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2021年12月13日討論:HPVワクチンの積極的接種勧奨再開に反対する意見書に反対

討論原稿を公開するにあたり

市民ネットワークが提出した本意見書は、相当に考えさせられるものでした。

発議案第6号 HPVワクチンの積極的接種勧奨再開に反対し、被害者の救済を求める意見書
は、上のタイトルをクリックしてください。

私はこの議案を審議するまで、HPVワクチン接種について、2013年になぜ政府が「積極的勧奨」することをやめたのか、深く理解できていませんでした。

今回、私は本議案の審議を通じて、できる限りの情報を確認したつもりです。「重篤な副反応が疑われる症状」に苦しんでいる方々が発信する情報も、そういった方々がワクチン接種したある町の元町長の訴えも確認しました。

そして、それらの「ワクチン接種に警鐘を鳴らす方々」の思いと疑義、彼らが求める対応や対策についても、できる範囲で確認したつもりです。

そのうえで、私はやはりHPVワクチンの積極的勧奨に賛成しました。

以下、賛成討論をお読みください。


本件については、市民ネットワークの皆さまに事前に懸念点についてうかがい、いただいた資料や動画についても確認をしました。

その中で最も心に響いたのは、兵庫県多可町の前町長である戸田善規氏の動画でした。もし自分が戸田氏の立場であったなら、当該ワクチンの接種に積極的な立場をとりうるか、と考えさせられる内容でした。

他方、先般公明党の代表質問でもあったとおり、子宮頸がんは年間約1万人が罹患し、うち約2800人が死亡しており、患者数・死亡者数とも近年増加傾向にあることがわかっています。

さらに、厚生労働省のワクチン評価に関する第17回小委員会では、2000年から2003年に生まれた女子にHPVワクチンを接種していれば、約1万7000人の罹患、約4000人の死亡が将来的に予防できるはずであったとの研究結果が報告されています。

有効性については、昨年、New England Journal of Medicineという科学誌に掲載されたスウェーデンの報告で、4価HPVワクチンの接種により、浸潤性子宮頸がんの発症リスクが低下したことが証明された、とあります。

安全性については、国内の研究としてNagoya Studyをはじめ海外の研究でも、HPVワクチンと接種後の症状との間に有意な関連が見られなかったことが証明されたとしています。

冒頭紹介した戸田氏をはじめ、ワクチン接種に批判的な方々はNagoya Studyを否定する論文を引き、積極的勧奨再開の批判を展開していますが、その否定論文に対してもカウンターの論文や論考が多数提示されている状況です。

さらに、ワクチン接種に批判的な研究者も、「HPVワクチンの接種と、有害事象として報告された症状との因果関係」は証明できておりません。

以上から状況を整理すると、少なくとも「有害事象として報告された症状と、ワクチン接種の因果関係」が認められない一方で、子宮頸がんで亡くなっている方は年間2800人程度おり、ワクチン接種によりそのうちの相当程度の命を救うことができる、ということが言えます。

その意味で、現在科学的に裏付けのあるリスクも踏まえた情報提供を前提とし、接種は任意であることも考えあわせれば、厚生労働省の積極的勧奨再開は理にかなっている、と考えます。

もし私に娘がいたとしたら、上記のような説明をしっかりし、娘の意見を聞いたうえで、私としてはワクチン接種に賛成であることを伝えるだろうと考えます。

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