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2022年6月15日一般質問:教育現場の人員不足と予算

先の質問では、主に児童福祉予算について述べてきましたが、次は教育費のうち、今もっとも状況がひっ迫していると考える、小学校、中学校関連予算について現状を確認します。

まず、背景としてあるのが、「学校が担う役割の増大」です。

具体的に言えば

  • 児童生徒や保護者の多様化への対応:言語の別、宗教、食育に対する考え方(幅の広がり)
  • サポートの重厚化:インクルーシブ教育の浸透、心理面、社会面、経済面の子どもたちのサポート(重層化・「深さ」の深厚)
  • 教育メニューのIT化や改革の波:ICT教育、少人数学級、英語教育、コミュニケーション教育の充実(新しい取り組み)

などが、一気に、急激に学校の現場に押し寄せています。

もちろん、児童生徒を中心に据えた教育現場の充実は「良いこと」です。しかし、それらの大きなうねりに対応するためには、予算や人員の大幅な増強が欠かせないはずです。

私が特に訴えたいのは、教育現場における「圧倒的な人員不足」の解消です。

例えば、学校によっては、1年から6年までの様々な障害のある生徒を、実施的に一人の先生が担任している状態にある学校もあります。また、昨今佐倉市でも増加傾向にある外国籍の児童生徒のための「日本語適応教室」や、日本社会に適応してもらうためのサポートについても、恒常的な人手不足の状態にあります。

さらに言えば、急激な格差社会を背景とした「学校に行けない」子どもたちの増加も大きな社会問題であり、その点に関する実態把握と対策も、結果的にはアウトリーチ人材の確保が必要です。

いずれにしても、教育現場や児童福祉環境における予算不足からくるマンパワーの問題は多々ありますが、今回はこれまであげてきた問題に幅広く対応することができる役割をもつスクールソーシャルワーカー(以下SSW)に的を絞ります。

結論から言えば、子ども達が抱える課題に的確に対応するために、市内の全中学校にSSWを1名ずつ配置いただきたいと考えています。本件について、執行部のお考えをうかがいます。

執行部回答

ありがとうございました。

SSWの充実を要望する理由

お配りした資料裏面の資料編をご覧ください。詳述はしませんが、担当課に確認したところ、例えばいじめや児童虐待の件数は、この数字から大きく増加傾向にあることがわかっています。

他方、このような問題に専門的に対応するための人員であるSSWは、現在佐倉市の予算で雇用している人員は1名もおりません。ちなみに、千葉県は現在54名の県費のSSWがいますが、佐倉地区の担当は1名のみです。そんな中、佐倉市ではこども家庭課の職員が、SSW的な活動を、フットワークよく実践されていると聞いております。

SSWとしての予算措置がない中、大変ありがたく思いますが、この仕事は求められる適正の特殊性ゆえに、その担当者の能力ややる気が高ければ高いほど業務の属人化が進んでしまい、異動があったときに大きな穴が開いてしまう懸念もあります。また、組織や予算といった正式な前提なしで、ごく少ない職員がSSWとしての十分な仕事をこなすことは困難であると考えます。

SSWの全中学校への配置の一日も早い実施が望まれますが、当面はこども家庭課でそのための人員予算をとって、4~5名程度の体制でSSWを配置していただきたいと思います。形態としては、現状のとおり学校からの要請に応じて支援する「派遣型」を拡張させるイメージです。できるなら、専門性をもつ人員が、できる限り長期間担当していただけるような体制であることが望まれます。人員数で言えば、草ぶえの丘を指定管理者で運営すれば、十分捻出可能な人数です(髙橋注:「草ぶえの丘指定管理者の指定」は、佐倉市議会の否決により2022年6月14日現在実現していません。佐倉市議会議員の一人として、大変恥ずかしい否決であり、市民の皆さまに深くお詫び申し上げます)。

それができた後は、出来るだけ早期に、各中学校に最低1名のSSWを配置し当該中学校のみならず近隣の小学校も担当する「拠点校配置型」に移行することを希望します。

予算面・人材面の制約がある中で、出来るだけ早期に派遣型から拠点校配置型に移行するために、以下の点をご検討いただきたいと考えます。

  1. 「こどもを核としたまちづくり」を実施し、人口・出生数・税収など5つの項目でV字回復を果たした明石市をお手本にして、予算の捻出を大胆に実施する。
  2. 「ふるさと納税」の仕組みを活用した寄付金集めを実施し、これを子ども支援関連の資金に充当することでSSW必要予算を捻出する。この手法は、すでに多くの自治体において先行事例があります。

以上、今後検討をお願いいたします。


次の質問「指摘される「緩み」と市民サービス

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