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2022年6月15日一般質問:3年連続の「予算一括削減」と児童福祉費・教育費

児童福祉費と教育費

佐倉市では、今年度含め3年間、すべての部門に対して予算に一括して減額措置をしています。

本来、財政が厳しい折に予算を削減する手法としては、事業の優先順位をつけて、削れない予算とそうでないものとを仕分けし実施するべきと考えますが、佐倉市が実施している減額措置は、事業部門一律に網をかける手法です。

確かに、この手法をとれば「各部門が公平」という側面もあるため、部門間で不平がでにくいというメリットもあるのかもしれませんが、他方で財政が厳しい折にこそ予算のメリハリをつけるべきところ、事業の優先順位がますますわかりにくい予算編成になってしまうデメリットもあると考えます。

さて、我が国では、先進各国の中でも、子ども関連予算が少ないことが知られています。

そんな中、佐倉市では教育費や児童福祉予算も、この三年間、「予算一括削減」の網がかけられました。

資料をご覧ください。

この資料は、千葉県内で佐倉市と人口や予算規模が近い、いわゆる類似団体6市を比較するために作成したものです。

最上段は基礎数値であり、すべて千葉県が公表している資料から抜粋しました。各市の今年度の予算規模からはじまり、総人口、15歳未満人口、人口増減率と続きます。

まず見ていただきたいのは、人口増減率です。

佐倉市と野田市を除く類似団体はすべて人口増を示すプラスである中、佐倉市は、類似団体中最低のマイナス0.12%です。これは単月の増減率で、トレンドを追える数字ではありませんが、そのすぐ下の表をみると慄然とするものがあります。

これは、千葉県54市町村中、令和2年と3年で人口減少数が多い、つまり人口が減っている人数が多い順に1位から5位まで並べた数字であり、いってみれば数字的には「ワースト5位の市町村」です。

これを見ると、佐倉市は令和2年では2,289人減少でワースト3位。昨年は1,387人減少でワースト5位です。このワースト順に、先にあげた類似団体は一つも入っていないので、類似団体中ではワースト1位ということになります。

次にその下「児童福祉費決算額比較表」をご覧ください。
これは、平成30年度から令和2年度までの「児童福祉費」の決算額の経年変化を表にしたものです。横に並べてみると、佐倉市の児童福祉費と浦安市のそれでは、およそ2倍弱の開きがあることがわかります。

驚くのは、令和2年度の児童福祉費の決算額を、冒頭紹介した「15歳未満人口一人あたりの児童福祉費」で割った数字です。

この計算により、「15歳未満の市民一人あたりの児童福祉費」が算出されます。もちろん、児童福祉費とは児童一人当たりに等しく分配する趣旨の予算ではありませんが、その市がどれだけ児童福祉に手厚いか、という目安にはなります。

これを見ると、佐倉市は約473,000円で6市の中で最も少なく、浦安市約749,000円との間に1.6倍もの開きがあります。

冒頭紹介した佐倉市の人口減少と、児童福祉予算の少なさとの間に相関関係があるかどうかは、この数値を見ただけではわかりません。

しかし、児童福祉予算を倍増させた結果、定住人口も特殊出生率もV字回復した明石市の事例を前提とすると、明石市とは逆の意味で、佐倉市の人口減少の理由を物語る数字と考えます。

私は、税金の世代間の公平性を担保する意味でも、若い世代に「選ばれる佐倉市」になるための戦略的観点でも、若年層に現状よりはるかに多くの予算をかけていくべきだと考えています。

さて、以上を前提とし、過去3年間児童福祉や教育費の予算も「一括削減」の網をかけてきた市長のお考えと、児童福祉予算や教育予算について、次年度以降どのような方針で計画しようとしているか伺います。

執行部答弁

ありがとうございます。

現在の予算に多くの無駄があるとは思いませんが、児童福祉費や教育費を充実させるよりも、優先順位の低い現行の事業はまだまだあると考えます。

例えば、ミレニアムセンターの市民風呂です。
ミレニアムセンターの市民風呂について、年間予算と、一定期間の来場者について、延べ人数ではなく、一人を1とカウントする実人数をご教示ください。

執行部回答

ありがとうございます。以上は、佐倉市の西側や南側の住民のほとんどがその存在すら知らない、市民風呂の維持管理に関する数字でした。

この市民風呂は、愛用する市民がいるという意味において、無駄であるとは言いません。しかし、例えば学校の人手不足の解消や、小学校区すべてに子ども食堂を設置したり、その食材費の補助をしたり、それら施設と学校との間を、児童生徒の架け橋として存在すべきスクールソーシャルワーカーを充実させたり、という予算と比較するとどうでしょうか?

また、例えば佐倉市には60歳以上の団体を対象として、年間約630万円の事業費で大型バスの貸し出しを実施していますが、こども会など子どもが主体となる団体には大型バスの貸し出しはしていません。他方、ここ10年間で、こどもの数は14%しか減っていないにも関わらず、こども会の組織数は44団体から19団体に激減してしまいました。佐倉市が実施しているこどものための補助政策が少なく、魅力が感じられないこともこの激減の大きな原因といえるでしょう。税金の分配の公平性という観点から、この措置は正しいと言えるでしょうか?

この他にも、私は市議会議員28名を20名に減らし、総額約6,800万円の恒久財源をねん出すべきだと考える立場ですが、本件については以前市長からその考えはないと承りました。

ちなみに、このような佐倉市全体の事業の優先順位づけの判断は、予算一括削減をされた事業部門ではできない発想であり、その方向性を議会に示すことができるのは首長ただ一人です。

首長が、他の予算を削ってでもこどもや若い世代へ振り向けるようなリーダーシップをぜひ、次年度予算に発揮していただくよう要望し、次の質問にうつります。


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