- 2020.07.21
佐倉市:新型コロナウイルスの罹患要因の公開に関する所感
表題の件に関する私のツイートに対して、コメントをいただきました。
タケ夫ビリー様、コメントありがとうございます。タケ夫ビリー様からのコメントがなければ、本件についてこのようにまとまった考えを公表していなかったはずです。
「罹患要因の公表問題」は、私のもとにも比較的多くの議論があつまった事案です。
ようは、情報公開をどこまで実施するべきなのか、という点が人によってマチマチであることがこの議論のポイントかと思います。当該議論において、私はプライバシーにかかわる部分を本人特定できないレベルまで希釈すれば、基本的には「できる限り情報公開すべき」というスタンスです。
よって、ある市民の方から、プライバシーはさておき、公共の福祉を優先し「情報を(ほぼ)全て公開せよ」という話をうかがったことがありますが、その方向に対しては明確に「NO」とお伝えしております。
以下、思いのほか文章が長くなってしまったので、結論から申し上げます。
私の発言の真意は、保健所が「積極的疫学調査を行っています。」というのであれば、その疫学調査の結果、県民にとって防疫啓発に有効なサンプルを抜き出して、「どのような振る舞いが罹患要因であったのか」を公表してほしい、という趣旨です。
例えば、保健所の発表として以下のような事例紹介があったらどうでしょう(以下はあくまで私が作文した事例であり、実際の事例紹介ではありません)。
40代男性 会社員
●月●日の業務終了後、19時から21時にかけて、同僚と2名で会社周辺の居酒屋で飲食。居酒屋は4畳程度の個室で、カラオケ設備が常設されていた。
2名は宴会後半カラオケを利用し、一人3曲程度歌った。マイクは、同じマイクを使用し、使用の際消毒等はしていなかった。
なお、当該2名は同じ日に発症した。
70代女性 無職
●月●日16時から20時にかけて、近所の仲間3名と麻雀会を実施。19時から30分程度、宅配ピザを頼み全員で夕食。
対局中マスクを着けていた60代女性以外の3名が罹患・発症。なお、罹患しなかった女性は、20分程度おきに手洗いを実施していた。
上記は、私の真意を知っていただくための作文事例なので真に受けないでほしいのですが、保健所が「積極的疫学調査を行って」いるのであれば、せめて以上のような疫学調査の結果情報がほしい、というのが私の考えです。本人特定されないようさらに配慮するなら、日付は削除してもいいかもしれません。「ニュースなどで情報は入るので、そんな情報いらないよ」、という立場ももちろんあり得ますが、そもそもこの手のニュースの大半は公機関が発表した内容がベースになりますので、上記のような発表が保健所からあれば、私たちはニュースから、より「身を守る武器となる具体的情報」を得ることができることになると考えます。
また、感染症には罹患要因について必ず地域特性があるはずなので、以下に詳述しますが、単に「県内発生」という言葉でまとめてその続報を公開されない状況は、私には「千葉県民の不利益」であると感じられます。
◆発言の真意 詳述
新型コロナにかかわらず、ウイルスや細菌などを原因とする感染症は、それぞれ「感染のしやすさ」が異なります。
ご存知のとおり、HIV感染によるエイズ、クラミジアのような感染症は、主に血液や体液、粘膜を通して感染する接触感染ですし、インフルエンザ、おたふく風邪、風疹などは、咳、くしゃみなどで飛んだつばでもかかる飛沫感染です。
その意味で言えば、確かに今回の新型コロナウイルスは、飛沫感染、接触感染がほぼ確定していることから、「それらと、それ以上の接触を避ける対策」をとればよい、ということになります。
他方、現在報道各社が毎日「●●施設でクラスター発生」、などとニュースを伝えているのは、それが当該感染症から身を守るために有効な具体性をもった情報であるからです。
さて、佐倉市が公表する「感染者情報」のもととなっている千葉県のページを見てみましょう。
新型コロナウイルス感染症感染者の発生について(令和2年7月18日)
このページには、上段に「患者の概要」というPDFがあって、直近一定期間の概要がまとめられています。その資料の中に「推定感染経路」という列がありますが、そのほとんどが「不明」であり、推定できる感染経路は「県外患者接触」などとされています。
さらに下って、「参考」という項目の「新型コロナウイルス感染症患者等の発生状況について(疾病対策課ホームページ) 」をクリックすると、「参考資料」として「新型コロナウイルス感染症患者等の県内発生状況について」というPDFがあります。
このPDFは、千葉県で最初の患者が確認された1/31からすべての事例が時系列に掲載されていますが、その列の中に「区分」というものがあり、その項目が「推定感染経路」と推定されます。
この資料では、発生当初は「ジム関連」、「DPAT派遣」、「福祉事業所関係」、「障害福祉施設関係」など、比較的具体的な書きぶりですが、4月初旬からほとんどが「県内発生」という言葉でまとめられています。
「患者と接触」や「患者の家族」、「福祉施設関連」なども見られますが、例えば40代都内勤務のビジネスパーソンの場合、その情報から具体的な対策のイメージはほとんど得られません。
以上から、上段で私がお伝えしたとおり、プライバシーに配慮しつつ、一定の「罹患要因の発表」は必要である、というのが私の考えです。
皆さまはどうお考えでしょうか。
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