- 2019.03.07
最近の「議会不要論」に関するメモ
議会の真価は、本来「代表機能」と「政策形成」にある、という話
以前書いた「議員活動について、しっかりした情報公開を実施する」というブログ記事で、地方議会議員の仕事について、以下のように表現しました。
- 市民の多様な要望、意見を聞くこと
- それらを基に、市が提案してきた議案について「やるorやらない」を決めること。また、ときに市に対して政策提案すること
- 議会での重要な決定事項については、議員個人の賛否の理由を市民に伝えること
これを、もっと簡潔な言葉で表現すると、「1.」と「3.」は、市民の「代表機能」、「2.」は「行政監視機能」と「政策形成機能」に分けることができます。
さて、このブログを読んでくれている方に聞いてみたいのですが、あなたが前回投票した議員は、市の運営について「自分の代表」をしていると感じられるでしょうか?また、「政策形成」の役割を果たしているといえるでしょうか?
「言えないなぁ」と感じたのだとしたらそれは、「そもそも地方議会は不要じゃないか?」という、いま日本に蔓延している「議会不信」の根っこを、あなたも共有しているのだと思います。つまり、「議員は自分の代表とも思えないし、彼らが作った政策なんて、聞いたこともない」、という白けた不信感です。それが、投票率の低さや、議会への関心の低さにつながっている。
しかし、それでもかろうじて「議会の機能」として理解できる部分があるとすると、「行政の監視機能」かと思います(それすら危うい、というご意見もあるかもしれませんが)。
実際、全国的な傾向として、「議員の仕事は、市の予算の使い方や運営の監視なのだ(それだけで十分だ)」と勘違いしている議員が、非常に多いという話をよく耳にします。
もし議会が「行政監視機能」だけを担っている機関なのであれば、議会の仕事は複数の監査法人にお願いしたほうが、よほどプロフェッショナルな仕事をするはずです。
たとえば、地方自治法の制約がないと仮定して、以下のような方法をとったらどうでしょう?
選挙によって選ばれるのが「監査法人」だった場合
たとえば5つの監査法人が、議会議員の代わりに市民よって選挙で選ばれるとします。
主な役割は、年4回開催される議会における、「市税の使い道と行政の監視・監査」とします。
仮に佐倉市を前提にした場合、年間予算は3億円(共済費を引いた場合2億3,733万3千円)を原資と考えると、1つの監査法人あたり約4,750万円を払うことができます。
市長や行政機関に選ばれるわけではないので、基本的に市とはまったく独立した仕事ができるわけです。
また、監査法人は、選挙の際に地区ごとにオブザーバー市民を任命します。監査法人は、年に4回の議会の前に、オブザーバーから意見をいただくことを義務付けるけれども、監査法人がオブザーバーを拘束する日数は1回の議会につき2日として、年間8日間。その分のオブザーバーへの支払いは、年間40万円とします。これで「地区ごとのゆるい代表」を担保するわけです。
選挙は、議会議員と同様に4年に一度開催されるので、権力が固定することもない。
また、年に4回開催される議会ごとに、5つの監査法人すべてに、「市民にとってわかりやすい」議会報告書の作成と、市民への全戸配布(佐倉であれば、1回あたり約30~50万円程度)を義務付ける。もちろん、ネットやSNSでの報告もやってもらう。
かなり粗い設定ながら、議論の土台にはなると思います。
どうでしょう?
断言しますが、監査機能という意味だけでいえば、現行制度より確実に精度の高い仕事をします。「監査法人は行政の監視なんてできない」という意見もありそうですが、それは予算見合いの話なので、ビジネスになればできないはずがありません。
また、すべての監査法人が議会ごとに市民に出す報告書は、現状全国で作られているどの「議会だより」より、しっかりした情報が盛り込まれた、完成度の高いものになるはずです。
地方議会がある実質的な意味は、「代表機能」と「政策形成」
私は、こういう前提をおいた場合の想像力や危機感が、いまの全国の地方議会にない、ということの問題提起をしています。
何度も言いますが、監査機能だけならば、監査法人に任せましょう。あなたは、不要です、と日々市民から突き付けられているのです。
さて、以上のような前提をおいてなお、「でもやはり議員は必要なのだ」という理由は
- 民主主義の土台となる「市民の代表」としての役割をまっとうすることで、選挙民である市民が「納得感」を得られる仕事をすること
- 監査法人では知りえないような、市の実情を前提とした政策提案と政策形成ができること
だと、私は思います。
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