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佐倉市コロナ交付金の手続き上のミスに係る損失と経緯の報告

◆目次
2022年3月28日:佐倉市コロナ交付金の手続き上のミスに係る損失に関する議会討論原稿の公開
佐倉市コロナ交付金問題:類似事案を発生させないための方策の検討


※2022年4月6日追記:現在ネット等で「総額約5億3千万円」という金額が一人歩きしています。国に対する返還額は確かにその通りですが、佐倉市が一般財源を補填しなければならないのは、その内約4億2500万円です。よって、佐倉市の財政的損失という意味では約4億2500万円とお考えください。


佐倉市において、いわゆるコロナ交付金に関する事務上のミスにより、約4億2500万円の財政的な損失が発生しました。

佐倉市の行政を監視する役割である議員にも、その責任の一端はあります。

この度は、誠に申し訳ございませんでした。

今年度は、本件の他にも類似案件があり、これは明らかに私たち議会を含む気の緩みが大きな原因です。今後このような事案が発生しないよう、細心の注意をもって議会活動に臨む所存です。

今回の件は、3月29日に千葉日報でも記事になったほか、各種報道機関でも伝えるところですので、佐倉市議会議員として本件についてお伝えします。

本論考を読んでいただくにあたって、お願いしたいことがあります。

これをお読みいただいた方の中には、さらに追加で確認したいことがでてくるかもしれません。しかし、今佐倉市役所では「この問題を二度と起こさないための対策」とあわせ、新年度の準備等で忙殺されています。また加えて、仮に佐倉市役所にお問合せされたとしても、ここで書かれた以上の内容はほとんど回答できないはずです。

私としては、まず佐倉市でおきた重要議題に関する報告をする必要性からこの記事を書きました。また、まず先にこの問題の事実関係の整理や、発生経緯を詳細に伝えなければ、自分が考える課題や対策について正確にお伝えできないと思ったために書きました。よって、この内容の一切は私の責任において書いています。もしどうしても追加で疑問が発生した場合の問い合わせは、私宛にお願いいたします。
髙橋とみお
090-6492-6359
Sakura.rekishi@gmail.com

私に連絡しづらいようであれば、私以外の市議会議員にお問合せください。市議会議員は市民の代表であり、市民の皆さまの代理で議案の内容を確認し、賛否を表明し、その理由を説明するために存在しています。

◆佐倉市のコロナ交付金について

2020年、新型コロナウイルスが世界的に蔓延しました。
この状況を受けて、国は「新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止とともに、感染拡大の影響を受けている地域経済や住民生活を支援し地方創生を図る」目的で、全国の地方公共団体に臨時の交付金を創設しました。正式名称は「新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金」と言います。以降、この論考では便宜上「コロナ交付金」と呼ぶことにします。

佐倉市では、コロナ交付金として、総額約18億8600万円を受けました。この予算は、2020年度の単年度で使い切らなければいけないものではなく、複数年度にまたがって使うことができます。

また、こういった交付金は国から直接佐倉市に直接交付されるものではなく、「国→県→市」という流れで交付手続きがなされます。

さて、佐倉市では2020年度、約18億8600万円のうち、約5億6800万円が執行しきれませんでした。そのため、この約5億6800万円を「2021年度に繰り越します」ということを、千葉県との間で事務的に処理しておく必要がありましたが、そこにミスが発生し、繰り越すことができませんでした。

このミスが発生した経過を、時系列でまとめます。

2021年2月中
佐倉市担当者が、繰越処理のため書類を作成し、佐倉市役所内で稟議をまわし承認を得る。

2021年2月26日
佐倉市担当者が、稟議決裁済みの書類をメールで千葉県担当者に提出。

後日
千葉県担当者から、佐倉市担当者宛に電話が入り、佐倉市担当者が提出した書類に関して何等かの指摘をする。
佐倉市担当者は、千葉県担当者の指摘を受け、稟議決裁済みの書類を書き換える。その際、佐倉市担当者は、「書き換えた書類」を稟議にまわさなかった。さらに、この「書き換えた書類」は、結果的には繰越処理ができない内容になっていた。
※髙橋注:この際、千葉県担当者と佐倉市担当者との電話でのやりとりで、認識の齟齬が発生したと思われる。

2021年3月1日
市から県への書類提出締め切り日であるため、佐倉市担当者から千葉県担当者へ、「書き換えた書類」を発送する。

2021年3月2日
千葉県担当者から、佐倉市担当者をはじめ千葉県内の各市町村担当者に一斉に「繰り越す意思の有無」の確認メールが入る。この際千葉県担当者から送られてきたメールには、佐倉市が「繰越手続きをしない団体」として書かれていたが、佐倉市担当者は「変更なし」としてメールにて回答する。

上記手続きで、佐倉市が繰越処理を「しない」ことが確定し、その内容が国で承認されました。

一方、佐倉市では、2020年度の執行残である約5億6800万円について、繰越処理ができているものと誤った認識をしていたため、コロナ交付金を前提に2021年度の予算が組まれ、執行されました。

結果、繰越処理ができている前提で、2021年度のコロナ交付金の収支計算をしたところ、約1億5800万円の執行残があったため、それを国に返す処理をしました。結果、本年3月22日の議会定例会の承認をもって、この約1億5800万円を国に返すことが確定しました。

他方、佐倉市では本年の2月末、そもそも2020年度から2021年度に繰越処理をすべき約5億6800万円のすべてについて、繰り越されていないことが発覚します。

この金額が繰り越されない場合、佐倉市で2021年度に、当該財源を見込んで使用したコロナ関連事業の予算のすべてを、佐倉市の予算でまかなわなければなりません。

そのため、佐倉市では千葉県や国に対して「繰越処理」を特例で認めてもらう等の相談・交渉を続けますが、そのすべてが不調に終わります。

上記経緯と財政処理等の諸調整により、佐倉市のコロナ交付金にかかる国への総返還額は、総額で約5億3000万円、うち2021年度にコロナ交付金を前提に執行した事業分の約4億2500万円は、佐倉市の財政から捻出しなければならないことになりました。

よって、本件で佐倉市の財政が受けた実質的な損失額は、約4億2500万円です。

※本件については、今後2,3稿を重ねます。次回は、私が3月28日の臨時会でなした討論原稿を公開します。

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