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佐倉市議会における定例会の流れ

2019年9月の定例会は、8月26日月曜日に招集されて、9月25日水曜日に最終日を迎えます。
佐倉市における定例会の流れは、おおまかには下の画像のとおりです(今回の定例会は、図の「常任委員会」と「最終日」の間に「決算特別委員会」が挟まりますが、定例会としてはイレギュラーなケースですので割愛しました)。

このブログでも何度か「定例会」について書きましたが、我ながらなんとなくしっくりいかなかったこともあるので、もう一度「佐倉市議会における定例会の標準的な流れ」を説明しつつ、ところどころに「佐倉市議会における課題」と考える点を書きます。

なお、このひととおりの説明の後、今回私が実施した「一般質問」について、順次アップしていく予定です。

◆初日

定例会で話し合われる議案のほとんどは、市長が提案します。

そのため、当該議会の初日に、決済をとりたい議案の説明を、市長自らが実施するのが「提案説明」です。

この「提案説明」は、たくさんある議案について、そのサマリを「チラッと」説明するに過ぎないため、それぞれの議案を深堀りする必要があります。

そのため、いったんほぼすべての議案は「常任委員会」という会議体に振り分けられます。この「振り分けられる」という行為が、図でいうところの「初日」の枠内にある「委員会付託」というわけです。

ちなみに、市議会議員は、必ずこの「常任委員会」のどれか一つには所属しています。私が所属しているのは、「建設常任委員会」です。

◆一般質問

佐倉市議会では、図の通り「初日」の後(実質的には、初日から一般質問までの数日間は、調査期間として議会は休会となります)に「一般質問」があります。

この「一般質問」というのは、各議員が佐倉市に対して疑問に思っていることや、提案したいこと、などを、文字通り「質問」という形で投げかけることができる機会です。

そのため、冒頭に説明した「当該議会で検討するたくさんの議案」とは、直接的には関係ありません(関係ないどころか、当該定例会の検討議案については、一般質問ではとりあげてはいけないという規則があります)。

「一般質問」には、所属会派を代表して質問する「代表質問」と、議員なら誰でも実施できる「個人質問」があります。そんなわけで、会派に所属していない私は、「個人質問」しか実施することはできません。

この、「一般質問」、テレビやネットで観ると、いかにも退屈なものに映ります。「こんなことやって、意味あるの?」と、思われる方も多いかもしれません。

しかし、これは実に強力なパワーを持つ、議員固有の権利なのです。

例えば、「佐倉市の災害避難所に備蓄が足りないのでは?どの程度の備蓄をしているのか教えてください。」という趣旨の質問を議員がした場合、市役所は事実をしっかりと答える必要がある。その事実が実際に「防災備蓄としては十分ではない」ということになった場合、市は「しっかり備蓄を追加します。」と答えざるをえない(そこまであからさまに回答するケースは稀ですが)。

市が一般質問の場で回答したことは、そのまま公式な記録となるため、いったん一般質問の場で「やる」と言ったことについては、やらないわけにはいきません。

そのため、一見ダラダラとやりとりしているように見える「一般質問」は、議員と市との間で相当な駆け引きがなされている場合が多くあります。

◆常任委員会

佐倉市の場合、図のとおり4つの常任委員会があります。それらの委員会では、市役所の方々から、それぞれの委員会で検討すべき議案(初日に振り分けられた議案)について説明があります。

委員会の開催は、委員会毎に1日のみ。その1日で、議員が気になった議案について、執行部(市や教育委員会など)の説明の後、質疑応答するチャンスがあります。

質問をする権利は、委員会所属議員であれば委員長、副委員長以外誰でも与えられています。逆に言うと、自分が所属していない委員会では、議員とはいえ一切発言することはできません。(2019年12月13日:委員長、副委員長も、必要に応じて委員席に移動し質問など発言できますので、上記のとおり訂正しました)。

発言をすることはできないのですが、委員会でのやりとりを傍聴していないと、自分が所属していない委員会の検討議案の「どこが肝なのか?」がわかりません。

もちろん、委員会開催の前に、自分が気になる議案について、市役所の担当課に問い合わせて内容を確認することもできますが、自分が気づいていない点が、委員会での他議員による質疑で明らかになるケースもありますし、もし仮に市長が提案した議案を委員会が否決した場合は、その経緯は委員会に参加していなければまったくわかりません。

そのため、私はほぼすべての委員会を傍聴していますが、傍聴に姿を現さない議員も多くいます。

余談ですが、私がこの常任委員会についてしっかり動画公開すべき、と繰り返し言っているのは、このように、市の方向性を決めることもある「とても重要な会議」であるためです。

平日の昼間に開催される常任委員会を傍聴できる人はごく限られています。そのため、多くの自治体がこの委員会等の動画公開を開始しているにもかかわらず、佐倉市では試験公開すらなされていない。

この点については、私の今後の議員活動でしっかりと「公開」の方向にもっていくつもりです。その折には、佐倉市民の皆さまのお力が必要ですので、何卒よろしくお願いいたします。

話をもとに戻します。
各委員会でのやりとりが、議員の力量(つまり、何に課題意識があって、佐倉市をどうしていきたいのか、というビジョンを基にやりとりするという意味で)を発揮する場となります。

市役所との質疑が終わったら、市役所職員など執行部の方々に退出いただきます。

その後、委員会所属議員のうち希望する者が、それぞれの議案に対する賛否と意見を述べる「討論」を実施します。

ちなみに、ここで言う「討論」は、議員による意見表明のみ。討論というと、普通は議論をイメージしますが、意見表明をしたい議員による一方通行の演説の場です。なお、定例会の「最終日」にも、「討論」は登場します。最終日では、全議員が、付託されたすべての議案について「討論」する権利を持ちますが、最終日における「討論」も、議員による一方通行の演説です

「討論」が出そろった後、当該委員会に付託された議案一つ一つについて、委員会で賛否の決をとります。

多数決により決せられたすべての議案の賛否は、委員長などが作成する付帯意見とともに、最終日に各委員会の委員長によって読み上げられることになります。

さて、先述の「討論」を行うのは、自分の意見を、他の委員会所属議員に訴えることで、賛否の材料にしてもらうことを目的としています。

しかし実際には、「会派所属議員」のほとんどは、この委員会の前に、すべての議案について、会派内で賛否をそろえてしまっています。それが、いわゆる「会派拘束」です。

もちろん、会派を結成している以上、委員会の前にそれぞれの議案について議論をする必要はあるでしょう。しかし、「会派の意見に絶対服従」を前提とする会派という仕組みは、私には「数合わせの装置」にしか見えません。自分が反対をすべきと考える議案について、会派拘束で賛成をするとき、その議員は投票してくれた皆さんに顔向けできるのでしょうか?実に不思議です。

なお、最近では、会派拘束をせず、議員同士の「議論装置」として機能させるべく結成された会派が、地方議会で出現しはじめました

佐倉市では、藤崎市議と宇田市議が所属する「市民オンブズマンひまわり会」という会派のみ、「会派拘束のない会派」です。

◆最終日

定例会の最終日は、委員会に付託された議案ほか、当該定例会で検討すべきすべての議案について「やるorやらない」を決定する日です。

まずは、委員会ごとに検討されたすべての議案について、委員会での議決結果と付帯意見が、各委員長により読み上げられます。

すべての委員会の報告が終了したら、議員のうち希望する者が、自分が意見表明したい議案について議場で発表する「討論」が実施されます。

すべての「討論」が終わったら、個別議案の賛否を、全議員で採決していきます。

すべての議案の採決が完了したら、閉会となります。

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