- 2024.03.07
6.佐倉市にふさわしい消防署の数の検討
2024年3月7日:髙橋とみお一般質問
志津地区の消防署について
震災時の輪島市の大規模火災の被害については、記憶に新しいところかと思います。
報道によれば、本火災で焼けた建物はおよそ240棟、焼失面積はおよそ4万9000平方メートルとのことです。
平常時はもちろん、災害時の消防力は大変重要です。
配布資料「消防力の整備指針と佐倉市に立地する消防署の数に関する検討資料」をご覧ください。
消防力の整備指針と佐倉市に立地する消防署の数に関する検討資料
一番左側の列、総務省の「消防力の整備指針」では、市街地の人口ごとに消防署の数の推奨値が公表されています。
それをみると、志津地区人口約75,000人に対して、総務省推奨値では消防署は3つあるべきところ、2つしかありません。
他方、同じ総務省の市街地割でいうと、佐倉市人口17万人に対して、5つの消防署が推奨値ですが、現在佐倉市には6つ(志津2、臼井2、佐倉1、根郷1)の消防署が立地しておりますので、数としては国の推奨より1施設多い状態です。
市民の命を守る消防署員や消防署の数は、しっかり充足している必要があります。他方、市民国民から預かる予算は限られていますから、全体最適をはかる必要もあります。
同じ資料の右下の「佐倉市地区割り図」をご確認ください。佐倉市は、大きく分けて7つに区分されます。
志津地区、臼井地区、千代田地区、佐倉地区、根郷地区、弥冨地区、和田地区です。
この資料を見ると、確かに志津地区は、人口をもとにすれば1施設少ない。しかし、それをいうのであれば、和田地区、弥冨地区には消防署がありません。他方、根郷、和田、弥冨をもって1つの地区と考えれば、人口割りとしては確かに1つの消防署でまかなうことができるでしょう。しかし、図をみると、この3つの地区をあわせると佐倉市のおよそ半分の面積をしめていることがわかります。この地区には、工場も多く立地しています。またこの地区は、水害に弱いエリアを多く含んでおりますが、大災害の折これで大丈夫でしょうか?
また、根郷、和田、弥冨を一つの地区と考えることができるならば、例えば志津地区と千代田地区を一つと考えることもできます。この場合、二つの地区をあわせた人口約8万5,000人に対して、消防署の数は3つあることになります。人口約8万5,000人に対して、消防署の数は3つあれば消防庁の推奨値に合致しますから、この考え方でいけば志津地区の消防署は充足しているとみることもできます。千代田地区の消防署は染井野に立地していますから、志津に駆け付けることも想定可能です。
このように、志津地区にせよ、根郷、和田、弥冨地区にせよ、区割り按分の仕方で「充足」とも「不足」ともとれます。繰り返しになりますが、佐倉市全体の人口をベースにすれば、推奨値より1つ、消防署が多く立地しています。
さらに資料をご覧いただくと、千葉市花見川区は佐倉市より人口がやや多め、というところですが、立地している消防署は出張所含め全部で4つ、つまり佐倉市より2つ消防署が少ないうえに、消防庁の推奨値でも1施設下回っています。花見川区の面積は約34平方キロメートルですから、佐倉市の1/3より少々大き目、というサイズです。花見川区では、確かに消防署の立地数は消防庁の数値を下回っていますが、人口が密集しており、カバーエリアが狭いために、数ではなく消防署の規模を大きくして地域の消防力・防災力の底上げをはかっているわけです。志津地区も人口密集エリアですから、数ではなく消防署の規模でエリアをカバーする考え方はぜひ参考にすべき方策であると考えます。
以上のとおり、最も重要な視点は、消防署の数の多寡ではなく、「地域実情にあった消防力、救急救助力、防災力となっているか」という点です。
以上を踏まえ、佐倉市のそれら能力について、現状の消防力をどのように分析し、整備しようとしているのかうかがいます。
執行部(市役所)回答
消防署所の数につきましては、消防力の整備指針に、市街地区域内の人口に基づき、基準署所の数が定められておりますが、指針の中では、併せて地域における地勢、道路事情、建築物の構造等の特性を勘案した数とすることとも表記されております。
佐倉市八街市酒々井町消防組合公共施設等総合管理計画によりますと、消防組合全体の消防力における消防署所数の数につきましては、基準消防力11署所に対して現有消防力9署所で、充足率は81.8%となっております。
また、同計画には、新設や統廃合の推進方針といたしまして、新設による消防力強化の検討、将来の消防需要の変化に応じた施設の統廃合や構成市町が保有する公共施設との複合化等についての検討も示されておりますことから、消防署所数の整備につきましては、消防組合全体の消防力強化も考慮し、消防組合並びに八街市、酒々井町と十分な協議を進めてまいりたいと考えております。
ありがとうございました。事務組合の検討事項も多々あろうかと思います。また、人口だけではなくて、面積や密集率、地勢の問題、いろいろ勘案して、地域に合わせた、実情に合わせた検討をしていただければと思います。
ここで一つ指摘をしておきたいと思います。
元の資料に戻り、図4をご確認ください。
これは、先の議会で議決された佐倉市の最重要計画である、中期計画における、消防・防災の成果指標です。
本計画における成果指標では、佐倉市の消防・防災において、今後4年間で達成すべき最重要課題を掲げるべきであることは言うまでもありません。
特に二つ目、消防署庁舎の大規模改修件数を、0件であったものを2件できれば目標達成とありますが、これは、成果指標ではなく単なる計画です。
成果指標とは、例えば
- 佐倉市のエリアごとの災害時協力井戸の協定件数
- 避難所運営委員会の新規設立件数や、当委員会を主体とした避難所における避難訓練の実施件数
- エリアごとの災害時の仮設住宅建設予定地の設定や、合計の仮設住宅敷設可能件数
など、市民の命を守るために、しっかり汗をかいてはじめて実現できるチャレンジングなものにしなければならないはずです。
中期計画のような大きな計画に、何の前提も書かずただ4年に2件、消防庁舎の大規模改修をすれば達成、大規模とは何かの定量的な数値もなし。
私は、率直に言って、このような成果指標を議決してしまったことをはずかしく思います。
また、今一番この場で恥をかいているのは、ほかならぬ市長であろうと思います。 このような杜撰な成果指標は、中期計画の中に今なお散見されます。市長ならびに執行部の部長の皆さまにおかれましては、ぜひ緊張感をもって目標や成果指標を設定ください。
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