- 2024.06.11
西志津多目的広場の防災トイレと地域ごとの応急仮設住宅立地予定地
まずは、本年2月29日、つまり能登半島地震発災から2ヶ月後の読売新聞記事から紹介します。
記事では、輪島市を含む8市町、人口およそ20万人のエリアで、応急仮設住宅の入居申請が約8000戸にのぼった、とあります。
一方、発災後2ヶ月で完成したのは約300戸にすぎず、避難所や親せき宅に身を寄せる被災者が1万9千人となっている、とあります。
人口20万人は佐倉市に近似しますから、震度6の地震がおきた場合、佐倉市もほぼ同規模の被災状況になることが想定されます。
このように、応急仮設住宅が重要であることは、あらゆる大震災で証明されています。
国土交通省は応急仮設住宅立地予定地について、自治体で見積もっている大震災の全半壊戸数のうち、おおむね2から3割の応急仮設住宅の建設予定地を求めています。
前回の資料を再掲しますが、これは佐倉市の防災アセスメントに掲載されている表です。
この表をみると、東京湾北部地震では、佐倉市は4794棟が全半壊するとされています。
能登半島地震を前提とすると、この数も「控えめな見積」と考えますが、この数値の2割から3割といえば、およそ1000から1500棟弱の応急仮設住宅立地予定地が必要です。しかし、現在は西志津多目的広場の207戸のみです。
そんな中、佐倉市は、地域ごとの応急仮設住宅立地予定地の立地計画はないとの答弁でした。
その理由は、「西志津多目的広場以外では、公共用地、都市公園、民間の遊休地に仮設住宅を作ると考えているから」との趣旨でした。
しかし、前回の質問で引用したとおり、国土交通省が公表した応急仮設住宅建設必携中間取りまとめは、「大災害時には行政もまた被災するため、当初計画したこと以上のことは実施できないという教訓にたち、計画する必要がある」旨の通達を出しています。私もそのとおりだと思います。
災害時に、どこが崩壊、寸断するかわからないから事前計画をたてないのだとすれば、そもそも計画をたてる必要すらなくなりますから、そんな理屈の通らない話はありません。
また、私が地域ごとの応急仮設住宅立地予定地にこだわる理由は、全半壊した建物に住む市民が、ランダムに設定された住居にあてがわれてしまった場合、コミュニティーが破壊し、最終的には孤独死などにつながるためです。これも、能登半島地震の報道が多数なされておりましたので引用は控えますが、大災害の後、縁もゆかりもない地域の住宅をあてがわれ、コミュニティーから引きはがされた結果孤独死するご高齢者の問題は、誰でも一度はご覧になったことと思います。
佐倉市は、現在65歳以上人口の比率が32%を超えています。
また、65歳以上の一人暮らし高齢者世帯は、直近の国勢調査の結果である令和2年の段階ですでに8,046世帯。令和2年の佐倉市の世帯数は約78,000世帯ですから、なんと10軒に1軒以上の世帯は、65歳以上の一人暮らしだという嘘のような状況であり、令和6年現在はその比率はあがっているはずです。
人口割りを考える必要はあるものの、私が「地域ごとの」応急仮設住宅の建設にこだわる理由は以上の通りです。
前回の質問と今回とで、危機管理部の部長がかわったので改めてうかがいますが人口割りを考慮にいれつつ、コミュニティーの維持を極力担保できるよう、地域ごとの応急仮設住宅立地予定地を計画する予定はないかうかがいます。
執行部(市役所)回答
応急仮設住宅建設候補地につきましては、佐倉市地域防災計画において、第1として西志津スポーツ等多目的施設用地、第2に当面利用が決まっていない公共用地、第3に都市公園、第4に民間の遊休地の順に従い、既成市街地へのアクセスがよく、ライフラインが整備された建設用地を選定することとしており、地区ごとの選定はしておりません。
応急仮設住宅につきましては、仮設住宅建設のほか、公営住宅や民間賃貸住宅の借り上げなどの手法も考えられますことから、不足が生じることがないよう、様々な方策を検討してまいります。
前回の質問から一歩も動いておりません。佐倉市は、こういう市であります。
資料をご確認ください。
これは、佐倉市で唯一応急仮設住宅立地予定地に指定されている、西志津多目的広場にある、いわゆる「防災トイレ」です。
なぜ防災トイレというかというと、大きく3点の特徴があるからです。
- 大災害時、万一水道がこなくなった場合でも、地下水をくみ上げることができる井戸が完備されている。
- 下水管が壊れた場合でも、排泄物をため込むピットが整備されており、数日後くみ取りできる設備となっている
- 停電時の発電機の常備
以上の点により、大災害時のトイレの問題を最小限におさえることができます。
多くの報道であった通り、避難所や仮設住宅など被災者が集まる場所では、仮設トイレはあっという間に排泄物でいっぱいになり、機能不全になってしまうことはご存じの通りと思います。衛生状況の悪化やトイレの機能不全による被災者の「排泄控え」の弊害は、市民の命に直結します。
土地と地下水に恵まれた佐倉市ならば、そのような問題を最小限に抑えることができる方策があることを、西志津多目的広場の防災トイレは教えてくれています。
その意味で、今後佐倉市では、各地に設定する応急仮設住宅立地予定地には、私はこのような「防災トイレ」の設置は不可欠と考えます。
そこで西志津多目的広場の防災トイレは、いつ造られ、いくらの予算で作ったのかうかがいます。
執行部(市役所)回答
西志津多目的広場の防災トイレにつきましては、平成28年度に建設し、建設費につきましては電気工事や機械工事を含め、約3,300万円でございました。
下水管が壊れた場合、およそどの程度の排泄物を貯めることができ、またそれは何名が何回分のものと想定しているのか、またそれは、あくまで想定としては何日分に相当するかうかがいます。
執行部(市役所)回答
地下の便槽容量につきましては約32立方メートルとなっております。これは、平成24年に実施した佐倉市防災アセスメント調査における西志津1丁目から8丁目住民の避難所生活者予測人数1,377人が1日に大1回、小を4回すると仮定し、10日間使用することを想定し、積算したものでございます。
4500万円で、市民の命を守る施設を作ることができるわけです。例えば、トイレ1つに5000万円かかる場合、5つ作っても2億5千万円。一方、後ほど確認しますが、里山自然公園の民有地買い取りに10億円、どちらが有効な市税の使い道でしょうか?
ありがとうございました。当時、平成28年当時ではありますが、約3,300万円ということで、10日間現地での生活者のいわゆる衛生環境を保つことができるということであります。例えば高騰する物価を考慮して、現在であれば例えばトイレ1つに5,000万円かかるとした場合でも、5つ造っても2億5,000万円です。一方、後ほど確認しますが、里山自然公園の民有地買取りに、場合によっては10億円、どちらが有効な市税の使い道でしょうか。
そのような状況にあって、佐倉市では地域ごとに応急仮設住宅の立地予定地が計画にないのは非常に残念です。本当に残念です。ぜひ人口割を考慮に入れた地域ごとの応急仮設住宅立地予定と当該立地予定地に西志津多目的広場にあるような防災トイレの設置を数値目標をしっかり立て、時限設定を区切って実現してほしいと要望し、市長のご見解を伺いたいところですが、同じ回答になると思いますので、次の質問に移ります。
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