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2021年6月16日一般質問:佐倉市のコロナワクチン接種予約について

佐倉市のコロナワクチン接種予約については、大変な混乱に見舞われました。

最終的には16歳以上の国民すべてを対象とした、前代未聞の短期集中型ワクチン接種予約。佐倉市にかかわらず、基礎自治体は相当に気の毒な部分があったことは事実です。

とはいえ、気の毒だからといって「混乱はしょうがないよね」と言っていたらそれは行政の監視的立場にある議員の振る舞いではありません。

そこで、私の質問は

  • 混乱の大きな原因の一つとなった「ウェブ予約システム」の詳細
  • 予約開始時の市長の指揮
  • 接種前倒しの工夫
  • ワクチン予約特命チームの体制の今後
  • 佐倉市公認の方法以外での裏道的ワクチン予約
  • 一人暮らしの高齢者等のワクチン接種
  • 今後の接種券の発送について

を質問しました。

読んでいただければお判りになるかと思いますが、質問に対して明確に答えていない部分が多数見受けられます。これは、答えられない、あるいは非常に答えづらい質問であるからです。

意地悪なように思えるかもしれませんが、こういう「誰かが指摘しておくべき観点」の質問を議員がしなければ、反省なきままうやむやになる可能性が高い。

とても長いので、その点ご容赦ください。


佐倉市のコロナワクチン接種予約について

髙橋質問

新型コロナのワクチン予約について質問させていただきます。ワクチン予約を開始した5月9日はもとより、同月20日に開始されたワクチン予約受付も、電話予約、ウェブ予約共に大変つながりにくい状況でした。無会派議員3名で2回にわたり市長に提出した予約の改善に関する要望書の内容を踏まえつつ質問をさせていただきます。

まず、今回のウェブ予約システムの詳細について伺います。具体的には

  • 当該サービスを運営している会社とサービスの名称
  • 当該システムの決定事由から入札、採用に至った経緯、発注額(これは初期費用とランニングと契約期間)
  • 当該システムの状況(これはウェブサーバー等を含むホスト及び回線容量などについて)
  • 契約期間中のシステム増強(これはスケールアップやスケールアウト、負荷分散などの考慮がなされているかどうか)
  • ホストや回線は佐倉市以外の幾つの自治体のサービスがぶら下がっているのか(この質問は、仮に複数自治体が1つのファシリティを共有しているとすると、同時予約が発生した場合、回線やシステムの処理能力を奪い合い、遅延が発生する可能性を前提に伺っています)
  • 契約時の内容チェックは、情報システム課など知見のある職員が精査したのか

について伺います。また、以上を踏まえて

  • 5月9日の反省を5月20日以降どう反映したのか
  • さらに、予約を開始あるいは再開した5月9日、20日、21日のそれぞれで、西田市長はどこで、どのように陣頭指揮を取っていたのか伺います。

執行部(市役所)回答

まずは、ウェブ予約システムの運用についてでございます。運用は、光ビジネスフォーム株式会社との契約により行い、特にサービスの名称はございません。

次に、決定事由から入札、採用に至った経緯でございますが、当該システムはコールセンター業務や接種クーポン券発送業務などを含めた一括委託契約であり、システム選定につきましては、一括契約をした事業者が選定したものでございます。事業者より、インターネットに慣れていない方々も、スマートフォンなどを活用して簡単に入力ができること、予約枠を設定する際、医療機関の負担が少ないことなどの説明を受け、総合的に判断し、随意契約としたものでございます

次に、発注額、初期費用、ランニング費用等と契約期間でございます。契約金額につきましては1億4,971万7,766円で、内訳はシステムの構築費用が330万円、その運用保守費用が2,860万円、接種クーポン等印刷費用が1,436万2,766円、コールセンター設置及び運用費用が1億345万5,000円でございます。契約期間は令和3年2月19日から令和4年3月31日までとなっております。

続きまして、当該システムの状況、ホスト、回線容量についてでございます。当該システムは当初6台のサーバーで運用しておりましたが、現在は8台に増設して運用しております。また、アクセス回線の容量は100メガbpsとなっております。

続きまして、契約期間中のシステム増強、スケールアップ、スケールアウト、負荷分散等の考慮についてでございます。システムがつながりにくいなどの障害が発生した場合は、事業者とその原因について分析を行っております。また、システムの増強や負荷分散等の設定についても、状況に応じてサーバー増設や構成変更を柔軟に行っております。

続きまして、ホストや回線は佐倉市以外に幾つかの自治体のサービスにぶら下がっているかというご質問です。サーバーにつきましては、佐倉市専用となっておりますが、アクセス回線につきましては他自治体と共用となっております。

続きまして、契約時の内容チェック等でございます。契約時は、コロナ対策室が主体となり導入を進めてまいりましたが、予約システムの混雑により市民の皆様にご迷惑おかけしたことから、情報システム課とともに協議を行い、安定した運用に努めているところでございます。

続きまして、5月9日の反省を生かし、5月20日以降どう反映したのかという質問でございます。5月9日以降の対応につきましては、サーバーを増設し対応いたしましたが、5月20日のアクセス数が、5月9日を上回り、非常にアクセスがしづらい状況が続いたため、5月21日にサーバーの割り振りを変更することで状況は改善され、現在までに安定的な運用となっております。

執行部(市役所)回答

5月9日、20日、21日、市長は一体どこで何をしていたかという質問でございますが、この5月9日の予約に対しては非常に市民の皆さん、特に高齢者のおじいちゃん、おばあちゃんに大変迷惑をおかけしたことは深くおわび申し上げます。

5月9日、何で日曜日にということが言われておりますが、これは、おじいちゃん、おばあちゃんが予約を取るのはなかなか大変だろうと、お孫さん、また息子さん、娘さんに取っていただくというような、そういう形の中で、日曜日という指示をしてしまったということは深く反省に当たります。そして、この9日の反省をいたしまして、先ほど部長からの答弁がありましたサーバーを増やす、また情報システムの専門的な職員を入れて、相手方の会社とよく相談をしました。こちらから電話をしてもなかなか取らない、なかなか出ない状況が続きましたが、市長として、実際にその会社に足を運ぶというところまでいった段階で電話が通じまして、いろいろお話をしました。

その結果、先ほどの部長答弁の形になりました。しかしながら、この5月20日の始まる前に、実は19日の段階で1回目のワクチン接種の予約が取れたが、2回目が取れていないというのが約5,000人の方がいらっしゃったということがありました。その前日に、どうにかその方を埋めなければならないということで四苦八苦していました。しかし、その前日ですが、まだ1回目の予約しか取れない方に到達するまでに、サーバーが回復していなかった危機的状況でした。情報システム課の職員も寝ずに、対策室の職員も寝ずに頑張っていました。私のところも2時、3時にメールが来てい状況で、こうしなさい、ああしなさいという指示をしておりました。

おかげさまで朝に回復をして、無事にその5,000人の方を、ほぼ8割救済することができて、20日のワクチン接種予約に臨むことができました。しかしながら、電話が集中するとなかなかつながらない、これはもう事実です。しかしながら、次の日に時間をずらしてやることによって、大変よくできた、大変つながりやすくなったという市長の手紙も受け取っております。こういう点から、今現在非常に電話応対の方、またそれぞれの方も一生懸命頑張っていただいて、今は他市に自慢をするような体制がようやくできていると私は認識しておりますので、職員も私自身も決して遊んでいるわけではないので、それを議員はよく理解していただきたいと思います。

髙橋質問

ありがとうございました。論点は多々ありますが、3点ほどお話をしたいと思います。

まず1点目は、皆様のお手元にもありますが、業者との契約書の前提となっている仕様書に、基礎数値が全くないという点です。例えば1時間に何人の予約電話が予想されるので電話回線は何本とするとか、受付初日のネットでの申込みは秒間で何名を前提しているから、回線容量はこのスペックが必要などの積算根拠がないので、負荷テストもしていないし、今回のような遅延が発生しても、仕様書の基礎数値を基には業者に指導一つできない。月額200万円のシステム発注としては余りにずさんと考えます。時間がないので、本件についてこれ以上の指摘はしませんが、これは今後も引きずる問題であろうかと思います。
 2点目は、市長からいろいろとお話をいただきました。いろいろ気にかけていただいた点、多々ありがたいと思いますが、とはいえ前代未聞の大規模予約開始日である5月9日は、せめて西田市長はセンターで現場にいていただきたかったという点です。現場の状況で、あるいは市長のみが決裁できるシステムの即時増強ができたかもしれません。また、首長が現場にいることで、その後の政策にも生かすことができる知見が得られたかもしれません。その点は非常に残念に思います。
 3点目は、予約初日さえ市民の不平の声を耐えれば、後は静かになるという思いで、システムや回線電話の増強を怠ってはいけないという点です。今回の予約で、市民1人当たり予約に4時間、5時間かかった、あるいは一日かけても予約できなかったとする声をたくさんいただきました。数万人単位で1人4時間とすると、この予約の遅延により、市民の時間を何十万時間無駄にしたのかという点を胸に、もろもろご判断いただきたいと思います。

髙橋質問

佐倉市では、ワクチン予約のために11名の特命チームが結成され、ワクチン運搬のための保存パックや接種の運用など効率性の高い仕組みを短期間で構築されました。他方、予約については、さきのような目詰まりを起こしている状況が見受けられるほか、広報では公式サイトの表記、電話自動アナウンス、予約を促すポスティングチラシなど、多数の媒体で混乱が発生しました。このような現状を前提に質問いたします。約5万8,800人の65歳以上の2回目の予約状況について、月ベースで何人の接種完了となるのか、予約が8月、9月の接種予定者を前倒しにするような工夫があれば、ご教示ください。特命チームは、当初11名体制のままなのか増強しているのか、また体制を増強しているとしたら、どのような構成になっているのか、ご教示ください。

執行部(市役所)回答

初めに、64歳以下の予約が開始される前の、この段階の約5万8,800人の2回目の接種が完了となることについてでございます。6月11日現在、ワクチン接種の予約を済まされた高齢者の方は、約3万8,000人でございます。月ベースのワクチン接種回数は、5月が1万2,000回、6月が4万3,000回、7月が5万5,000回、合計11万回で、5万5,000人分に達する予定でございます。高齢者の95%の方が接種できる体制が整うため、希望される方については、7月末までの接種ができるものと考えております。

次に、8月、9月接種予約者を前倒しする工夫のご質問ですが、予約が8月以降となる方が前倒しして、7月中に接種ができるよう、医師会及び市内医療機関のご協力により6月、7月の予約枠を拡大し、市のホームページ等で市民の皆様に周知をいたしました。また、予約前倒しの対応については、これまで一般質問で答弁しておりますが、職員で個別対応を行っております。

次に、特命チームの体制でございますが、当初11名体制でスタートした現在のコロナ対策室ですが、業務量が予想を大幅に上回り、当初の人員では対応が困難となったことから、現在は、他部署からの応援職員9名を含む17名に、会計年度任用職員9名を加えた合計26名体制で感染拡大防止策や感染者発生時の対応、ワクチン接種における医師会及び医療機関との調整、ワクチン分配対応、集団接種会場の運営業務など、業務分担を行って取り組んでおります。

髙橋質問

複数の市民の方から、病院で直接予約受付をしているケースについて報告がありました。私が知る限りクリニックの数で6つほど名前が挙がっています。佐倉市の広報サイトでは、本原稿を書いている5月31日現在も、新型コロナワクチン接種予約はインターネットまたはコールセンターのみと記載があります。例えば基礎疾患がある高齢者に対して、病院やクリニックが優先的に予約を受け付けるケースがあることは理解できます。また、万一キャンセルが出た場合の対応として、医療機関の判断で予約者以外の方に接種を実施することもあるでしょう。しかし、私が聞く限り、基礎疾患もない、またキャンセルなどの前提もない事前予約のタイミングで、単に診察券があればそのまま予約を受け付けるクリニックがあったと聞いています。そのような事例の問題は、クリニック側にあるのではなく、予約から接種までをお願いしている佐倉市側の周知の不徹底と考えますが、市の見解を伺います。

執行部(市役所)回答

お答えいたします。
医療機関での予約受付につきましては、これまでの一般質問で答弁しておりますとおりですが、市民の皆様への周知方法につきましては、混乱や誤解を生じてしまったことから、今後、より分かりやすい案内に努めてまいります。

髙橋質問

この質問内容が確定した後、公式サイトの予約方法の箇所に、これまで記載がなかった医療機関で予約と追記されているのを確認しました。では、協力医療機関は今後どこでも予約可能なのかということも分からない。しっかり広報がないから分からないわけであります。さらに言えば、そのページの上段には、6月11日金曜日まで予約はインターネットまたはコールセンターのみと書かれておりましたが、その文言は現在削除されています。このようなこっそり書き換える広報は、市民に深い疑念を抱かせます。最悪なのは、このように事前予約時には一切広報していなかったルートから、例えば市の職員、市議会議員、市長の親族や友人が口利きで予約したことが発覚した場合、市民に対して謝罪するだけでは済まない事案に発展すると考えます。このような重大な点は、小手先でかわすのではなく、誠実に非を認めるべきは認め先に進まないと、取り返しのつかないことになります。医療機関で直接予約できた件、西田市長はどうお考えでしょうか、問題ないでしょうか。

執行部(市役所)回答

お答えいたします。
医療機関においては、定期健診している患者の皆さんが安心して、かかりつけ医で接種できるよう配慮して市の予約開始前に、予約を開始したものでございます。以上でございます。

髙橋質問

総論として問題ないというご答弁をいただきました。

では、今後についてであります。独り暮らしの高齢者などを中心に、接種したくてもできなかった市民は多くいるはずであります。特に独り暮らしの高齢者で、親族、近所付き合いが余りないような人は取り残されている可能性が高くなります。市役所が主体となって、接種を促す仕組みづくりが必要と考えます。佐倉市の独り暮らしの高齢者数をご教示ください。それらの方に対して接種の希望を聞く郵送物の発送などが必要と考えますが、佐倉市の見解を伺います。

執行部(市役所)回答

お答えいたします。

独り暮らしの高齢者につきましては、平成27年国勢調査によりますと、6,529人でございます。接種の希望を聞く郵送物の発送についてでございますが、新型コロナワクチン接種は任意接種であることから、接種クーポン券の発送によりワクチン接種に関する勧奨をした方について、再度接種の意思を確認する通知を送付することは考えておりません。
以上でございます。

髙橋質問

ありがとうございます。独り暮らしの高齢者は、なかなか情報を獲得する手段が他の方に比べれば相当少ないと思いますので、ぜひ時間が多少かかっても構わないので、このような措置をしていただければありがたいなと思います。

最後の質問です。高齢、基礎疾患者などの優先予約について、これは64歳以下の接種券の発送の件なのですけれども、優先順位をつけることには賛成です。とはいえ、接種券は、極力早く一斉発送すべきです。なぜならば、昨今報道にも多々ありますが、市民の手元に接種券を届けることが遅れた場合、現在設置されている国、県の大規模接種に申込みができないリスクがあるからです。また、国からの6月1日付の通知も早期一斉発送をする要請がなされているはずです。一斉発送したときの問題点は、どのようなことと考えているか伺います。私は一斉発送が必要と考えますが、市の見解を伺います。

執行部(市役所)回答

お答えいたします。

まず、一斉発送したときの問題点でございます。一斉発送した場合には、基礎疾患を有する方、高齢者施設等従事者の方が優先的に予約が取れない状況や、年齢等が接種対象に合致していなくても、誤って予約をしてしまうなどの混乱が生じることが想定されます。一斉発送が必要ということについての市の見解ですが、昨日、今朝の報道により、国の大規模接種会場で18歳から64歳の接種を行うことは承知しており、今後の国、県の動向を注視しまして検討します。

髙橋質問

ありがとうございました。本件は、確かに国の朝令暮改はありました。それは佐倉市を含め各基礎自治体は、大変なご苦労されたと思います。しかし、だからこそこのような事態の(変更を伴う)大きなかじ取りは、市民の負託を受けた市長しかできません。要望があったら、個別対応するというようなご答弁も先日あったかと思うのですけれども、これは市民が接種券を送ってくださいと市にお願いしなければならず、一手間をかけさせる必要がありますので、できれば一斉発送のほうがよいだろうなと思います。また、個別対応は役所側にもそれなりのマンパワーが必要になりますので、双方にとって負担となる手法かと思います。検討事項は多々あろうと思いますが、極力早いタイミングでの市長の一斉発送のご決断を期待しつつ、私の質問を終えさせていただきます。どうもありがとうございました。

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