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選挙カーのガソリン代「1日7,700円」は妥当か?

選挙カーはどこを、どんな目的で走るのか?

2022年8月定例会

市長や議員の選挙の折、ポスター代や選挙カーのガソリン代などが税金で賄われる。経済的に余裕のない方も立候補しやすいように、一定程度の公費負担は必要だ。他方、あまりに現実的ではない金額設定がされている公費については、見直しが必要だ。

選挙カーのガソリン代の上限について、これまで「1日7,560円だったものを、ガソリン代等の高騰を背景に、7,700円に値上げする」とする趣旨の議案を審議した。

そこで、稲田議員は具体的な数字的根拠をもとに「選挙カーがフル稼働した場合のガソリンの使用料」を算出し、修正案を上程した。稲田議員が修正案で提示した1日のガソリン代の上限は3,000円だった。論理的にみて稲田議員が議会に提出した修正案は理にかなっていたが、さくら会等議員団、市民ネットワーク、ひまわり会と市民オンブズマンの反対により、稲田議員の修正案は否決された。


市長や議員の選挙の折、ポスター代や選挙カーのガソリン代などが「公費」つまり税金で賄われます。

私は、経済的に余裕のない方も立候補しやすいように、一定程度の公費負担は必要と考えます。

他方、あまりに現実的ではない金額設定がされている公費については、当然ですが見直しが必要と考えています。

さて、佐倉市を含む市町村では、国の通達に従って選挙の公費負担分の上限額を条例で定めています。

2022年8月定例会で、選挙カーのガソリン代の上限について、これまで「1日7,560円だったものを、ガソリン代等の高騰を背景に、7,700円に値上げする」とする趣旨の議案があがってきました。

そもそも選挙カーは、本来の目的のもとでどんなに走っても1日7,700円分使うことはあり得ません。そこで、稲田議員は具体的な数字的根拠をもとに「選挙カーがフル稼働した場合のガソリンの使用料」を算出し、多少の余裕を見た数字をもとに条例化しましょう、という修正案をあげました。稲田議員が修正案で提示した1日のガソリン代の上限は3,000円でした。

私は、論理的にみて稲田議員が議会に提出した修正案の「1日上限3,000円」のほうが、はるかに現実に則した金額であることから稲田議員案に賛成しましたが、さくら会等議員団と市民ネットワークの反対により、稲田議員の修正案は否決されました。

1日ガソリン代7,700円の「非現実性」

選挙カーとは、候補者が「演説会場の移動」のために使うのが本来の目的です。

「候補者の名前や顔写真による車のデコレーション」や「選挙カーの移動中での候補者の名前連呼」は、「演説会場の移動時間」に候補者の認知を広げるために行う行為であり、「市民に政策を知ってもらうための演説」に対する付属的な選挙公報行為です。

しかし、「選挙カーのデコレーション」はともかくとして、移動中の選挙カーにおける「名前連呼行為」は、迷惑以外の何物でもないと私は考えます。あまり知られていませんが、選挙カーが移動している最中、候補者が演説することは「違法」です。演説が違法な理由は、端的に言えば「うるさいから」以外に考えられませんが、そうであるならば名前連呼も同様「うるさい」のに、公職選挙法的には「お目こぼし」となっている。その理由は、「公職選挙法を作ったのもまた政治家だから」といえば十分でしょう。私は、名前連呼も「うるさいから違法」とすべきと考えています。名前を刷り込んで投票させる行為が、選挙の本義とはとても思えないからです。

しかし選挙期間中は、この「名前連呼行為」が主目的となっている選挙カーが、実は圧倒的に多いのも事実です。「名前連呼」だけなら、確かに一日中佐倉市をくまなく走り回れますが、それは単に市民の皆さまに「自分の名前を刷り込む」ためだけに街の環境を損なう行為なので、控えるべきでしょう。

そこで、来るべき11月議会では、佐倉市議会で「選挙カーで名前を連呼する行為を控える」決議を提出する予定です。

以下、3年前に私が書いた「名前を連呼する選挙カーをやめるべき」とする論考です。

移動距離とガソリン代の「当たり前の関係」

さて、選挙カーの本来の用途である「候補者の演説会場の移動」を前提とすると、選挙カーが1日で走行できる距離はどんなにがんばったとしても110㎞が精いっぱいであることが、稲田議員の議会での説明により明らかになりました。

「110㎞で十分」とする詳細な計算は、本ページ最下段に記載した【別添】をご確認ください。

仮にガソリン代が1リットルあたり160円としましょう。現在の車の燃費を考えれば、1リットルあたり10㎞は走ります。そう考えると、110㎞分のガソリン代は1,760円ですから、2,000円でもおつりがくるわけです。

110㎞の走行で1日7,700円分のガソリンを使い切るのは、1リットルあたりの燃費が3㎞のフェラーリでもできません。

調べたところ、前回の選挙では、佐倉市議会では「上限額いっぱい」に請求した議員はいませんでした。しかし、他の選挙では、未だに「上限額いっぱい」の事例はちらほらみられます。今後、仮に本来あり得ないガソリン代を請求する候補者が現れたとしても、上限枠内ならば「問題なし」ということになります。そういう問題点を、条例で潰しておく必要があるのは明らかですが、さくら会等議員団、及びひまわり会と市民オンブズマンからは本件について意見は表明されないまま、稲田議員の修正案が否決されました。

※本件について、川口議員が市民ネットワークを代表して討論されていますので全文を掲載します。本論考とは意見は違いますが、このように意見を表明していれば、少なくとも「市民ネットワークはこのような意見で反対している」ということが公式な記録として残ります。他方、さくら会等議員団とひまわり会と市民オンブズマンの皆さまは、本件について議会での言及はありませんでした。

【市民ネットワーク:川口議員反対討論 該当箇所全文】議案第14号、市議会議員と市長の選挙運動の公費負担を引き上げる条例改正です。燃料費については、修正案の1日当たり3,000円では選挙活動を狭める可能性があり、賛成できません。現行の7,560円について妥当性を今後十分検討すべきであり、さらなる引上げには反対をいたします。


【別添】稲田議員:修正案金額の根拠 議会説明該当部分

議案第14号は、昨今の物価高を前提に選挙運動の公費負担の限度額を引き上げようとするものです。選挙運動の公費負担については、新人候補者が積極的に立候補できるよう一定程度の費用の確保は認められるべきと考える一方、実情に合わない上限額の設定は見直すべきと考えます。執行部が提出した議案第14号は、選挙運動用自動車、いわゆる選挙カーのガソリン代について、現行1日7,560円を上限値としているところ、改定により7,700円にしようとするものです。この改定案に対し、今回私が提出した修正案は、実情に合わせ1日の選挙カーのガソリン代の上限値を3,000円にしようとするものです。

以下、修正案の根拠を説明します。
 まず、選挙カーの用途は、演説会場から演説会場への移動であることを前提とし、その結果、算出される1日の選挙カーの走行距離を基にガソリン代を決定すべきと考えました。

選挙カーが稼働できる時間は午前8時から午後8時までの12時間であり、休憩時間を1時間として1日の稼働時間を11時間と設定しました。

1会場当たりの演説時間を10分とし、会場の設定と撤収を5分ずつとすると、演説会場にとどまる時間の合計は20分です。

佐倉市の地理条件から演説会場から次の会場までの移動距離を5キロメートルとし、選挙カーの平均時速を時速30キロとすると1回の移動にかかる時間は10分です。

演説会場での20分と選挙カーでの移動時間10分を足すと、1回の演説にかかる総時間は30分です。

1日の稼働時間である11時間を1回の演説にかかる時間である30分で割ると、候補者が演説できる回数の上限は22回となります。

5キロメートルの距離を22回移動すると考えると、移動距離は110キロです。

国交省が公表している普通自動車の平均燃費はリッター当たり22キロですが、選挙カーは複数人が乗車していることから車の燃費をリッター当たり10キロとしました。

移動距離110キロを、燃費10キロで割ると、1日に使うガソリンの上限値は11リットルです。

現在の千葉県の1リットル当たりの平均は156.48円です。よって、今後の値上がりも考えて160円とします。

1日に使うガソリンの上限値である11リットルを160円で乗じると1,760円になります。

この金額にさらにガソリン代が値上がりする可能性も考慮して、また選挙時の行動パターンも若干違うので前回選挙の実績も勘案し、選挙カーにかかるガソリン代の上限値を3,000円としました。

以上、ご賛同くださいますよう、よろしくお願いいたします。以上です。

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