- 2023.01.04
長年続いた敬老会:さくら会等議員団の否決により1年間の断絶 引継ぎ困難に
佐倉市議会による「敬老会予算0円」査定
2019年6月定例会
【記事の要約】
西田市長の選挙公約でもあった敬老会の開催。
しかし、西田市政が始まった直後の2019年6月議会で、さくら会等議員団が敬老会予算を「0円」としてしまったことで、西田市長就任初年度の敬老会は実施不可能となった。その翌年もコロナが流行したことでほとんどの地区社協が実施を見合わせ、敬老会事業はボランティアの皆さまの業務引継ぎすら困難となった。
確かに、敬老会より優先順位が高い事業があると考える立場はある。他方、市長の選挙公約の重みを前提に、私を含む28名全議員は敬老会開催に反対する議員はいなかった。さくら会等議員団も敬老会開催には前向きだったものの、予算を0円にした理屈は、「敬老会の実施主体である各地区社協との調整がついていない」というものだった。しかし、選挙後間もない議会を前に、執行部が地区との調整を十分に実施する時間はなかった。
さくら会の「0円予算」は、西田市長へのマウント行為ではなかったのか? (以下本編)
2019年、西田市長が就任後はじめての定例会で上程された「“おじいちゃん・おばあちゃん”ありがとうの気持ちを伝えたい事業(以下「敬老会」とする)予算450万円」に対して、さくら会等議員団は「予算を0円」に「修正」しました。予算がなければ事業は実施できないため、この議決結果により長い間継続されてきた「敬老会」に、継続できない「空白の1年」が発生しました。
2019年以降の状況をかいつまんで説明すると、以下のようになります。
- 2019年、さくら会等議員団による、敬老会予算0円動議の可決により、同年度の敬老会が中止となる。
- 2020年は、議会で敬老会予算が認められた一方で新型コロナが蔓延していたという背景もあったため、14ある地区社協のうち6つの組織が、ご高齢者に記念品を郵送する方式を主として実施。この年、佐倉市が本事業に充てた交付金の総額は約278万円。
- 2021年も引き続き議会で予算が認められる。コロナ禍も下火になってきたことで、この年度からようやく14ある地区社協のすべてで敬老会が実施。この年、佐倉市が本事業に充てた交付金の総額は約690万円。
継続性のあるイベントの扱い
このような継続性のあるイベントは、「やるか、やらないか」が非常に重要です。一回でも中止になれば、ご高齢者も多い実行委員側の業務引継ぎは困難になり、ノウハウも運営者のやる気も失われることになるからです。
また、西田市長は「敬老会の充実」を公約に掲げて市長になったこともあるため、私は敬老会事業を「続ける」という前提で、2019年の議会でも市長が提案した450万円の予算で実施するべきと考え、本案に賛成しました。その予算に問題があれば、次年度の予算編成時にしっかり問題提起をし、是正すれば足るからです。他方、さくら会等議員団は本件予算を「0円に修正」し、敬老会が実施できなくなった経過は先の通りです。
結果的に言えば、「コロナ以前」最後の敬老会の実施を不可能にしたのが、さくら会等議員団の議決行為でした。
さくら会等議員団の「0円の理由」
2019年8月19日発行の議会だよりを読むと、さくら会等議員団が本事業に設定された予算に反対した主たる理由は以下の通りです。
- 各地区の実情をしっかり精査していない(さくら会)
- 予算が十分ではなく、難色を示す地区が出てくることが懸念される(公明党)
- 地域格差を生み開催困難な地域がでる(自由民主さくら)
これは、突き詰めれば「敬老会を実施する各地区との調整がついているのか?」という懸念から端を発していると考えてよいでしょう。
その懸念については、本議案が審議された文教福祉委員会にて、担当部長から「2019年1月から2月にかけ、各地区の地区社協の代表者、事務局長、区会長等と意見交換をし、地区ごとの課題、今後の事業展開等をヒアリングしたうえで制度が実施できるような予算とした」という答弁がありました。確かに、2年後に再開した事業の決算額を見る限り、450万円という予算はそれほど的を外したものとは思えません。
また、本議案は市長が変わった直後の6月定例会に上程せざるをえなかったため、西田市政になってから14ある地区社協すべてと十分な協議をする時間はありませんでした。
一定の説得力がある争点
同年7月2日に行われた文教福祉常任委員会において、一つだけ説得的な争点があるとすれば、爲田委員が示した懸念についてです。爲田委員は質疑の中で、
「執行部の提案金額をみると、世帯数が多いユーカリが丘地区では、自治会加入世帯が9,177世帯で約47万円。一方、一番世帯数が少ない弥富地区は518世帯で21万5,000円。二つの地区が世帯当たり同程度の事業を実施できるとは到底思えない」という趣旨の懸念を表明しました。確かに、計算をしてみると、この二つの地区の比較では、世帯数は17倍以上の差があるにもかかわらず、金額は2倍程度しかありません。
このような「割り当て金額の不均衡」は、地区当たりに平等に設定された「基礎金額」の部分と、世帯当たりに設定された「世帯当たり金額」のバランスから生じていたのです。確かに、私もその批判は首肯するものがありました。
この点を見る限り、この議案以降3年間で発生した「私と賛否が分かれたその他7議案」より、本議案の賛否は政策論争として成立しうる争点があると考えます。
爲田議員のあげた争点に対する反論
以上のとおり、爲田議員があげた争点はしっかり受け止める必要があります。
一方で、もし執行部が提案した予算組に「地区別の割り当て金の不均衡」があると考えるならば、今年度の実施を前提に、再度その部分の不均衡を是正するような意見をし、修正動議を提出するような対応はできなかったのか?と私は考えます。
あるいは、時間のない中なので当該年度はその予算で通すものの、付帯意見として次年度からそのような不均衡をしっかり是正するよう促すことが、「責任会派」の役割ではないのか?とも考えました。
ご高齢者が主体的に実施する敬老会では、実施を前提とするのであれば継続性が最大限考慮されるべきであり、その点を度外視して「0円」としてしまうのは、あまりに知恵の無い、短絡的な手法であると思います。
実際、この議決の後複数の地区社協の関係者の皆さまと本件についてお話しさせていただきましたが、ヒアリングしたすべての方が「継続性の観点から、事業を続けるならば予算はつけてほしかった」とおっしゃっていました。
その時の私の討論が、佐倉市議会の公式サイトで公開されておりますので、適宜ご確認ください。
(髙橋とみお議員討論:59分51秒から)
さくら会等議員団のマウンティングではなかったか?
ここからは私の私見ですが、さくら会等議員団は、本議員構成になってから初めての議会で、市長に対して「自分たちをないがしろにするとこうなるぞ」というマウンティングをしたかったのではないか、と考えます。
敬老会事業は、市長が公約にあげた一丁目一番地の事業です。その予算を根こそぎゼロにしてしまう議決は、議員に成りたての私としてはかなり異様な議決行為に映りました。
補足しておくと、敬老会より、今後深刻化が避けられない一人暮らしの高齢者の対策予算や、居住促進予算のほうが重要だ、等の理由から敬老会を「やらない」という判断もあり得ますが、28名の議員の中で敬老会の実施そのものに反対をした議員は(私を含め)いませんでした。 昨今、本敬老会事業については、市民の皆さまからもいろいろな意見を聞いています。いずれにして本事業は、次回市長選の争点になることは間違いなさそうです。
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