- 2019.12.26
【市民の方の意見と批判_2】佐倉市職員の給与改定について
(前の記事はこちら)
引き続き、市民の方からのご意見を紹介します。今回の記事は、主に「民間のおかれている現状」と「市職員の待遇全般」の比較という立場にたって、「給与改定」に批判的な方からのご意見です。この方は「 佐倉市職員の待遇はどう在るべきかわからない」という総括をされていますが、底に流れているのは現状への疑問であることがわかります。
少し長くなりますが、当該ご意見への私の回答も含め、ご一読ください。
◆市民の方からのご意見
私が少年だった頃は、地方公務員といえば、給料は安いけど「5時過ぎには自宅で風呂に入っている」とか「休みはちゃんとくれる」とか「年金は多く貰える」など、お気楽な職業と云うイメージでした。
つまり「民間より給与は安い、でも安定」と云う事が通り相場でした。その代わりに福利厚生は民間よりも充実している、と云うものでした。まさしく総務省のHPで公務員規定を見ると、国に守られている事が伺えます。公務員の給与支給規定に関連する文書などは何種類もあります。佐倉市職員の人件費が高いか安いかは、これら「国の保証代」を含めての話です。
民間の労働者は明日をも知れない、と言うくらいリストラは日常茶飯事です。
ボーナスは以前は生活給の一部でしたが、今は業績連動型支給です。
非正規雇用者も増大し、給与も低下し続けています。
しかし公務員給与は順調に上昇して民間よりはるかに「高い水準にあります」。昔は銀行員の給与が高いのは当然でした。
国の経済を活性化させる血液、その循環を支える金融を生業としていましたから。中小零細企業の経営相談に携わり、経営計画や業績目標や資金計画を共に作り、融資業務を通して企業と国の成長を支えました。その対価は高くて当然でした。でも、メガバンク主体の金融が幅を利かすこれからは全く違います。その理由は銀行自らが経営目標を変えて、自らの利益を追求し始めたからです。だから銀行員のリストラが始まりました。民間はグローバリズムの蔓延でパラダイムシフトの大波が打ち寄せています。
その様な時代に於いて佐倉市職員の待遇はどう在るべきか私には分かりません。
だって誰が、どんな仕事を、どれだけの時間をかけてしているか、知らないから。
それに税収難で「無い袖は振れない」としても、無いなら資金を生み出すべきです。本当に優秀な人材を集めれば、それなりの改革プランが出せるはずです。小泉・竹中「改革」以来、日本国は官民格差を黙認、助長する時代になりました。
議員活動を注視しています。
市民を代表して活躍して頂きたいと思います。
◆髙橋回答
私が新卒で就職を検討する時代にも、公務員について、おっしゃっているのに近い印象を持っていました。当時自分が考えていた「地方公務員」の印象は
・給料は能力にかかわらずほぼ一律の年功序列式人事制度
・5時過ぎには帰宅
・休みはちゃんとくれる
・年金は多くもらえる
国家公務員については当時からすでに「お気楽イメージ」はありませんでしたが、基礎自治体の地方公務員についての印象はおっしゃるとおり「ある程度気楽で安定」だったことを思い出します。
おそらく、●●様と私の世代で違うのは、「給料は安い」という印象があまりなかったことです。
もちろん、おっしゃるように大銀行や大手商社などとは比べ物にならないものの、一定のしっかりした給料がもらえる仕事にカテゴライズされていた印象です。その意味で、就職氷河期世代の私たち世代からすれば、大卒で試験に合格して地方公務員になる人は「長い目で見た場合の成功者」とみなされていたように記憶しています。
給与とセットで議論されるべきこと
さて、私がTwitterで書いたとおり、公務員の人事制度全般に議論の枠を広げると
・年功序列式人事制度
・減点主義的評価制度
・首になりにく身分保障制度
などがあり、改革を実施するとすれば、それぞれに精緻な議論が必要になります。
そういった「改革」の一環として断行されたのが、公務員特有の年金制度であった「共済年金」を「厚生年金」に統合したことであると承知しています。
共済年金の問題であった「職域加算」がなくなったことで、年金に関する格差は霧消したとは言えないまでも(新たに生まれた「年金払い退職給付」が議論の対象となっているため)、サラリーマン世帯に相当近づいたと言えます。
また、地方分権の伸長や住民サービスの充実から、例えば福祉関連課職員は民間以上に激務であることが議員になってわかりましたし、それ以外の部課でも、市民の目が行き届くようになったことで、おおよそは「お気楽仕事」をしている印象はありません(とはいえ、部課ごとの仕事量の格差は少なからずあると思いますが)。
グローバリズムとパラダイムシフトの大波
この部分は、完全に同意いたします。民間はすでに、防波堤無しで日々この大波に呑まれ続けています。さらにいえば、IT技術の進展により、相当数の仕事が「完全消滅」しさえしています。
例えば、私の新卒時の仕事はリクルートの広告営業でしたが、自分がとってきた広告や記事タイアップのチラシの制作には、かつて写植屋さんやレタッチなどの中間業務が山ほどありました。しかし、オンデマンド印刷機とソフトウェアの汎用化により、それら一切が根こそぎ消えました。
また、事務仕事もしかりで、昔大きな駅では必ずあった「定期券売り場」において、猛烈なスピードで定期券を発行していた従業員の仕事も、PASMOやSUICAの自動発券機にとって代わられましたが、市役所ではいまだにそういう作業も人が行っている部分が多くあると思っています。
●●様にもご同意いただける部分は、おそらくそういった業務に関する「効率化」を進めることで、「職員を無計画に増やさない」という方向性でしょう。
一人の市民という立場で言わせていただくならば、そういった業務改革を進めざるをえない近未来に、やる気がない、考える力がない職員に、市の仕事を任せたくはありません。
また、いただいたメール後段の「優秀な人材を集めて、税収を増やす改革プラン」などは、それこそ「優秀」プラス「実績」や「起業マインド」のある人材の採用が必要です。手前みそですが、私の今回の議会質問である「有料ランニングイベント」の提案は、規模は小さいですが、職員のそういう「マインドシフト」を促すためのフックとして使いました。残念ながら、役所の回答は色よいものではありませんでしたが、こういう投げかけの連続が必要だと考えたわけです。
まとめ
もちろん、あまりに民間とかけ離れている給与体系だとするならば、それは正す必要がありますが、そういった改革は綿密な調査と、市民の方々との「デメリットを勘案したしっかりした説明と合意形成」が前提となります。また、先に挙げたような人事制度全般を見据えたものにすべきですし、近い将来実施せざるを得ない「大改革」に対応できる人材を確保しつつ進めるべきものだと考えます。
また、これは確信していますが、具体的な計画やターゲットの設定がないままに、不用意に政治サイドで「給与減額査定だ」とか「据え置きだ」というような権力を振り回す行為は、慎むべきであろうと思っています。
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