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2021年6月16日一般質問:佐倉市の消防団について

以下は、佐倉市議会の6月定例会で実施した一般質問です。

主には
・消防団員への報酬の支払い方法
・消防団員への報酬の適正化
・いわゆる「幽霊団員」問題の対応
・機能別消防団員制度への取り組み

について聞いています。


佐倉市の消防団について

髙橋質問

消防団については、昨今多くの報道がなされています。それら報道の論調を見ると、残念ながら制度や在り方について批判的なものが多く見られます。現在の我が国の消防防災システムを考えれば、消防団はなくてはならない存在であることは言うまでもありません。しかし、地域防災の中核的存在である我が国の消防団員数は年々減少し、年間200万人いた消防団員も今では81万人となっており、このままでは地域の防災体制に支障をもたらすことになると憂慮されています。一方で、少子高齢化や社会システムの急激な変化により、制度疲労を起こしている点があることもまた否めません。

そこで、今回は佐倉市の消防団について質問いたします。配付資料(以下画像)をご覧ください。

総務省消防庁が、地方交付税の算入額として公表している数字と佐倉市の団員報酬を並べてみました。表を見ると、団員の年間報酬はほぼ消防庁の算入額に近いですが、佐倉市の団長の年間報酬は、算入額の倍です。また、1回当たりの出動手当は、国の算入額が7,000円で算出されているのに対して、佐倉市は1,500円です。また、当該出動手当は、団員の個人口座ではなく、各部の代表者の口座にまとめて振り込まれていると伺いました。振込口座について様々な意見があるのは承知していますが、費目が出動報酬であり、団員個人の出動に対して支払われる予算である以上、これは団員の個人口座に振り込まれるべきであると考えます。また、国の指針にも、そのように書かれています。

さらに、日本の消防団全体の問題として、いわゆる幽霊団員問題があります。報道では、出動していないのに、団長等の差配により出動したことにすることで、各分団の予算を獲得する手段に使っている事例があるという批判も見受けられます。今後、少子高齢化がさらに加速していく中、我が国の消防団の改革は避けられません。佐倉市においても同様で、改革を進める上で、こうした問題の調査をすることは必須と考えます。ゆがみを放置して改革を進めた場合、そのゆがみは将来的に必ず顕在化し、制度的により深い傷を残すことになります。

そこで質問です。国が示している消防団員の報酬に関する額と佐倉市が設定している金額の差分及び支払い方法の今後について、佐倉市の見解を伺います。また、いわゆる幽霊団員について、佐倉市がしっかり調査する意思があるかどうか見解を伺います。

執行部(市役所)回答

お答えいたします。
地方交付税の消防費につきましては、常備消防費と非常備消防費が合算されて交付されており、積算基準は示されておりますが、自治体の状況により弾力的な運用は任されております。佐倉市の非常備消防費の配分といたしましては、消防機庫の整備や消防車両などをはじめとする資機材の整備更新など、消防団員の皆様が活動環境の向上に重点を置いておりますことから、年額報酬については国の基準と大きな差はございませんが、出動報酬については国の定める積算基準と乖離している状況となっております

次に、支給方法でございます。年額報酬につきましては、金額が固定されていることから、年1回個人口座に振込を行っております。出動報酬につきましては、出動した回数によりおのおのの額も変動いたしますことから、現状では各部の代表者を通じて請求していただき、各部を通じ年4回支給をしております。出動報酬の個人口座への振込は、事務量の増加とともに手続が煩雑化することから、当面は現状の支給方法で対応してまいりたいと考えております

最後に、幽霊団員につきましては、毎年年度当初に各部に新しい配備体制を提出させております。また、器具点検、実践訓練など出動のたびに人員の確認を行っておりますので、幽霊団員は存在していないと認識をしております。そのことから調査を行う考えはございません。市といたしましては、他市の状況なども注視しながら、団員の処遇改善を図り、消防団員の確保に努めてまいります。
以上でございます。

髙橋質問

では、次に消防団制度の維持に関する施策について質問をいたします。さきに申し述べたとおり、制度疲労的な課題はありつつ、消防団は我が国の消防、防災などを考える上で絶対に必要な存在です。

そこで、次に前向きな取組に関する質問をさせていただきます。現在、国が進めている施策に、機能別消防団員制度があります。能力や事情に応じて特定の活動にのみ参加する消防団員をいい、例えば消防団の必要性や活動内容を市民にお知らせしたり、火災予防のためにまちを回る広報専門の団員を設けたり、消防団を引退した方がその豊富な経験を生かして消防団の活動に携わるOB団員制度などの事例があります。特に、広報については、市民の消防団に対する現状の認知と理解を前提とすると、まだまだ足りていないと考えますので、このような仕組みでしっかりと取り組むべきと考えます。機能別消防団について、佐倉市で導入を検討されているか伺います。

執行部(市役所)回答

機能別消防団員制度につきましては、過去に消防団本部会議及び佐倉市消防団団本部正副分団長会議において協議を行った経緯がございます。

この協議の中で、消防団からは、ふだんから連携していない者との協力の不安や一度退団したOBの高齢化、活動時の指揮命令系統の問題など、慎重なご意見が多くございました。制度導入については、時期尚早であるとの結論に至った経緯がございます。消防団につきましては、各部に活動する担当区域をあらかじめ定めております。また、区域に隣接する部を、第1出動、第2出動として相互に応援する体制を整えておりますので、市といたしましては、まずは通常団員の確保を最優先に考えてまいります。機能別消防団員制度につきましては、制度を導入している近隣市町村の動向も調査し、団員の確保、負担軽減など、よりよい活動の方策について、今後も消防団と協議をしてまいります。

髙橋質問

ありがとうございます。広報活動などは、(佐倉市が)センタライズしてしっかり管理することもできるかと思います。消防団の制度を告知する上で重要な制度だと思いますので、前向きにご検討いただければと思います。

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