【2020年3月4日】一般質問:佐倉市の不法投棄対策について
不法投棄については、昔から関心があったテーマでした。
両親から「ゴミをポイ捨てする奴は悪い奴」と教え込まれたこともあって、子どものころから印旛沼が遊び場だった私は、大小さまざまな「無造作に捨てられているゴミ」を苦々しく思っていたものです。
私が子供だった時分、今より不法投棄されていたゴミは多かった印象があります。
とはいえ、今でも残念ながら不法投棄されたゴミは多い。一般質問の中にもありますが、印旛沼ネットワーカーの会というNPOに所属し、印旛沼周辺のゴミ拾い活動などをしていた時期がありました。会社が忙しくなり参加できなくなって今にいたりますが、印旛沼周辺には「なんでこんなものが?」という多くのゴミが捨てられていたりしました。
その意味で、以前記事に紹介した高校生たちのゴミ拾い活動をみたとき、声をかけずにはいられませんでした。
同時に、「大人が不法投棄している現状」を、心から恥ずかしく思いもしました。ちなみに、私は不法投棄や振り込め詐欺などに課される量刑は、もっとずっと重くすべきという論者ですが、そのあたりを話し始めると長くなりますので今回は控えます。 一般質問の内容を要約します。
- 中国等で、ゴミの輸入を禁止する措置がなされたことで、今後業者によるゴミの不法投棄が増えるトレンドにある。
- 里山や印旛沼周辺など、佐倉市は不法投棄をする者に狙われやすい環境が多い。
- 公有地、民地の別なく、不法投棄が多くみられる市は、管理がずさんで汚いという印象を与えるため、不法投棄を未然に防ぐ施策の強化が必要。
以下の施策を提案する
【不法投棄を犯罪として立件するために必要な物品】
・監視カメラ(固定型、移動設置型)の設置
・不法投棄物品の一次引受先スペースの設置
【啓発活動】
・看板の見直し
・広報さくら、Web等による啓発活動、検挙事例の掲出、不法投棄事案の公開
以下、一般質問の原稿です。少々長いので、興味のある部分だけかいつまんで読んでいただいてもいいかもしれません。
一般質問:不法投棄対策について
去る1月31日のTBSニュースサイトに「千葉・印西市で産業廃棄物を不法投棄、50代男を逮捕」という記事が掲載されました。容疑者は佐倉市在住者であり、県内で不法投棄を繰り返していたとの記述もありましたので、本事案で佐倉市でも不法投棄があったのか、続報が待たれるところです。
一方、本年1月19日、中国の経済政策の司令塔である国家発展改革委員会が、プラスチック製品の規制に関する政策を発表したことにともない、今後プラスチックごみの輸入を全面的に禁止するとの方針が打ち出されました。
この「廃プラスチック輸入規制」の流れは、2017年から中国、マレーシア、タイ、台湾などでも段階的な政策として打ち出され、今後より厳しいものになっていくトレンドです。
これまで、ごみ回収等を生業としていた業者の皆さんからすれば、プラスチックごみ等は、ある程度まとまっていれば多少なりとも海外に販売することができる「商材」でしたが、今は単に「お金を払って処理すべきゴミ」になっています。
そこで、日本ではこれまで廃材置き場にため込んでいたそれらのゴミを、不法投棄する業者が今後増えることが予想されています。先に紹介した産廃の不法投棄の事例も、投棄されたごみの内訳をみる限り、この流れに関係があるように思われます。
さて、本年4月1日施行予定の第5次総合計画に、不法投棄対策について記載がございます。当該総合計画は、佐倉市の将来都市像を明確にするために策定される大変重要な計画であり、その中に書かれている内容は、すべて達成を目指して努力しなければならないものと承知しています。当該総合計画の中で、「パトロールや関係機関との連携強力により、不法投棄等の防止につとめる」という記述がございます。
確かに、佐倉市は里山や印旛沼周辺など、不法投棄に狙われやすい場所が多くあります。
以前、佐倉印旛沼ネットワーカーの会のメンバーとして、定期的に印旛沼周辺のクリーン活動を実施しておりましたが、ポイ捨てと考えられる一般廃棄物、業者が不法投棄したと思われるまとまった量の産業廃棄物、など様々なごみがありました。
また、インターネット上にある佐倉市関連情報の掲示板に、角来の踏切付近の不法投棄のごみについて書き込みがある、との情報を、過日知り合いから聞きましたので、内容を確認してみました。
私の地元でもあるこの場所は、確かにかねてから気になっていました。本質問を実施するにあたり改めて確認にいきましたが、ここは不法投棄のうち、ポイ捨てと家庭ごみと思われるものが多くみられ、業者による不法投棄とは趣が異なるように感じられました。お配りした資料の通り、看板が設置されているにもかかわらず、ゴミがゴミを呼んでいる状況といえます。
◆不法投棄に関する現状
不法投棄対策事業等の現状
それでは、質問にうつります。
まずは、現状についてうかがいます。
佐倉市の不法投棄に対する啓発用動画では、不法投棄されるごみの量が減少しているとの言及がありました。そこで、近年の佐倉市管轄内での不法投棄件数、不法投棄された廃棄物のおおまかな内訳とその傾向、犯人特定・逮捕にいたった件数の推移を教えてください。
さらに、同動画にて、不当行為等防止指導員が3名、警察OBとなっておりますが、現状の状況とあわせて、不法投棄に関して、佐倉市が不法行為等防止指導員の方々の協力の元実施している業務の内訳についておきかせください。
佐倉市答弁
環境部長(橋口庄二) :
不法投棄対策事業費の主な内訳といたしましては、警察OB3名の方の賃金、不法投棄監視員への謝礼、不法投棄禁止看板の作成費などでございます。
不法投棄の内容でございますが、市内においてレジ袋に入った小さなポイ捨てや冷蔵庫などの家電、建築廃材などの大規模な産廃の不法投棄まで、年間約600件ほどの不法投棄がございます。今年度、行為者が判明したものは2件、逮捕まで至った案件は残念ながらございません。
次に、不当行為防止指導員につきましては、平成13年より千葉県警のOBの方に来ていただいておりまして、現在も3名の方が佐倉市の臨時職員として勤務しております。
不当行為防止指導員の業務といたしましては、警察官OBとしての経験や知識を生かし、残土埋立て現場や廃棄物等の処理の現場において業者の指導、現地調査、不法投棄の状況などのパトロールを毎日行っております。特に現場指導において威圧的な態度を取る者との折衝、指導、地元警察との連携業務を行っていただいております。また、月1回、休日に廃棄物対策課職員とともに市内全域の不法投棄や埋立て行為に対するパトロールを実施しております。さらに、市民の方16人に不法投棄監視員を委嘱し、担当区域のパトロールを週1回お願いしておりまして、不法投棄の早期発見に努めておるところでございます。
ありがとうございます。警察OBの方が毎日パトロールをされているということで、あとは月に1回、職員の方も休日返上でパトロールをしてくださっているということでご苦労さまでございます。
不法投棄をさせないためには、お話いただいたような活動の継続が必要不可欠です。引き続きよろしくお願いいたします。
他方、不法投棄の増加が予想される今後、不法投棄量の年間の推移など、先ほどご質問したような内容については、Webでしっかり公開いただけるようお願いいたします。
不法投棄現場の特徴
不法投棄が行われる現場は、同じ場所が狙われるケースが多くあります。
佐倉市で、不法投棄が恒常的に行われている場所にはどんな特徴があるかうかがいます。
佐倉市答弁
環境部長(橋口庄二):
不法投棄は、夜間に農道や林道など、車が止められて人目につきにくい、こういった場所で行為に及ぶ傾向にあります。また、もともとごみが散乱している空き地や草木が伸び放題の場所は、特にごみが捨てられやすい箇所と認識しております。
ありがとうございました。
ざっと思いつくところでいうと、先ほど紹介した角来の踏切近くの林をはじめ、私の認識もご説明と合致いたします。
廃棄物処理法第5条によると、ゴミは不法投棄されたものであっても、基本的にその土地を所有している所有者に処理する責任があります。
その意味で、不法投棄が恒常的に行われている場所が民地であった場合、行政として対応しづらいものがあることは承知しています。
しかし、公有地、民地の別なく、不法投棄が多くみられる市は、管理がずさんで汚いという印象を与えます。
佐倉市民はもとより、他市から移住を検討されている方も、印旛沼などの自然を満喫しに佐倉に来た観光客の方々にも、ゴミが多い状況は大きなマイナスの印象を植え付けます。また、不法投棄などが多くみられる土地は、犯罪発生率が高いとする、いわゆる「割れ窓理論」などもあります。毎日パトロールいただいているところではございますが、100平方キロメートルある佐倉市は広大で、全域をパトロールで網羅はできません。不法投棄を未然に防ぐ施策の強化が必要と考えます。
不法投棄対策の用意と今後
警察関係者の方に取材したところ、不法投棄対策を未然に防ぐために用意すべきものは様々あるようですが、主要アイテムはおよそ以下のようなものでした。
【不法投棄を犯罪として立件するために必要な物品】
・監視カメラ(固定型、移動設置型)
・不法投棄物品の一次引受先スペース
【啓発活動】
・看板の設置
・広報さくら、Web等による啓発活動、及び検挙事例の掲出、不法投棄事案の公開
まずは、不法投棄が多発する場所の周辺に設置する「固定型カメラ」と、犯人特定のため機動的な使い方が可能な「移動設置型カメラ」についてです。
固定カメラが設置されている場所では、不法投棄は激減します。その意味では、仮にカメラがないことで恒常的にゴミが発生しつづける状況を前提とした場合のゴミの撤去、犯人特定、費用弁償等の交渉にかかる人件費を考慮すると、カメラの設置は仮に30万円程度かかるとしても、かける価値は十分あるものと考えます。私有地であっても、例えば先の事例のように公道に面した土地であれば、不法投棄の放置は市民や佐倉市を訪れた方々には「行政の怠慢」に映ってしまいます。市として不法投棄が多いと認識されている場所には、ぜひ設置をご検討いただきたく思います。
次に、移動設置型カメラについてです。
不法投棄がなされる場所は、繰り返し狙われます。そこで、犯人特定を目的として、自治体で移動設置型カメラを利用するケースが増えてきています。事実、先の事例である柏市でも、移動設置型カメラを市が複数台保有しておりまし、他市の事例では、移動設置型カメラの映像が犯人逮捕の決め手となったケースは多数ございます。サイズはコンパクトで、ある程度「どこでも設置可能な」仕様になっています。
また犯人に見つからずに証拠映像をとるためのカメラの設置方法にはノウハウがあるようなので、その意味でも警察関係者の協力は重要です。
監視カメラについて
そこで質問です。今後不法投棄が多くみられる箇所の周辺に固定型カメラの設置を、また不法投棄者特定の機動的なアイテムとして移動設置型カメラのストックをする計画があるかうかがいます。
佐倉市答弁
環境部長(橋口庄二):
不法投棄に関して、議員ご提案の固定型カメラ、あるいは移動設置型カメラ、こういった監視カメラにつきましては、私どもも非常に有効であるというふうに認識はしてございます。今現在はございませんけれども、今後導入に向けて近隣市町村の動向、あるいは個人情報等の関係法令を調査してまいりたいというふうに考えております。
不法投棄物保管スペースについて
次に、不法投棄されたごみを保管しておくスペースについてであります。
不法投棄されたごみを放置しておくと、「ゴミがゴミを呼ぶ状況」となり、現場が荒れます。他方、警察としては事件として立件するために、ゴミは一定期間保管する必要がある。そこで、まず不法投棄のゴミを現場から撤去するために、当該スペースを利用します。
一つの事案を立件するため、投棄物の調査、撮影、警察での事務手続き、証拠保存などのため、できれば1年間、最低でも半年は保管できる、比較的広いスペースが必要とのことですが、佐倉市ではそのような場所があるかうかがいます。
佐倉市答弁
環境部長(橋口庄二):
残念ながら不法投棄を一時保管できる広いスペースは確保できておりません。現状では、警察の現場検証後に警察の指示により、不法投棄物の重量等を計測後処分しております。
ありがとうございました。地味ですが、不法投棄の捜査には必要な場所です。引受先スペースは非常に地味なのですけれども、不法投棄の捜査には非常に重要な場所というふうにヒアリングをしております。例えば、小篠塚の最終処分場ですとか、あとは重機のある角来の消防署の周辺、あの辺りなどにスペースを設けるなど、ご検討をいただければと思っております。
最後に啓発活動についてであります。
現在、看板設置を希望された市民からの要請により、お配りした資料の上の写真にあるような看板を、市民に配布しています。このような看板は、一定の良心がある方には効果がありますが、悪意をもって不法投棄をする者には効果はありません。
そこで提案したいのが、恒常的に不法投棄がなされている場所などに、配布資料のような看板を設置してはどうでしょうか。これは、私の知人の発案でデザインされたものですが
・色やイラストで直感的に理解できる
・看板にセンサー付き太陽光パネル電灯が設置可能
・カメラやwifiのマークで犯行現場が常時監視されている印象を与える
等の特性があります。
センサー付き太陽光パネル電灯は、千円程度で比較的容易に購入できますので、予算の都合があるのであればそれは設置者自らが購入してもよいかもしれません。
これは、先に紹介した監視カメラの用意とセットになりますが、良心に訴えるものではなく、一定の威嚇効果もあるという点で強力です。また、もちろん当該看板が設置されている場所すべてにカメラがある必要はありません。
さらに、犯人が特定された場合公表する、とする条例、もしくは規定があればより効果的です。実際、柏市の不法投棄対策条例にはそのような条文がございます。
また、広報さくらやWEBで、定期的に犯人特定にいった事案の掲出をすれば、さらに抑止効果は高まります。
啓発活動について
以上紹介したような取り組みに関して、今後の計画をうかがいます。
佐倉市答弁
環境部長(橋口庄二):
個人所有の土地に関しましては、当該土地所有者が管理することとなっておりますが、佐倉市では不法投棄禁止看板を用意し、ご希望のあった土地所有者や土地管理者の方に看板を配付しております。なお、看板のデザインにつきましては、髙橋議員提案の視覚で訴えるような、イラストなどを使った分かりやすい看板も視野に入れて、今後検討してまいります。また、センサーつき太陽光パネル電灯などは、配付した看板を土地所有者や土地管理者の方に有効に活用いただければというふうに考えております。
今後も、不法投棄対策については、市民の皆様のご協力も必要であることから、周知啓発に努めながら、市でできることを着実に実施してまいりたい、このように考えております。
ありがとうございました。
看板について前向きなご検討をいただけるとのこと、今後を楽しみにしております。
また、その他広報についても、やや踏み込んだ提案をいたしましたが、冒頭のとおり不法投棄が増える可能性が高い状況ではありますので、佐倉市が狙われることがないよう対策をお願いいたします。
佐倉市では、印旛沼周辺の豊かな自然をベースとした観光産業の振興計画も進んでおります。不法投棄が多い印旛沼周辺のさらなる対策強化をはじめ、不法投棄のない、美しい佐倉市を実現すべく、特に不法投棄を未然に防ぐための政策の強化をお願いいたし、私の質問を終えさせていただきます。
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