- 2024.09.05
佐倉里山自然公園の民有地買収と基本構想について
※髙橋注
佐倉里山自然公園については、過去5年間さくら会が、欠かすことなく買収を熱心に勧める趣旨の質疑等、推し進めてきた事業です。私は、さくら会の圧力により、佐倉市の執行部が今年度当該公園の用地取得予算をつけ、買収を開始したと考えています。
佐倉市の自然環境保全という意味において、当該公園を存続、整備することに異存はありませんが、一方でこの公園の民有地買収に、場合によっては総額10億円以上になるような膨大な予算をつぎ込む余裕は、佐倉市にはありません。
その理由はいうまでもなく、少子高齢化によりますます厳しくなる財政環境が確定しており、「当該公園の民有地買収」より重要な事業がたくさんあるからです。
私が、本公園の民有地買収に反対している理由についてもう少しお知りになりたい方は、2024年6月の私の一般質問をご確認ください。
さくら会がなぜ、この公園の民有地買収に熱心なのか、私は知りません。しかし、いずれにせよこの「民有地買収事業」は、私は止める必要があると考えています。
なお、今回の質問は前回の6月議会で、私と執行部との間で行き違いが生じた点に対する整理をするところから始まります。
以下、質問内容です。
一般質問 2024年9月5日 佐倉市議会 髙橋とみお質疑
里山自然公園に関する前回の質疑では、執行部と私との間で二つの行き違いが生じたと考えております。
- 「佐倉里山自然公園整備基本構想」に記載された文章の解釈について
- もう一つは、当該公園の民有地買収にかかる総額の試算について
であります。
一つ目の「文章の解釈」について、行政文書は、読む人によって解釈が分かれるようなものは、その解釈のブレの中に、いわゆる「行政権の濫用」の余地が発生するため、私は極力そのような文章は訂正する必要があるという観点で、今回取り上げさせていただきました。
また買収の試算総額についても、現在公開、あるいは実行されている公式文書や予算を前提に、あくまで試算値として言論を展開することは今後もありうるという観点から、今一度その前提と根拠について明らかにしたいと考えました。
そこで、今回は上記二つの点について、改めて双方の主張を整理し質問します。
◆文章の解釈について
前回の議会のおさらいをしたいと思います。
私は前回の質問で、里山自然公園全体73.8ヘクタールのうち、民有地が32.4ヘクタール残っていることを確認しました。
また、本年の予算委員会にて議決された、当該民有地2ヘクタール分の買収のための予算6,695万円を割り返すと、1ヘクタールあたり約3,350万円であり、先の民有地をすべて買収した場合32.4ヘクタール×3,350万円となり、合計で10億8,540万円となる試算であるため、「10億円を軽く超える」とお伝えしました。
また、私が残りの民有地32.4ヘクタールを、佐倉市が買い取ろうとしているとした根拠は、佐倉里山自然公園整備基本構想の14ページ「第6章 佐倉里山自然公園の整備に向けて」と題された章にある文章をもとにしています。
この章は「佐倉里山自然公園の整備に向けて」とある以上、里山自然公園の整備全体にかかる内容です。
この章の「(2)」に、以下のような文言が掲載されています。読み上げます。
「用地取得対象地(民有地)について、地権者の意向を確認します。売却の意向が確認できた民有地については、順次、用地測量と不動産鑑定を行い、有償による計画的な用地取得を進めます。」
この文章を、ここでは仮に「文章A」と呼ぶことにします。この「文章A」を根拠に、私の前回の質問では、佐倉市が、当該公園の民有地の全てを順次有償による計画的な用地取得を進めると読めますが、その考えで間違いないですか?と問いました。
この質問に対して、執行部は「全ての民有地を買い進めるという方針はございません。」と答弁されました。
執行部はその根拠として、私が引いた文書と同じ整備基本構想の「第4章 ゾーニング」という章の12ページ「2.重点整備区域」を引用されました。章のタイトルは「ゾーニング」ですから、章の文章は、公園のゾーンごとに個別の内容となっています。
読み上げます。
「活用ゾーンの一部エリアについては、「重点整備区域」に設定し、有償による計画的な用地取得を進めます。」
この文章を、ここでは仮に「文章B」と呼びます。なお、ここで過去の答弁をもとに一言だけ付言しておくとすれば、この「重点整備区域」は、総面積が16.2ヘクタールであり、現在民有地として残っている土地は11.2ヘクタール、そのうち2ヘクタールを今年度予算約6千700百万円で買収しようとしている、という状況です。
この「文章B」を根拠に、「文書A」にある「用地取得を進める民有地」は「文章B」の「重点整備区域」だけであり、その他の民有地を買い進めるという方針はない、という趣旨の答弁を、前回いただきました。
ここで整理をしますと、私と執行部との間で、「文章B」単体の読み方に齟齬はありません。「文章B」において、佐倉市は、里山自然公園における民有地中、特に「重点整備区域」の買収を積極的にすすめている。現に、私は反対しましたが、すでに今年度予算は可決されてもいます。
一方、「文章A」について、執行部は「文章Aにある民有地は重点整備区域のみを指している」といい、私は「同公園の民有地のすべてを指していると読める」と主張しています。
そこで、もう一度「文章A」を読み上げます。
「用地取得対象地(民有地)について、地権者の意向を確認します。売却の意向が確認できた民有地については、順次、用地測量と不動産鑑定を行い、有償による計画的な用地取得を進めます。」
私は、今読み上げた「文章A」と「文章B」の両方を、予断をもたない複数の佐倉市民に読んでいただきましたが、全員私と同じ見解でした。いわく
「重点的に買収をするのは『重点整備区域』だが、その他民有地も『売却の意向が確認できれば買い進める』方針」という解釈です。
その理由は、説明するまでもないことですが、今読み上げた「文章A」には、「重点整備区域」という文言がなく、さらに「文書B」と関連付ける付帯条件すら一切書き込まれていないからです。また、文章Aだけを読んだ市民からすれば、「すべての民有地を買収する方針」以外に読みようがありません。
ページも章も違う「文章A」と「文章B」の両方を読んだとき、私は、そもそも執行部の解釈は不可能とする立場ですが、控えめにいっても解釈が分かれてしまう「文章A」は、しっかり訂正することが肝要だと思います。
修正案としては、
「用地取得対象地(重点整備区域に所在する民有地)について、地権者の意向を確認します。売却の意向が確認できた用地取得対象地については、順次、用地測量と不動産鑑定を行い、有償による計画的な用地取得を進めます。」(←太字は高橋による修正部分)
など、しっかり、明確にそのエリアを限定すべきと考えますが、本件について執行部の見解をうかがいます。
執行部(市役所)回答
残念ながら、修正をしないという趣旨の答弁をいただきました。
前回の質問では、私は
「重点整備区域以外の土地で、地権者から買ってくれと言われたら買わないということですね。」とうかがいました。その質問に対して執行部は
「その区域以外の土地は全て一切買いませんという方針でもございません。適宜判断してまいりたいと考えております。」
と答弁されました。
今回の答弁でも、前回の答弁を踏襲し「適宜判断」という巨大な裁量権を存続させる、という答弁です。
「適宜判断」という言葉をもってすれば、重点整備区域以外の土地でも、買収の理由付けは「無限に」できます。
まして、当該公園の民有地の買収そのものに疑義がある議員が、28名中10名いるような「意見が分かれる予算の使い道」であればなおさらに、公表される文章の内容は厳密なものであるべきです。
どうしても裁量を残したい場合、行政は事例をあげて例外規定を設けるという手法を使うこともあります。
例えば、「重点整備区域以外の民有地に、絶滅危惧種等保護すべき生物が見つかった場合」や「災害等により当該公園内の地形等の変化に伴い、重点整備区域以外の民有地を取得しなければ、既存の公有地における利用者の安全が確保できない場合」などが考えられます。もちろん、そのような例外規定を網羅的に記載することは不可能ですが、ようは「判断のレベル感」に大枠の線を引く方法です。これにより、執行部が「ちょっと計画を変更したから、適宜判断して買うことにしました」というような無限の裁量権に足かせをする方法です。
いずれにせよ、執行部はこの部分の文章は変更せず、提案したような例外規定についても言及のないまま「適宜判断」という巨大な裁量権を温存しました。私はそれを指して、前回の質問で「フリーハンド」と評価したのです。
まして、この里山自然公園の民有地については、買収も含め過去五年間、さくら会の代表質問では欠かさずとりあげられた内容です。市長提出議案の賛否は、さくら会、自由民主さくら、公明党の3会派が過去五年足並みをそろえているため、さくら会が賛成する市長提出議案は過去五年100%可決しています。以上より、当該案件の用地買収議案が議会に上程されれば、賛成多数で可決される可能性は非常に高い。
以上の二重の意味で、私はフリーハンドと申し上げた次第です。
なお、前回質問時の重複になりますが、私は本公園の存続そのものには、現時点では賛成しております。
しかし、予算が潤沢にある時代であればいざしらず、少子高齢化によりこれからますます厳しい財政状況になることが確定している現在において、佐倉市には当該公園の民有地買収以上に重要な事業があるという観点で、当該公園のすべての民有地買収には反対の立場であることを申し述べ、次の質問にうつります。
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