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西志津多目的広場とは何か

売却検討の意味と、ふるさと広場拡張をめぐる佐倉市の「共有財産」の行方

いま佐倉市では、二つの大きな動きが同時に進んでいます。

一つは、ふるさと広場の拡張整備計画です。市税ベースで約20億円、総額では約30億円規模の投資が予定されています。私は言論媒体アゴラでの連載を通じて、この計画が「需要予測」「採算構造」「交通・安全」「市民参加」といった点で多くの課題を抱えていることを指摘してきました。

もう一つは、西志津多目的広場の売却検討です。こちらは、市内でも比較的大きな公有地であり、これまで地域の共有財産として扱われてきました。

本稿では、後者――西志津多目的広場とはどのような場所なのか、なぜ売却が検討されているのか、そしてそれがふるさと広場拡張とどのように関係しうるのかについて、できるだけ整理してお伝えしたいと思います。

西志津多目的広場の位置づけ

西志津多目的広場は、文字どおり「多目的」に利用されてきた公有地です。

平時には地域の活動や憩いの場として使われ、災害時には応急仮設住宅の建設予定地として位置づけられてきました。広い面積を有し、まとまった土地が少なくなってきた佐倉市においては、数少ない「将来に向けて使い道を考えられる空間」と言えます。

つまりこの土地は、単なる空き地ではなく、

  • 市民の活動の場であり
  • 災害時の安全弁であり
  • 将来世代のための選択肢

です。

なぜ「売却検討」が出てきたのか

市の説明によれば、財政状況や公共施設の適正配置といった観点から、保有資産の見直しが進められており、その一環として西志津多目的広場も「売却を含めて検討」されている、ということです。

もちろん、保有資産を見直すこと自体は不合理ではありません。限られた財源の中で、どの土地を持ち続け、どの土地を手放すのかを考えることは自治体の重要な仕事です。

ただし、問題は「どのような基準で判断するのか」です。

  • 防災上の役割は十分に評価されたのか
  • 地域住民の意見はどの段階で反映されるのか
  • 将来の公共ニーズはどの程度見積もられているのか

これらが十分に示されないまま「売却検討」が進められるのであれば、市民にとって納得のいく判断とは言えません。

路面価で20〜30億円という意味

一般的な目安として、西志津多目的広場の価値は路面価ベースでおおむね20億円から30億円程度と見られています。

これは「必ずその価格で売れる」という意味ではありません。あくまで土地の評価額としての目安です。しかし、市の資産価値を考えるうえでは重要な数字です。

この金額は、ふるさと広場拡張に投入される市税約20億円とほぼ同規模です。

ここに、避けて通れない問いが生まれます。

佐倉市の共有財産は、どこに、どのような優先順位で使われるべきなのか。

「西志津を売って、ふるさと広場に使う」のではないが…

私は「西志津の土地を売って、そのお金をふるさと広場に充てている」と単純に言いたいわけではありません。一般会計の仕組み上、売却益は一度市の財政全体に組み込まれ、個別の事業に一対一で紐づくわけではありません。

しかし、政策判断のレベルでは、両者を切り離して考えることはできません。

もし西志津の土地を手放すのであれば、その価値はどこに使うのが最も公益に資するのか。

  • 防災の強化か
  • 子育て支援か
  • 老朽インフラの更新か
  • 農地や緑地の保全か
  • それとも、ふるさと広場なのか

この優先順位こそが、市政の本質です。

一方で、ふるさと広場にこれだけの公費を投じるのであれば、その投資が市民全体にどのような形で還元されるのかが明確に示される必要があります。現状では、その説明が十分とは言い難い――これが私の率直な問題意識です。

地域対立ではなく、市全体の選択として

ここで強調しておきたいのは、これは「西志津 vs ふるさと広場」という対立の話ではない、ということです。

問われているのは、

  • どの地域が得をするか
    ではなく、
  • どのような市政を選ぶのか

という、市全体の選択です。

西志津多目的広場も、ふるさと広場も、ともに佐倉市の貴重な資産です。その使い方をどう考えるのかは、市民全体で議論されるべきテーマです。

これからの時間軸

3月にはふるさと広場のPark-PFI事業者選定が行われ、6月議会では指定管理者の議決が予定されています。西志津多目的広場の扱いも含め、いずれも佐倉市の将来を大きく左右する判断です。

だからこそ、いま一度立ち止まり、数字と事実に基づいて議論したいと思います。

佐倉市の共有財産は、どこに使われるべきなのか。

この問いを、市民のみなさんと共有していきたいと考えています。

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