- 2020.01.10
市議会議員ってどのくらい出勤するものなの?
ときどき『市議会議員は、「議会の仕事」で、どのくらい出勤するもんなの?』と聞かれます。
確かに、議員になる前の私も、漠然とそんな疑問をもっていました。
市議会議員の仕事は、「公務と自主活動」の大きく二つに分けられます。
公務については、例えば参加をほぼ義務付けられている公式イベントの参加、なども該当するかとは思いますが、その大半を占めるのが「議会」での業務です。
今回は、市議会議員の日々の活動のうち、「議会関連業務」を中心にお話しします。
なお、「自主活動」については、議員ごとにまったく違う活動をしているので、混乱が生じるため本稿では取り上げません。
◆議会において議員が「最低限出勤しなければいけない日程」って?
議会は定例会と臨時会がありますが、そのほとんどが定例会ですので、定例会を軸に説明いたします。
佐倉市の場合、定例会は年に4回開催されます。
年4回、という開催回数は、全国市議会議長会発行の「平成30年度 市議会の活動に関する実態調査結果」という資料によると、99.4%の市議会が採用しているそうです。なお、3の倍数月が「議会が開催される月」と考えると、だいたい間違いではありません。
年度ベースでいうと6月、9月、12月、3月が、定例会が開催される月だというわけです。
1回の定例会の会期は、通常ざっくり20日強程度、といえます。よって、佐倉市を含む一般的な市議会では、定例会の年間会期日数は「20日強×年4回=80日強」と考えればよいと思います。
ちなみに、先述の資料によると、1年間に開催される定例会の会期日数の全国平均は、87.3日間です。定例会・臨時会を合わせた会期日数の平均は、88.9日間です。
なお、この「会期日数」すべてが、いわゆる「市議会議員の出勤日」ではありません。
それでは、議員が参加を義務付けられている「本会議」の開催状況をみてみましょう。
同資料によると、議員の出席が義務付けられている「定例会本会議」の、1年間の開催日数の平均は21.5日間です。さらに、臨時会本会議を含めたそれは23日間です。
つまり、市議会議員が絶対に出席しなければならない本会議の開催日数は、1年間で平均23日間だ、ということです。
ここで、一番直近に実施された佐倉市の12月議会の日程表をもとに説明します。
この表の中で、議員全員が出席を義務付けられているのは、招集日、一般質問、最終日の合計6日間。これに、自分が所属している常任委員会の出席が1日分必須ですから、合計で7日間が「出席義務がある日」です。
市議会議員の「議会での業務」について、あくまで全国平均を前提にお話しすると、「一年間で開催される本会議の合計」である23日間と、所属委員会(年4回開催)への参加日数4日間を足した27日間、議会に出席すれば「最低限の仕事はしたことになる仕事」、といえます。一般的なビジネスパーソンと比べると、おそるべき少なさです。
ただし、「議会関連業務」に限定するとしても、「それしかやっていない議員」というのは、少なくとも佐倉市には存在しません。
◆「本会議」と「所属委員会」以外で実施する「議会関連業務」
表中にある件でいうと、「自分が所属していない常任委員会の傍聴」があげられます。佐倉市では、印象としては平均6割以上の議員が、自分が所属していない委員会を傍聴しています。なぜ傍聴するのか?については、私のこちらの記事の「常任委員会」をお読みいただけると、その理由がわかります。
また、議会での一般質問を実施する議員は、事前に執行部との調整が2週間程度続きます(とはいえ、2週間フルで市役所に詰める必要があるわけではありません)。「一般質問」については、私のこちらの記事の「一般質問」をお読みください。
この「一般質問」について言えば、議題の優先順位付けや市民の皆さんからの意見収集、原稿素案作成などを含めれば、「一年中やっている仕事」と言えます。
例えば私について言えば、本年3月の定例会をターゲットとした「一般質問」をするために、自分が住む地区の自治会で調整をはかり、関係する市役所の部署や関係機関にヒアリングし、市民の方から意見をいただく作業を、すでに昨年の9月下旬に開始しています。このような活動は、「自主活動」と「議会関連業務」との中間に位置するものだと言えそうです。
さらに、議会ごとに上程される議案の説明を受けたり、説明を受けた後浮かんだ疑問点をヒアリングしたりする日程は、この表には反映されていません。
また、ことの是非はともかく、会派に所属している議員のほとんどは、どの議案に賛成・反対するかを会派内部で議論し、会派の意見を統一します(私としては、会派内で議論をして意見を統一する努力をするところまでは大賛成ですが、会派で賛否を拘束することについては疑問あり、という立場です)。
さらに、議会の開催日や内容、手順を決めるために、正副議長と議会運営委員会の正副委員長の間で調整をはかる、などが「見えない作業」としてあるようです。
◆まとめ
まとめると、「議会関連業務」に関する限り、「参加義務のある日程」は合計で平均30日未満というのが、日本の市議会議員の実情です。後段説明したとおり、その日数をそのまま「市議会議員の議会業務日数」と考えることはできませんが、それにしても、「少なすぎる!もっと働け!!」というご意見もあるでしょう。「そもそも、いらないでしょ、市議会議員」という強烈なご意見も、よく聞きます。
稼働日数にかかわらず、市議会が市長提案の議案に対する追認機関でしかなく、市民の声を反映する政策形成に何ら貢献せず、市民への説明責任を十分に果たしていないならば、それらの批判は残念ながら「その通りです。でも、憲法や地方自治法でゴニョゴニョ・・・。」という返事しか返せないはずです。これは、私を含む市議会議員全員が、しっかりと肝に銘じるべきことです。
市議会議員が生み出すアウトプットが、市民の皆さまにとって満足いくものであるか、ということを常に念頭において、令和2年もがんばりたいと思います。
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