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佐倉市のコロナ禍支援策に対する見解:前編

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佐倉市をはじめ、基礎自治体における最初のコロナ禍支援策が、およそ出そろったようです。

さて、佐倉市内在住のとある企業の社長から、佐倉市が実施したコロナ禍支援策のうち、特に事業者応援給付金に批判的な立場から「髙橋は、佐倉市の小規模事業者応援給付金に賛成したの?」や、「佐倉市の補助制度は、地域の人をそれなりに雇用している会社に全く役に立たないと思えますが、解説できる?」という投げかけをいただきました。この他にも、当該給付事業に対してはたくさんのご意見、ご質問をいただいておりますので、当該施策や佐倉市の財政に関する見解、市長の「姿が見えない」ことへの批判も含め、私なりの意見を申し述べます。

◆論考のサマリ

前編、後編の要旨をまとめます。

  • 第一次補正における佐倉市のコロナ禍支援にかかる財政出動規模は、現状の佐倉市の財政状況や他の支援事業とのバランスを鑑みると「やむなし」とし、議案には賛成
  • 佐倉市は、市長判断により施策の執行が遅れた点に課題が残った。施策の趣旨からすれば、内容の決定を迅速に行い、臨時議会を招集する等の方策をとり、市長のリーダーシップにおいて早急に対応すべきだったと考える(本件は、本会議の議場で討論という形で意見表明)
  • 市民からの施策の批判についても、市長が先頭にたって受け止め、しっかり説明をしていくべきものだが、相変わらず市長の顔が全くみえない。二次補正の予算については、迅速な対応とあわせ、市長自らの口で市民へ説明責任を果たすよう強く要望する

◆佐倉市におけるコロナ禍補償等関連予算と私の見解

「論旨のサマリ」でも書いたとおり、コロナ禍における、事業者応援給付金を含む予算規模合計約5億5千4百万円(内国庫支出金約3億7千4百万円)は、佐倉市にとっては「ギリギリの線」であったろうと思います。また、バランス的に佐倉市が出した施策メニューも、特徴を出す方向に強い意欲がない西田市政らしい内容だと考えます。

予算規模について「ギリギリの線」と考える理由は、現在の佐倉市がおかれている厳しい財政状況と、今後加速していく少子高齢化による財源の目減りが背景となりますが、そこは本稿の後半に説明します。

次にバランスについていえば、先のとおり本件の総予算が約5億5千4百万円であるとして、仮にほかの支援事業(例えばひとり親家庭への支援や、準要保護世帯向け支援など)を差し置いて、事業者応援給付金に多く出そうとした場合、西田市長が策定した総合計画等で「商工業事業者を最優先に考える佐倉市」である旨表明し、市民に方向性を示しておく必要がありますが、そういった政策面での尖り具合は、私が見る限りほぼありません。

よく言えばバランスがとれた、悪く言えば何に比重を置いているかわからない西田市政において、補償予算の割り振りは妥当なところだったと考えます。また、私に問い合わせてきた市民の方への返答としては、ひとり親家庭への支援や、準要保護世帯向け支援などを差し置いて、市内商工業者の方々へより手厚く予算を使うべき、という方針を求められているのだとすると、その意見には賛成できません。

「もっとしっかり補助金に市税を使うべき(規模が小さすぎる)」という意見も多くありますし、検討に値すると思います。佐倉市においては、共産党、市民ネットワークなどの会派がそうしたスタンスをとっていました(とはいえ、両会派も上記支援策をまとめた議案には賛成しています)。そういった見解に対する私の意見は、「今年発生しうる昨年並みの台風、昨今の千葉県における群発地震、コロナの第二波・第三波の可能性」等を前提としたとき、2018年度決算で約55億あった「非常事態に対する予算」である財政調整基金が、現時点で約20億円に目減りしている状況に鑑み、あくまで第一次予算としては、これ以上の補助金支出は危険であると考えます。

本筋ではないですが、ここで私たち議員が今後さらに注視すべきは、総合計画に記載されているより速いペースで悪化しつつあるようにみえる財政状況について、です。例えば、先の財政調整基金の支出は、度重なる災害や疾病により執行されている他、小中学校の空調設備やトイレの整備に使われており、「若い世代に魅力のある市であるべき」という私の考えとも合致した予算の使い方ではあります。他方、今後当該予算の使い道について無駄はないのか、といった議員本来の役割をより一層厳格に実施していくことが重要だとも考えています。

◆事業者応援給付金について

事業者応援給付金について、もう少し説明を加えます。

市町村で実施されている事業者向け給付事業は、大きくは以下のような基準値により策定されています。

事業者あたりの補償金額の規模
対象事業者の規模(ex.小規模事業者のみ、小規模から中規模までを含む事業者、等)
事業者ごとの前年同月比の下げ幅(ex.50%以上、30%以上、等)

この他、市町村ごとに考える優先順位や実情にあわせたユニークなものもありますが、おおよそはこの枠を比較すれば施策の差分はわかります。

さて、佐倉市についていえば
事業者あたりの金額規模:一律10万円
対象事業者の規模:小規模事業者のみ
前年同月比の下げ幅:50%以上

となっており、近隣市と比較してもあまりぱっとしない規模です。

先の質問をした方とは別の佐倉市の事業者の社長は、八千代市の同制度と佐倉市のそれを比べ、佐倉市が小規模事業者に特化した給付制度であるのに対して、「八千代市では、中規模事業者も対象となっている」という「規模の枠が広い給付」の事例を指摘されていました。確かにそのとおりです。

もっといえば、近隣の成田市では、中小規模の事業者に一律30万円給付しています。規模の幅も佐倉市より広く、前年同月比での下げ幅は問わないという大胆さです。

一議員として、うらやましい限りです。私も地元の商店街の某店主の方から、「うちは50%減にはギリギリ当てはまらないんですよ。この界隈は、だいたいそうで、ぎりぎり40%とか、30%とか」と、悲し気に言われたとき、心の底から悔しかったです。個人的には、二次補正においては、そのあたりの「国や県の補助金では救われなかった方々」へ広げる方向に議論をもっていきたいと考えています。

他方、ここで考えるべきは「給付競争に勝つ」ことではなく、先の通り「非常事態に対する予算」である財政調整基金残高に対して「市民の命を守る基金」という思想をもって対応する、という点だと思います。この予算は、仮に大地震が発生した場合、目先の1億円、1千万円の多寡が何人の佐倉市民の命を左右するか、という視点をもって支出を検討する必要があるのです。

◆緊急事態用の予算「財政調整基金」

コロナ禍のような「想定されていない事態」に即応できるよう、地方自治体が積み上げておく予算を「財政調整基金」といいます。

もちろん、財政調整基金以外の予算を削り、コロナ禍にあてることもできないことはありません。しかしその場合、そもそも実施計画に組まれていた事業を中止にしなければいけないことになります。コロナ禍支援予算はそれなりの規模になりますから、当該事業を中止した場合の精緻な検討、市民や議会への丁寧な説明が必要です。

なお、その文脈で、佐倉市では日本共産党が佐倉市新町の新図書館建設予算を凍結し、コロナ禍対策予算にまわす意見書を6月議会に提出していますが、私はその案に反対です。本筋ではないので、ここで反対理由の詳細を述べることは控えますが、その件については必ず後日皆さまにお伝えします。

さて、佐倉市の財政調整基金の残高推移をご覧ください。

佐倉市における財調残高の推移

2015年には約74億円あった財政調整基金が、2018年には約55億円となり、おおよそ20億円目減りしています。

さらに、本年5月の段階での財政調整基金残高は約20億円です。本年9月に公表される決算では、おおよそ30億円付近になるのではないかと予測しています。つまり、2018年度から2019年度の単年度で、約25億程度目減りする可能性があるわけです。

「そんなになるまでなぜ放置した?」とおしかりを受けるかもしれませんが、本稿では先の説明のとおり「昨年夏に重なった台風や暴風雨災害と今回のコロナ禍の他、小中学校の空調やトイレの整備などにかけた」という説明にとどめ、正確な数字の整理ができたのち改めて説明いたします。

仮に大震災などが発生したとき、市町村の首長が決断すれば「専決処分」というテクニックを使って、議会に通すことなく緊急的に予算執行できます。その原資となるのが財政調整基金である、ということになるわけです。

今年度の決算で、佐倉市の財政調整基金残高が明らかになります。私は会派に所属していない議員ですので、決算委員会の委員に選ばれません。その点も、会派制を敷く佐倉市議会の大きな問題だと思っていますが、いずれにしてもこの「財政調整基金」は、決算委員会では議論の対象となることが予測されます。

本ブログは、比較的他の議員も読んでくださっているようですので、決算委員会に選ばれた会派所属議員の方にはぜひ「仮に東日本震災クラスの災害が発生した場合、現在の財政調整基金をもとに実施できるおおよその対応策の内訳や規模は検討されているか?」を聞いてもらいたいと思います。


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