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【2019年9月4日】一般質問:佐倉市の強みを活かしたレンタルファーム事業について

2019年9月4日に私が実施した、その他の個人質問は以下のとおりです。
【2019年9月4日】一般質問:若者の声を反映する市政の実現
【2019年9月4日】一般質問:佐倉市しかできない「佐倉“江戸”時代まつり」の提案


9月4日に私が実施した一般質問原稿を掲載いたします。
今回の定例会で私が実施した一般質問は以下3つです。

1.農業振興策について
  レンタルファームについて
2.若者の声を反映する市政の実現
  若者の声を反映する市政の仕組みについて
3.佐倉“江戸”時代まつりについて
  佐倉“江戸”時代まつりの独自性と今後について

当該記事では、「1.農業振興策について」を掲出します。

◆要点

  • 佐倉市は、住宅主体の街と、緑豊かな自然環境との境目に立地している。
  • この「境目」という立地は、まぎれもなく佐倉市の強みの一つだ。仮に、田や里山を他の西側エリアと同じ住宅地に変えたとしても、立地の面で西側の自治体にはかなわない。
  • そこで、佐倉市の立地的強味に着目し、印旛沼周辺で佐倉市が実施しているレンタルファーム「飯野台ふれあい農園」をベースに、佐倉の強みを活かした提案をしたい。

「飯野台ふれあい農園」は佐倉市外の住民をターゲットにしたレンタルファームだ。
当該農園の優位性は

  • すぐ隣に草笛の丘がある(子連れのレジャーでも安心)。
  • 草笛の丘にはシェアハウスがあるため、シャワー、宿泊、調理もできる。また、シェアハウスは調理もできるリーズナブルな宿泊施設だ。
  • 近くにサンセットヒルズのテニスコートや、野鳥の森、ふるさと広場へ運んでくれる渡し船もあり、それらの魅力を面ととらえるプロモーションが可能。
  • 草笛の丘には、京成佐倉駅からコミュニティバスもあるので、交通の便も比較的よい。

この他にも、まだまだ「ここにしかない」十分な優位性をたくさんある。
現状の「飯野台ふれあい農園」は、それらを伝えることができていない(佐倉市民農園の広報サイトはこちら)。
しっかりしたターゲティングと、優位性を効率的に伝えるプロモーションを実施することが必要だ。

以上の前提に沿って、ターゲティングとプロモーションの方向性を提案しました。

なお、以下は私の「個人質問用原稿」をほぼそのまま掲出しています。
9月4日の私の質問内容は、事情により本原稿を一部割愛したり、言い回しを変えたりした箇所がありますが、趣旨は変わっておりませんのでご確認ください。
また、私の質問に対する佐倉市からの回答については、食い違いが生じると問題があるため、佐倉市が議事を公開しましたら、追記させていただきます。


◆導入

京成線に乗りユーカリが丘から臼井に入ると、西側の街では観ることがなかった田園風景が目に飛び込んできます。線路からほど近いところに里山が連なり、佐倉へ向かう車窓からは印旛沼の広がりを背景に、風車を眺めることができます。

JRでも、物井を境として、田と里山が本格的に姿を現しはじめます。
私たちは、住宅主体の街と、緑豊かな自然環境との境目に位置している「佐倉市」に住んでいます。

この「境目」という立地は、まぎれもなく佐倉市の強みの一つです。
田を埋め立て、里山を切り崩し、他の西側エリアと同じ住宅地に変えたとしても、東京のベッドタウンとしての機能を前提とする限り、立地の面で西側の自治体にはかないません。

さて、佐倉市では2015年、印旛沼周辺地域を活性化するため、農業を中心とした観光を含む産業振興施策である「印旛沼周辺地域の活性化推進プラン」を策定しました。
本計画により、印旛沼周辺の農業、観光のためのインフラ整備は着実にすすめられている一方、それら設備の魅力を打ち出すところまではできていないように感じられます。

そこで、今回は印旛沼周辺で佐倉市が実施しているレンタルファーム事業をベースに、これまで「点」であった個々の印旛沼周辺の魅力を「面」にして、魅力の相乗効果を狙う提案をいたします。

◆質問と意見

まず、質問をさせていただきます。
佐倉市が開設している市民農園は

  • 生谷(おぶかい)市民農園
  • 大篠塚(おおしのづか)市民農園
  • 飯野台(いいのだい)ふれあい農園

の3つと承知しています。
当該農園の利用率をご教示ください。
なお、以降は、自席にて質問させていただきます。

佐倉市答弁

佐倉市が開設している市民農園の利用率につきましては、8月末現在、総区画数399に対し、利用区画数240であり、利用率は約60%となっております。

ありがとうございます。
その中で、飯野台ふれあいファームは、市民以外の方々もターゲットにしており、また先述の「印旛沼周辺地域の活性化推進プラン」の対象エリアでもあります。
事業目的を読む限り、本農園のターゲットは、佐倉より都市部に住む人たちです。本農園は、昨今の事業収支意識の高まりにこたえようとする姿勢をもち、また佐倉市の魅力を外に発信しようとする野心的な取り組みであると考えます。他方、整備後間もない状況であるため、利用率は生谷、大篠塚と比べると低いことからも、まずは本農園の利用率の向上が重要です。

また、利用率向上の先には、佐倉市外の都市部の住民が、佐倉市の農業体験をきっかけに

  • 佐倉市の「農業」と「生活」に対するホスピタリティ
  • 佐倉市の緑あふれる環境
  • 佐倉市のイベントや文化を通じた魅力

を体感いただき、ひいては、移住や企業立地のきっかけにしていただくこともできる重要な施策の一つになりうると考えます。

◆事例紹介

ここで、「飯野台ふれあい農園」がお客を取り損ねた、惜しい事例をひとつ紹介します。

この話は、印西市に住んでいる私の兄が、東京の経営者仲間と話しているときの体験談です。

東京のデザイン会社の経営者であるAさんは、社員の福利厚生のため、社員たちから要望が高かったレンタルファームを借りたいと考えていました。

いろいろ調べたところ、恵比寿のビルの屋上のレンタルファーム「ソラドファーム恵比寿」が目に留まりました。会社から近くて魅力的でしたが、レンタル費用が3平方メートルで年間10万円以上でした。

社員一人の福利厚生費用として年間10万円は高すぎるので、いろいろ調べて印西市にあるレンタルファームを借りることにしたそうです。

ちなみに、佐倉市のレンタルファームは30平方メートルで年間1万円。恵比寿の1/100の費用です。

東京からの距離、という点で考えれば、恵比寿をやめて印西市を選んだAさんが、佐倉市を選ぶ可能性も十分あったと考えられます。しかし、ネットで見る限り、佐倉市飯野台ふれあいファームは、その豊富な魅力はまったく伝えることができていません。

この経営者が印西市でどこのレンタルファームを借りたのかわからないので、最初に魅力を感じた「ソラドファーム恵比寿」を簡単に分析してみました。(サイトを見る限り、「ソラドファーム恵比寿」は2019年度は予約いっぱいで終了)。

  • 圧倒的な好立地(これは仕方ない)。
  • ターゲットに分かりやすい細やかなサービスと情報発信。
  • レジャーとしての農業ととらえた、あたたかくも都会的な農業イメージの創出。

こういうイメージの打ち出しが、「ソラドファーム恵比寿」ではできていました。 ターゲットは、都市部の住民です。あくまで「農業のイロハ」もわからないビジネスパーソンが、楽しく自然にふれあう体験としての農業、という視点で、プロモーションを組み立てるべきでしょう。

◆飯野台ふれあい農園の優位性

さて、次に佐倉市の「飯野台ふれあい農園」の優位性を考えてみましょう。

  • 飯野台ふれあい農園は、すぐ隣に草笛の丘がある。→子連れのレジャーでも安心。
  • 草笛の丘にはシェアハウスがある。→シャワー、宿泊、調理もできる。特に、あまたあるレンタルファームは、どこも農地に立地するため、シャワーなどの付帯設備がありません。これは、相当な優位性と考えるべきでしょう。また、シェアハウスは調理もできるリーズナブルな宿泊施設です。さらに言えば、近くにサンセットヒルズのテニスコートや、野鳥の森(カブトムシがとれたりします)、ふるさと広場へ運んでくれる渡し船もあり、それらの魅力を面ととらえるプロモーションを考えると、わくわくするものがあります。
  • 草笛の丘には、京成佐倉駅からコミュニティバスもあるので、交通の便も比較的よい。

この他にも、まだまだ「ここにしかない」十分な優位性をたくさんもっています。ちなみに、先にあげた優位性は、農政課や草笛の丘のご担当者からいただいた情報も多く含まれていることを付言しておきます。

◆戦略性

今後、それらをどう組み立て、どのようにうちだしていくかを考える必要があります。
たとえば、Webでは静的コンテンツだけでなく、「都会的な農業」体験、付帯設備をからめたレジャーイメージ、大人と子供が楽しめる要素が随所にある佐倉市の魅力、などを織り交ぜた鮮度高いコンテンツの恒常的提供が必要と考えます。
また、事業収支も重要である以上、民間経営のものも含め、周辺自治体のレンタルファームとの綿密な比較も必要でしょう。
さらに、ターゲットは個人でよいのか?企業の福利厚生、あるいは企業立地のフックとしての視点は必要ではないか?という観点でも考える必要があります。

それらを考えたとき、この案件は一つの課が考えるのではなく、農政課、広報課、産業振興課、企画政策課、草笛の丘、環境協会などの横断的なプロジェクトチーム結成が必要と考えます。
以上を勘案し、今後「飯野台ふれあい農園」と、その周辺エリアについて、どのようにしていく方針か、執行部のお考えをお聞かせください。

佐倉市答弁

平成29年度に草ぶえの丘、サンセットヒルズ、ふるさと広場、岩名運動公園による印旛沼周辺施設連絡協議会を設立しておりますが、本協議会は各施設間の連携強化により回遊性の向上を図り、さらなる利用拡大を図っていくことを目的としたもので、各施設の担当者、佐倉市観光協会、千葉県まちづくり公社の職員で構成しております。飯野台ふれあい農園の活用促進につきましても当協議会における検討課題として、例えば草ぶえの丘での宿泊と農業体験をセットにした新たな観光商品を開発し、首都圏を初めとする市外の方への積極的なPRを行うなど、議員ご指摘の点も参考にさせていただきながら、具体的な方策について検討してまいりたいと考えております。

ありがとうございました。

◆企業立地の可能性について

最後に、経験上、こういったアプローチについて、佐倉市はとくにIT関連の企業立地に有利だと考えます。

理由としては

  • ITのエンジニアリングは都内で実施する必要性が低いため、住環境として優れた郊外を検討する事業者も多いこと。他方、佐倉市は、どうしても必要な場合は簡単に東京に出ることも可能な立地であること。
  • 農業に興味があったり、オーガニック志向をもつ業界人が案外多いこと。

実力はあるが東京に出たくない、というIT人材は、昨今割合多くいるため、地方に出て人材獲得に成功する事例も出てきていること。

以上のとおり、対象がIT業界であれば、冒頭お話した佐倉市の「境目」という強み、つまり東京にも出ることができ、自然を満喫できるという優位性を活かすことができます。
また、ITのインフラとしては、ユーカリのシェアオフィスができたことで、小規模に、試験的に立地をする土台もできました。

いずれにしても、戦略性をもったプロモーションを展開し、佐倉市を活性化させる一助としていただければと思います。

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