NEWS

佐倉チューリップフェスタ2020の中止等の経緯・所見と今後について

本年の佐倉チューリップフェスタが中止となりました。
そんな中、中止以降も咲いている花を見に会場に来る方々が多くおられたため、新型コロナウイルス蔓延に伴う防疫的観点から、やむなく例年より約2週間はやく、主催者である佐倉市観光協会、及び佐倉市は、チューリップの刈り取りを実施しました。

伴い、佐倉市民の方から「チューリップ伐採の報道があってから、市や市民に対する心ない非難が寄せられています。(中略)妥当性をアピールする方法はないでしょうか?」
とのご連絡をいただきました。

私としては、まずはネット上で展開されているとされる「心ない非難」を含む状況を調査し、必要に応じて私のTwitterアカウント、及びブログにて説明をすることをお伝えしました。

◆チューリップフェスタの概要とこれまでの流れ

ここで、当該イベントの概要と流れを簡単に整理します。
チューリップフェスタは、佐倉市で実施されているイベントの一つで、平成元年に開始し、現在では開催期間中、延べ約10万人を集める人気フェスタです。来場は無料で、毎年多くのチューリップの花が、春の湖畔にたたずむ風車を背景に咲き誇る光景はまさに圧巻であり、来場者の目と心を釘付けにして余りあるものと言えます。

本年のチューリップフェスタは、4/1の開催から4/8の中止決定まで、規模を大幅に縮小して開場していました。とはいえ、新型コロナウイルス蔓延に伴う防疫的観点から、開催期間中は例年実施していた各種イベント等の開催を見合わせ、「花を見るだけ」のイベントとして実施していました。

そんな中、4/7の政府の緊急事態宣言に呼応する形で、4/8チューリップフェスタは中止となりました。伴い、事業主体である観光協会、及び市のWebサイトをはじめ、各種媒体で中止告知とあわせ、会場にも看板周知・立ち入り制限のためのコーンバー等の設置をする等、来場を控えてほしい旨の広報を一斉に実施しました。

しかし、中止告知してもなお、咲いている花を見に来る来場者が絶えなかったため、例年より約2週間早い4/15に、チューリップの刈り取りを実施しました。

本件について、4/19の朝日新聞が記事として紹介したことで、SNS等で様々な意見がみられるようになり、今にいたります。

◆SNS等の反応について

調べてみると、印象としては「刈り取りやむなし。されど悲しい」というご意見が大半であり、問題意識としては「中止が告知されて以降、花を見に会場に集まった人の行動」に対するものが多かったように見受けられました。

極めて個人的な感想をお話すると、私も刈り取りはとても悲しかった。毎年、一市民として本当に楽しみにしていたイベントでしたし、市内の小学生はじめ、多数のボランティアの方々、市役所職員等が懸命にこのイベントに向けて準備をされているのを知ってもいましたので、「なんとかならなかったのか?」という思いは強くありました。まして、実際に汗をかいた方々からすれば、その思いはより深くあったはずです。その意味で、次年度以降につながるような批判や問題提起を否定するものではありません。

他方、「チューリップ80万本を刈り取ることは、80万人を殺すに等しい」、「度を越した自粛は間違い」、「佐倉市に行く人が減るだけで刈り取りは無意味」等、今回の刈り取り決定に対し、説明をしておく必要があるご意見も見られました。
また私に連絡をくださった方のTwitterでは「刈り取り業者を倒産させる」や「近隣の商店を締めれば問題ない」など、ちょっとよくわからない方向に向かっている言論も紹介されていました。

◆刈り取りにいたった経緯

本件については、私の言葉で説明しようと考えましたが、私に声を寄せてくださった方のTwitterで言うべきことがほぼまとめられておりましたので、そちらの記事紹介をもって主たる説明とさせていただきます。

@akira_nakagawaのツイートはこちら

Twitterアカウントを持っておられない方のために私なりに上記記事をサマリしておくと

  • 佐倉市のチューリップフェスタ会場は、四方がオープンの公園であるため、封鎖することはほぼ不可能。
  • チューリップの刈り取りは、例年より約2週間早く実施されただけなので、「チューリップを殺すな」という批判はあたらない。
  • 刈り取った花の販売をするべき、という意見もあるが、販売用に花落ちしないように刈り取り、ラッピングし、販売する人員の確保、及び販売所や購買のために集まった方々の誘導や防疫体制を完璧に実施することはできない。
  • 花を放置した結果、(会場での感染がなかった場合でも)来場者が立ち寄った周辺のコンビニ等で感染が発生することも、隠れたリスクとして存在する。
  • 「花がかわいそう」等、感情論でイベント管理を放棄することは、行政としてはあってはならない。
  • 上記から、刈り取り判断は妥当。よって、市役所や観光協会の判断に、心無い非難をするのは控えるべきである。

私から少々補足をすると、刈った花のうち、切り花になるものは市内の保育園約30園に寄付しました。またゴールデンウィーク明けに、関係者で球根の掘り取りを行う予定です。球根は、学校、医療機関への配布を検討しています。

またさらに、本イベントのメイン会場に植えられているチューリップは、佐倉市の小学生が手植えしたものです。そのため、本フェスタの開催は佐倉市在住の児童とその保護者、祖父母たちが待ち望んでいるイベントです。

仮にチューリップを刈り取らず放置し続けた結果、万一当該疾病の感染が発生した場合、イベントの管理体制が問われることになり、次年度以降の本イベントの存続はほぼ絶望的なものとなります。

また、本イベントは入場無料です。例年、会場に臨時的に設定された駐車場の駐車料金により、次年度の開催予算をねん出しています。本年、イベントは刈り取りをする前に中止を決定していたため、一番集客が見込める時期の駐車料金の確保もできなかったことになります。

そのため、来年当該イベントを開催しようとすると、市の予算をねん出する必要があります。私は、次年度本フェスタ開催のため市の予算を使うことに賛成する立場ですが、上記のとおり万一「チューリップの放置」が原因で感染が発生した場合、税の使い道という観点からも、開催反対の意見に抗弁できなくなります。

以上から、本年のチューリップフェスタにおいて、2週間早く花の刈り取りを決定した佐倉市観光協会、及び佐倉市の判断に、私は賛同いたします。

◆まとめ

私からの説明は以上です。以上の説明でもご納得いただけない場合は、私のTwitterにご意見をお寄せください。

なお、最後に来年以降の本イベントについて、私見を述べさせていただきます。

仮に、今年当該疾病の蔓延がある程度おさまったとしても、来年再発しないとする保障はどこにもありません。

私は、先のとおり来年もフェスタは実施するべきとする立場ですが、万一来年再発したとき、今年の結果を踏まえたスタンバイをしなければならないと考えています。

まずは、どのような状況になったら中止とするのかという指針(それは、ワクチンや特効薬開発の有無などのパラメータもにらんでの検討になるはずです)の策定とあわせ、中止後の運営についても想定しておく必要があると考えます。

例えば

  • 刈り取る前に、チューリップを手植えした小学生とその保護者等に限定し、極力安全な形で花を見てもらう方法はないのか
  • 仮に中止となった場合、次年度開催用の予算を、オンライン募金やクラウドファンディング等で集めることはできないか
  • 仮にワクチンや特効薬が開発されていた場合、開催も選択肢としてありうるが、そうなった場合の防疫対策は、運営サイドとしてどうあるべきか。また、その対策実施の内容をどのように広報し、来場者の方々に安心してもらうよう努めるか(これは、本イベントにかかわらず、今後開催予定のすべてのイベントについて言えることです)

など、が考えられます。

昨今は、天災、疾病の流行の他、国際情勢も不安定になりつつあります。

そんな中ではありますが、市としては浮足立つことなく、一つ一つの事業をどうしていくか、という地道な検討を積み重ねていただきたく思います。その意味で、チューリップフェスタにおいても、本年の結果を踏まえ、主催者にはぜひ上記のような検討ポイントを洗い出し、次に備えていただきたく思いつつ、本稿を終えたいと思います。

一覧へ戻る

最近の投稿

カテゴリー

アーカイブ

BOOKS

書 名:地方議会議員の選び方 佐倉市の事例を参考に
著 者:髙橋 とみお
カラー:表紙フルカラー 中面モノクロ
版 型:A5版
価 格:500円(税別)
出版元:欅通信舎 ご購入はこちら
書 名:佐倉市域の歴史と伝説 旧石器時代から戦国時代の終焉まで
著 者:けやき家こもん(本名:高橋富人)
カラー:全頁フルカラー
版 型:A5版
価 格:900円(税別)
出版元:欅通信舎 ご購入はこちら