉事業など、職員でなければできないことにヒューマンリソースを厚くしていくことが、税収減少が避けられない今後の市政運営には必要かと存じますが、以上から佐倉市の人員配置の今後について、執行部のお考えをうかがいます。

佐倉市答弁

市長(西田三十五):
今後、人口減少や税収減少が見込まれることから、新たに職員数を増やして行政需要に対応していくことは困難であり、現在の職員数で弾力的に人事配置を進めていくことが必要であると認識しております。今後は、行政改革を積極的に進めていく一方で、災害発生時の危機管理など重点的に職員を配置できる体制の構築を図ってまいります。

ありがとうございました。市職員の限られたリソースを最大化するために、業務効率化と人員配置の最適化については、引き続きしっかりご検討くださいますようお願いいたします。

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