【2019年12月4日】一般質問:佐倉市の放射線量調査について
2019年12月4日(水)に私が実施した一般質問原稿を掲載いたします。
今回の定例会で私が実施した一般質問は以下5つです。
1.佐倉市の放射線量調査について
2.「佐倉市史」について
3.書籍「佐倉市郷土の先覚者」について
4.佐倉新図書館を起点とした「歴史の街佐倉」街歩き誘導施策について
5.小出義雄記念陸上競技場と紐づく金メダルジョギングロードについて
■はじめに:お詫びと訂正
「1.佐倉市の放射線量調査について」の原稿を公開する前に、本質問に関するお詫びと訂正をさせていただきます。
質問における私の冒頭の指摘は
・市の財政が厳しい
・他方、佐倉市において、現状無駄な事業を見つけるのは困難
・よって、無駄ではない事業でもシビアに優先順位をつける必要がある
という、財政規律を厳格化する必要性を説く文脈から、現在行われている放射線量調査を広域化するなどして、事業縮小する方策をさぐるものでした。
この「放射線量調査」については、これまでの調査結果により「安全」が確保されている状況であることは間違いありません。
調査対象のターゲットは、東日本大震災の福島第一原発であり、当該原発の事故が発生して8年が経過した現在においても、安定的に人体に影響のあるレベルでの放射線量は観測されていないことがその根拠です。
しかし、これをどこまで続ける必要があるか、つまり「安心」を前提にした議論では、市民感情によりばらつきがでる問題でもあります。
よって、続けられるのであれば、続けたほうがよい。ただし、毎年1000万円もの市税を投入して放射線量調査をするのであれば、その予算をより緊急性の高い事業に振り向けるべきではないか、という意見の表明でした。
しかし、私の質問の後、執行部から「市の予算はほぼ使われていない」旨の説明がありました。本調査にかかる予算は、東京電力が費用負担しているというのです。
よって、現時点で放射線量調査の規模を縮小する提案をするのであれば、言及すべきは「佐倉市の限られた職員の人的資産の最適化」を前提にすべきであり、予算への指摘は「あたらない」ということになります。
このあたりを事前に執行部と密に情報交換できていれば、私の質問の内容はまったく違ったものになっていたはずですが、いずれにしても議会での質問内容の責任は議員にあります。その意味では、「佐倉市の予算」と「放射線量調査」を紐づけた質問をしたことに、市民の皆さまに深くお詫びを申し上げます。
以上を前提に、以下質問内容をお読みください。
1.佐倉市の放射線量調査について
■今後の計画と広域化の検討
すでに言い尽くされている感がありますが、佐倉市の財政状況は年を追うごとに厳しいものになっています。
財政の硬直化率をあらわす経常収支比率は、昨年度は94.1%で、これからさらに上昇するトレンドにあります。
自治体の預貯金ともいうべき財政調整基金は、昨年度約55億円のところ、台風対応などの持ち出しもあり、現時点では約38億円となっています。
今後、少子化、高齢化が進行し、また海水温の上昇から毎年台風や大雨が続くようなことになれば、財政状況は、将来的には市としての存続を危うくするレベルで危機的な状況におちいる可能性すらあると考えます。
一方で、現状佐倉市が実施されている事業の中で、無駄を見つけるのは難しいものがあります。
そのような時代にあって、佐倉市では「何を削ることができるか」をシビアに見ることが必要な時代に突入しているといえます。また、予算をかけて実施しなければならない事業でも、収支の意識や、デジタル化などによる予算削減を視野にいれた施策の展開が必要になってくると考えます。
そんな中、佐倉市では、2011年の東日本大震災から、放射線量を測定しています。
本案件は、さくら会の代表質問でも取り上げられましたが、ここで改めて、測定にいたるまでの経緯、測定している対象、経過、今後の方針について伺います。
佐倉市答弁
髙橋議員のご質問にお答えいたします。
佐倉市では、原発事故の直後から、市民の皆さんの不安を解消するために、除染工事の実施や空間放射線量率の測定、給食用食材の放射能検査など、安全安心の確保のための施策を継続して行ってまいりました。現在、空間放射線量率と給食用食材の状況はともに基準値を下回る状況が安定して続いておりまして、今後の測定体制のあり方を含め今年度検討を行い、次年度から段階的に測定体制を縮小していく予定で事務を進めているところでございます。
なお、詳細につきましては担当部長から補足答弁をいたします。
市長答弁の補足をいたします。
空間放射線量率の測定につきましては、平成23年5月から開始いたしまして、同年9月には佐倉市放射性物質除染計画を策定し、詳細調査の上、59施設の除染工事を実施いたしました。また、平成24年2月から給食用食材などの放射能検査を開始いたしまして、空間放射線量率の測定とあわせ継続して測定を行っているところでございます。公共施設の空間放射線量率の測定につきましては、子供たちの生活空間を優先して行うといたしまして、市内保育園、幼稚園、小中学校のほか公園などの測定を行っております。また、給食用食材の測定につきましては、小中学校と公立及び民間の保育園などの食材の測定を行っておりまして、あわせて市内農産物等の放射能測定も行っております。
現在、空間放射線量率と給食用食材の状況は、ともに基準値を下回る状況が安定して続いておりますことから、内部で検討を行い、測定体制を段階的に縮小する方針を定め、来年度から実施する予定でございます。具体的には、市内保育園、幼稚園、小中学校などの空間放射線量率の測定を令和2年度から年3回の測定に縮小し、500メートルメッシュで行っている測定は、測定が2巡する令和2年度の実施をもって終了する予定でございます。また、給食用食材の検査につきましては、令和2年度から学校、保育園ごとに行っている給食用食材の検査を、給食に使用する頻度の高い食材の検査といたしまして、測定回数を年3回に分析体制を自主分析から委託分析に変更する予定でございます。最後に、小中学校におけるプール水の検査は、今年度をもって測定を取りやめるという予定でございます。
ありがとうございました。
ご答弁から、体に影響のある放射線量は安定的に検出されていないことがわかりました。ターゲットが東日本大震災の福島第一原発であることを考えると、今後事故などが発生しない限り、(現状以上の放射線量が)検出されることはないと想定されます。
当該測定にかかる年間予算は約1000万円。これは、毎年経常的にかかる予算ですので、当たり前ですが5年続ければ5000万円が累積で必要となります。
また、1000万円といえば、たとえば市の一般財源で拠出している民生委員・児童委員活動支援事業とほぼ同額です。今後高齢化が進む中、可処分所得が少ない高齢者がますます増えてくる状況において、現在でも人手が恒常的に足りていないこういった事業に振り向けていく、などの施策も検討できるかと思います。
たとえば、放射線量を検査している近隣市と協力し、検査範囲を広域化することで負担する額を下げることも可能かと思いますが、市の見解をうかがいます。
佐倉市答弁
ただいま議員から放射線量調査の経費負担の削減についてご提案をいただきました。議員ご指摘のとおり、状況に応じて予算を機動的に見直していくということは、持続可能な社会を実現するためにも重要であるというふうに考えております。しかしながら、広域化という視点は、近隣自治体の汚染状況重点調査地域の指定の有無や自治体ごとに放射性物質に対する取り組みに違いがございますことから、現状では調整には難しいものがございます。さきの答弁でも申し上げましたが、当市では来年度から放射性物質対策事業における測定を段階的に縮小する予定でございまして、空間放射線量率の測定や給食用食材などの放射能検査の測定項目を維持しつつ、測定頻度を減らしていくことや給食用食材の測定を自主分析から委託分析に切りかえることによりまして人件費を抑え、老朽化する測定機器の更新経費を見直すなど、市民の安全安心を確保した上で経費の削減が図れるよう、来年度に向けて事務を進めているところでございます。
なお、この測定体制の縮小に伴う経費の削減額といたしましては、令和2年度において人件費と委託費で約550万円、機器の更新費などで約360万円、合計約900万円程度の経費が削減となる見込みでございます。
ありがとうございました。縮小の方策及び減額する予算の大まかな金額について了解いたしました。引き続きよろしくお願いいたします。引き続きよろしくお願いいたします。
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