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2021年6月16日一般質問:佐倉市の水道事業について

佐倉市の水道事業については、今後の一般質問でも取り上げていく予定です。

この質問は、専門的な言葉や背景の理解を前提としているため、分かりづらいかもしれません。

前提となる背景については記事として記載しましたので、適宜ご参照ください。

1.佐倉市の水道事業について:はじめに
2.佐倉市の水道事業について:2021年7月現在における概要
3.佐倉市の水道事業について:水道料金の値上げと広域化

ちなみに私は、佐倉市の現状の方向性よりはもう少し突っ込んだ広域化を検討すべき、という立場です。広域化を実施するならば、遅れれば遅れるほど余計なコストがかさんでいきます。将来を見据えたとき、「あのとき決断していれば」ということにならないよう、引き続き訴えていきたいと思います。

今回私が実施した質問の概要は以下のとおりです。

  • 八ッ場ダムが完成した前後での井戸水の取水量の推移
  • 「暫定井戸の継続利用と千葉県環境保全条例の見直しに係る要望書」の内容について
  • 霞ケ浦導水完成移行の佐倉市の「32本の井戸」の今後
  • 地下水揚水及び地盤沈下に関する科学的調査の現状
  • 霞ケ浦導水以外の代替水源と「不足分」の取水量
  • 印旛地域末端給水事業統合広域化検討業務委託」の報告書と広域化の今後

佐倉市の水道事業について

髙橋質問

八ッ場ダムの完成による受水費の増加などを見据え、佐倉市で水道料金の在り方について、本年3月懇話会の提言が発表されました。

当懇話会では、災害対応などのため現金預金残高を15億円程度維持しつつ、水道事業の純利益を維持することを前提とし、令和4年度に水道料金を7.4%値上げする方針を妥当とする結論になりました。

そこで、これまで佐倉市の水源として利用されていた「佐倉市の32本の井戸」の今後について質問いたします。

千葉県では、地下水の汲み上げによる地盤沈下を防止するため「県環境保全条例」に基づき、地下水の採取規制を行っています。このうち佐倉市が所有する井戸の中に、例外的に許可を受けている井戸、いわゆる「暫定井24本」については、八ッ場ダムや霞ケ浦導水が完成した場合、速やかに転換することが、許可条件として定められています。この井戸の削減に対し、2017年2月1日に、佐倉市をはじめとする印旛郡市9市町で「暫定井戸の継続利用と千葉県環境保全条例の見直しに係る要望書」を千葉県知事に提出したことが佐倉市の公式サイトで掲出されています。

そこで、井戸からの取水について、八ッ場ダムが完成した前と後ではどのように推移したのか、年間の取水総量と、水道水中の井戸水の割合を伺います。

加えて、先に紹介した2017年の県への要望書の中で「井戸の廃止ではなく、地下水くみ上げ量の削減」とされていましたが、その方策について、もう少し具体的にご教示ください。

また、霞ケ浦導水が完成し、受水が開始となった場合は、佐倉市の32井がどうなるのかもあわせてご教示ください。

執行部(市役所)回答

初めに、八ッ場ダム完成前後の井戸水源のくみ上げ量でございますが、令和元年度は約1,124万立方メートル、令和2年度は約1,071万立方メートルで、比較いたしますと約53万立方メートル減少しておりまして、水道水の地下水割合は約62%から58%となっております。

次に、地下水くみ上げ量の削減の方策につきましては、千葉県環境保全条例による例外許可井戸いわゆる暫定井は、代替水源が確保された場合廃止する条件となっておりますが、井戸の廃止ではなく、これに相当するくみ上げ水量での削減も可能とするよう要望したものでございます。佐倉市水道事業では、この要望により令和2年度から井戸のくみ上げ水量を調整し、削減しております。また、霞ヶ浦導水が完成した後に受水を開始した場合、保有している32本の井戸のうち24本の井戸は代替水源を確保することとなり、県条例の許可条件を満たさないため廃止することとなります。

髙橋質問

次に、県の要望書に記載されている「条例の抜本的な見直しについて」という項目の中にこのような文章がございます。読み上げます。「県内における地下水揚水及び地盤沈下に関するモニタリング調査を基に、揚水と沈下の因果関係を科学的に整理するとともに、沈下が沈静化した区域での規制の在り方を含め、条例制定当時からの状況の変化に照らし、適時適切な条例の見直しを行うこと」とございます。
その点について、2017年当時と今とで何か進捗があったか伺います。

執行部(市役所)回答

千葉県では、毎年県内の地盤沈下の状況を把握するため、地盤変動量や地下水揚水量のモニタリング調査を行い、その結果を公表しております。ご質問の千葉県への環境保全条例の見直し要望につきましての進捗はございません。

髙橋質問

要望書にあった「揚水と地盤沈下の因果関係の科学的な整理」が待たれるところですが、私は、現在の県による地下水採取規制が見直され、八ッ場ダム・霞ケ浦導水からは最小限の受水に留め、水源井戸を可能な限り最大限継続利用していただきたい、と考えております。

また佐倉市は、政策的に地下水から表流水へ転換している訳ではなく、現在の県条例による地下水採取規制の措置であることを十分に理解しておりますので、引き続き、県条例の見直し・改正要望等を行っていただきたいと思います。

そこで伺いますが、受水が開始された八ッ場ダムはともかくとして、霞ケ浦導水以外に不足する分の代替水源はあり得ないのでしょうか。また、霞ケ浦導水以外に代替水源がない場合、霞ケ浦導水に頼らざるを得ない「不足分」の水源は一日当たり何立方メートルでしょうか。併せて、佐倉市の人口減少により、当該「不足分」が解消されるのは、およそ何年と見込んでいるのかを伺います。

執行部(市役所)回答

初めに、代替水源につきまして、佐倉市は地下水以外の水源を利用する水利権を有しておりません。佐倉市水道事業では、水道利用者の安定給水に必要な水量を確保するため、印旛郡市広域市町村圏事務組合で有しております水利権により、水量の配分を受けているものでございます。

次に、霞ヶ浦導水に依存する受水量につきましては、現在当市が予定する全ての水量で1日当たり1万2,000立方メートルと算定いたしております。また、人口減少により配水量が減少した場合、当然必要水量も減ることとなりますが、佐倉市といたしましても、人口の減少を食い止める施策に取り組んでおり、大規模な災害や渇水など非常時を想定した水量も確保しなければならないことから、受水の不足分が解消する時期の予測は行っておりません。

髙橋質問

次に、水道事業の広域化の検討状況について質問いたします。
我が国の急激な人口減少による水道事業の料金収入の減少や、設備の老朽化等にともなう更新需要の増大を背景として、水道事業の広域化は、現在総務省がけん引役となり積極的に推し進めています。

総務省が提示している水道事業の広域化に対する補助事業をみると、令和7年まで統合して、最長10年間の広域化にかかる予算に対して1/3を拠出する内容となっています。

さて、そんな中、佐倉市も加入している一部事務組合である印旛郡市広域市町村圏事務組合が、株式会社日水コンに委託した「印旛地域末端給水事業統合広域化検討業務委託」の報告書がまとまりましたので、その概要について伺います。また、国の補助事業を前提とした検討を行ったのか併せて伺います。
また、この報告書は公共性が高い資料ですが、一般公開されておりません。一般公開すべきと考えるがいかがでしょうか。

執行部(市役所)回答

報告書の概要といたしましては、広域化によるスケールメリットは期待されるものの、財政的かつ技術的に各事業体に格差があり、料金等が統一される事業統合を目指すためには、経営状況の改善と格差是正に努め、新たな投資と長い年月を要するとの結論の報告を受けております。また、今後の方向性として、水質検査や料金徴収、運転管理などの業務連携など、段階的に実施することが望ましいことであります。なお、広域化の検討は、国の補助金を前提にしているとのことでございます。なお、一般公開につきましては、ホームページ等で公表に向けて、現在準備を進めているところでございます。

髙橋質問

今回、いわゆる上下水道使用料の在り方について懇話会の結論が出ました。広域化とのからみで、「業務の共同化」という方向性が打ち出されましたが、今回の料金改定にどのように反映しているか?また、今後の検討にどのような影響があるのか。また、今回の料金改定は、経営努力をした上で、不足する財源を値上げで賄おうとするものだと理解しているが、どのような経営努力の結果が試算されているか伺います。

執行部(市役所)回答

印旛地域の水道事業における業務の共同化につきましては、今後の検討課題でありますことから、今回の料金改定における推計には反映しておりません。また、今後につきましては、業務の連携や共有化などを研究する中で、経営改善が図られることになれば、その結果は適正な料金体系につながるものと考えております。

次に、経営努力につきましては、業務の効率化を図るため、上下水道の組織改編及び窓口業務等の委託によりまして、5年間で約1億円の経費削減を見込み、料金の改定案を試算しております。

髙橋質問

ありがとうございました。水道事業の広域化については、今後の議会でも引き続き質問させていただきますので、よろしくお願いいたします。

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