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地方議会議員とボランティア③:スクールガード活動を事例に

地方議会議員とボランティア①:スクールガード活動を事例に
地方議会議員とボランティア②:スクールガード活動を事例に
地方議会議員とボランティア③:スクールガード活動を事例に


【児童の見守り】

いつも比較的早く登校する児童が、ある日かなり遅めの時間に、ゆっくりした歩みで登校してきました。

個人が特定されてしまうおそれがあるので詳細は避けますが、その日は体調が優れないとのことで、顔色も悪く心配です。

家に帰るか聞いたところ、「学校に行く」とのこと。距離としても学校に近い場所ですし、もしかしたら保護者が共働きなどで家に戻ってもだれもいない可能性もあります。そこで、学校へ連絡し受け入れ態勢をとっていただき、二人で学校へ向かいました。

毎日子どもたちと顔をあわせ挨拶を交わしていると、体調不良以外にも様々な理由で学校まで児童に付き添うケースがあります。

そんなときに子どもたちから聞く話が、最前線の「解決すべき市の課題」に直結している場合があります。

その意味でも、スクールガードは単なる「地元貢献」のボランティアではなく、「現在の佐倉市」のひとつの側面を知るかけがえのない機会なのです。

【市の施設の管理状況の確認】

通学路に、青少年体育館という市の施設があります。その場所は、私の兄の時代まで小学校として使われており、現在では剣道や卓球の施設として市民の皆さまに利用されています。

その施設の屋根瓦の端に並んでいた飾り瓦の一部が、一昨年の台風で落ちてしまっていました。この飾り瓦は針金などで固定されていないために、一部が歯抜け状態となると支えが脆弱になり、大きな風が吹くだけで落下する危険性があります。

さて、その施設はかつて小学校だったこともあり、とても歩きやすいうえに、車が通る心配がないため通学路としても使われていましたが、瓦の修繕が完了するまでは、学校としては臨時的に狭い迂回路を通学路とせざるをえませんでした。

この迂回路は車がすれ違いできないほど狭く、また大きなカーブであるために大変危険です。

学校は、教育委員会を通じて市役所に屋根瓦の修繕をお願いしていましたが、被災当初は担当課も優先順位の高い順に手を入れざるをえないために、そのままの状態が続いていたようです。学校としては市役所に何度も申し入れをするのははばかられますし、確かに狭いとはいえ迂回路はあるわけですから、もうしばらく待ってみることにしていたようです。

とはいえ、被災後1年以上経過しておりましたので、その話を聞いてすぐ、担当課に連絡し危険な飾り瓦の列を取り除いていただきました。その作業が完了したため、現在では元のとおり青少年体育館の敷地内を通学路として利用できるようになりました。

本件は、市の施設であったために、自治会としては管轄外という感覚があり「微妙に手がつけづらい事案」という状況でした。また市の施設ということならば、議員活動として市に修繕を依頼することは筋が通っています。また、スクールガードという活動を通じて、学校との日ごろからの細かい情報交換が解決におおいに役立ちました。

【共助により支えられる地域】

この「青少年体育館」については、もう一つお話ししたいことがあります。

ある日、わけあって小学校まで児童と付き添って登校した帰り道のことです。この施設の横にある階段を登り切ったあたりの側溝を、作業服を着た男性が掃除していました。

この側溝は、施設外の道にあり、土手を下ってくる雨水を流すものです。その意味で、その側溝にたまった土砂や枯草を取り除いてくれているのは、地元住民の方と考えました。

その方に挨拶がてらお話しを聞いてみると、当該施設の指定管理者の方であるとのこと。また、この方は志津方面に住む佐倉市民であることもわかりました。

この作業自体は、施設外の側溝の掃除ですから、当該施設の指定管理の仕事ではなく完全なボランティアです。私はお礼を言ってその場を離れました。

本件に限らず、私は複数の市民の方が、通学路の掃除や草刈りをしてくれていることを、この活動を通じて知ることができました。

地元自治会のご努力はもちろんのこと、例えば信号周辺の空地横の草刈りや、消防団の前の空き地の掃除など、ここで名前を出すことはしませんが、そういった地域住民の方々の善意により、環境が整備され、児童の安全が守られていることを書き留めておきたいと思います。

【地域住民の方々との情報交換やふれあい】

最後に、こういった活動をするうえで、とても重要だと考える点をあげます。

それは、活動時に交わすやりとりが人間関係を生み、またリアルタイムでそこにある課題の情報をいただく場合がある、という点です。

例えば、地域の防災や防犯の課題、街路樹に関する地域の声などについて、オフィシャルな自治会の会議の場ではなかなか言い出せない本音をうかがうことができます。また、スクールガードは基本的に毎日の活動ですから、しっかりした信頼関係を構築することも可能です。

他方、私が常日頃このような活動をする際気を付けているのは、「市民として参加する」という前提を崩さないことです。

議員として出すぎれば、自治会の役割を侵害し、長い目で見れば必ず地域住民に不利益になります。

自治と政治はしっかりと分けて考え、活動するという意識を常に持ち合わせている必要があると思っています。

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