- 2024.09.21
2024年決算特別委員会:髙橋とみお討論
はじめに
2024年9月20日(金):佐倉市議会決算特別委員会
佐倉市議会では、議会の審議で議員が他会派の批判をすることを、事実上禁止されています。このようなおかしな市議会は、全国どこの議会でもないのではないでしょうか。
9/20の決算委員会の討論で、私はさくら会を批判しましたが、私が「さくら会」と表現した部分を「一部会派」に訂正するよう求められ、やむなく訂正しました。
佐倉市議会には、議会の最高規範である議会基本条例が存在しています。
その第13条は、以下のような内容です。
(議員間の自由討議)
第13条 議会は、議会が議員による討論の場であることを認識し、議員間の自由な討議に努めなければならない。
私の討論が正しいか、間違っているかは市民の皆さまが判断すべきことですし、問題があるならば言論をもって反論すればよいでしょう。しかし、佐倉市議会の最大会派であるさくら会は、上記の議会基本条例を超越し、佐倉市議会では「神」であるかのような振る舞いをしています。
以下、私の討論原稿です。
決算特別委員会:髙橋とみお討論
議案第1号から9号までの
令和5年度決算に賛成します。
議員必携によれば、決算審査とは
- 議会が決定した予算が適切に執行されたかどうかを評価する
- 各種資料に基づいてその行政効果や経済効果を測定、評価する
行為とされています。
決算の審議で、予算が適切に執行されたか、という点については、問題ないものと評価しました。
一方、行政効果、経済効果を測定する、という点については、非常に疑念の残る決算であったと考えます。
では決算そのものに反対するか、というと、仮に反対多数となった場合の行政の混乱を勘案したときに、そこまですべき重篤性はない、という判断により、本決算に消極的な意味で賛成いたします。
以下、令和5年度の決算の審議における背景と指摘事項を申し述べます。
◆決算審議の背景
将来を見通したとき、佐倉市の財政は危機的状況にあります。
令和4年度と5年度の一般財源決算を比較するだけでも、その傾向は理解できます。
決算総額は、令和4年、5年ともに約570億円で1億円の差もないにもかかわらず、障害者や高齢者に対する福祉の充実などの経費である民生費の割合は約18億6600万円も上昇しています。なお、民生費の総額は実に257億円です。
一般財源にしめる民生費の割合は45.1%であり、上昇率は3.2%です。
将来を見通せば、少子高齢化はこれから加速していきますから、財政はますますひっ迫することが確定している。
民生費のほとんどは、市民の命に直結する予算ですから、いわゆる削れない予算です。
その観点でいえば、限りある予算の使い道として、よりシビアに検証されるべき決算だと思っております。
「にもかかわらず」という助詞のあとに続けざるを得ない事業が、令和5年度の決算に多数あります。
◆問題のある事業例
例えば、里山自然公園の民有地買収事業6700万円です。幸いなことに、この予算は交渉が不調におわり執行されることはありませんでしたが、今年度も引き続き予算がつき、土地所有者との交渉が続いています。
Wコア構想により、自然をベースにグリーンツーリズムの拠点としてふるさと広場周辺に行政コストを集中しようとしている今、なぜか里山自然公園の民有地を数億円かけて買い取ろうとしている。
執行部は、将来の世代に自然を残すことは重要だ、と解く。その通りです。民有地が残っている今の状態でも、十分に自然は残っている。あとは、公園指定をして、公園内にゴミを捨てるのを取り締まり、あるいは開発行為を規制すれば、何の問題もない。
さくら会一部会派は毎回の一般質問や本決算を含む委員会審議で、民有地の買収を要請していますが、冒頭にあった市の財政を前提とすれば、そのような提案は本来できないと考えます。
さらに、執行部は、重点整備区域の買収をすすめる、といいながら、本決算の審議においてそれ以外の土地も買い進める方針が明らかになりました。
また、森林環境譲与税が、この里山自然公園の事業に使われていることが審査の答弁で明らかになりました。
例えば、小学校の通学路で危険な森や林を整備する事業予算としては使わず、その大半をいったん基金に組み入れて、その金員を里山自然公園に使うという方策は、税金の流れをわかりにくくするロンダリングのような手法であるといわざるをえません。執行部が、そこまでして里山自然公園に税金をつぎ込む理由について、引き続き注視すべきと考えます。
加えて、いわゆる「敬老事業」をあげます。
おじいちゃん、おばあちゃんにありがとうの気持ちを伝えたいという気持ちは重要ですが、実際にこの事業を運営している複数の方々から、事業の重要性がわからない、年に一度のルーティンワークとなっていて、渡す側も小物をもらう側も「これはなんだろう?」という雰囲気の中趣旨もわからず行われている、という内容のお話しを聞いています。
老人福祉という観点でいっても、今後増え続ける痴ほう症対策や、佐倉市では10世帯に1世帯以上が65歳以上の一人暮らし世帯という、いわゆる独居の高齢者がかかえる諸問題にあてる予算のほうが、より重要性が高い。私は、この事業は、私たち政治家がしっかり説明をしたうえで、やめることが必要だと考えています。
◆疑問・疑念の残る事業
また、疑問・疑念の残る事業もありました。簡単に説明します。
岩富寺崎線の道路建設
確かに、県道65号のバイパス的な位置づけとして、道路が新設されるならば様々な観点で価値があると考えます。一方、この道路が完成すれば、現在でも恒常的な渋滞が続いている寺崎北交差点が、さらに重篤な渋滞に悩まされることにならないでしょうか。ものには順序があると考えます。
干場公園事業
これは、市が保有する公園内に建設する自治会の施設に、市の予算でトイレを作る、という実に変則的な事業です。
このトイレの契約は随意契約で行われていますが、トイレの建設に随意契約をするというのも異例です。
先の無会派の会の討論にもありましたが、この契約は、実に疑念の残るものであるといわざるを得ないと考えます。
◆活動指標成果指標
昨年度の決算の折にも指摘しましたが、一部改善はみられたものの、未だあまりにひどいものが多々、見受けられました。
具体的な部門名をあげるのは避けますが
- 毎年行う通常事業の数を成果指標としているため、そもそも数値として達成されることが確定しているもの
- 経年の結果を追うための数値でありながら、年ごとの数値の前提が変わっているために表の意味をなしていないもの
- 成果指標でありながら、数値の増減について「増えればよいのか、減ればよいのか」というまさに「成果の指標」を担当者が把握していないもの
- 同一イベントの開催回数と参加者数が併記されておらず、意味なくばらばらに書かれているため、表としての意味をなしていないもの
など、数え上げればきりがありません。
あまり好きな表現ではありませんが、民間経験が長かった私からすれば、このような成果指標が稟議で通ることを理解できませんし、それが公開されていることに耐えられない恥ずかしさを感じます。
これでは、市民から執行部が目標なく漫然と業務にあたっているという評価をされても仕方のないことです。
また、このような成果指標を疑問もなく通している市議会は、仕事をしていないと評価されることになるでしょう。
すでに何度もお伝えしている通り、私は今後の言論でこのような佐倉市の体たらくはしっかりと展開させていただきます。
この「ゆるい目標の、ゆるい行政」は、間違いなく西田市政が抱える大きな問題であると考えます。
◆よかった点
よかった点としてはふるさと納税の決算が、ようやくマイナスからプラスに転じる機運がみえたことです。
これまで、普通交付税の算入額も含めた、ふるさと納税の「入りと出」の差額は、昨年度決算で約7460万円のマイナスとうかがいましたが、今年度はようやくその額が172万円のマイナス程度になりました。未だマイナスではあるものの、これは担当部の努力の結果です。
令和6年度は、返礼品がYogiboを加えたことにより、おそらくプラスに転じるのではないかと推察しますが、あまりにこの見込みをあてにすることのないようにお願いいたします。
また、できれば花火大会の席等の「佐倉市の魅力を体験いただける返礼品」の考案もお願いしたいところです。
なお、とはいえ私は、ふるさと納税制度そのものについては、国民の納税意識をゆがめるという意味において反対していることを申し添えます。
以上、賛成討論といたします。 ご賛同ください。
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