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明神橋の被災や谷津橋のPCB問題に施行業者の責任はあるか?:ひまわり会と市民オンブズマンへの反論1

12月13日月曜日、佐倉市議会11月定例会が終了しました。

そこで、私が賛成したいくつかの議案に対して、何名かの議員、あるいは会派から反対討論がなされました。

議会での討論は、議員が市民に対して、議案の賛否理由を公に説明する唯一の場ですから、討論を実施したすべての議員や会派に対して敬意を表します。

他方、自分の賛否と逆の立場をとる議員が述べる「賛否理由」に対しては、可能な限り「自分はなぜそう思わないか」を説明することが、説明責任を果たすべき議員としての誠実な振る舞いだと考えます。

そこで今回は、ひまわり会と市民オンブズマン(藤崎議員、宇田議員)の「反対討論」に対して、反論を試みたいと思います。

まずは、ひまわり会と市民オンブズマンが反対した議案の概要とその反対理由を俯瞰したうえで、私の反論を記載します。


ひまわり会と市民オンブズマンの反対討論の要旨

議案第1号:補正予算に反対

◆明神橋災害復旧工事の予算の概要と反対理由
三菱地所が施行し、平成12年1月に完成した橋。台風、大雨により被災し、その後も設計見直し等が発生したため、復旧工事のための追加予算について、執行部が議会に対し審議を求めた件。
本事案については、橋を施行した三菱地所にも責任の一端がある可能性もあるため、調査すべきところ、佐倉市にその姿勢がみられない。

◆谷津橋の補修工事のための債務負担行為の概要と反対理由
道路公団が施行し、昭和46年6月に完成した橋。
橋の主要な部分に、有害物質であるPCB入りの塗料が使われていたため、その処理のため1.5億円の債務負担行為について、執行部が議会に対し審議を求めた件。
本事案については、橋を施行した道路公団にも責任の一端がある可能性もあるため、調査すべきところ、佐倉市にその姿勢がみられない。


髙橋とみおの反論

上記2つについては、もっぱら「施行業者にも責任があるはずだ」という前提にたっていますが、その可能性はないものと考えます。

明神橋について
橋や道路建設等の施行を含む一定規模の開発行為には、一定の技術的水準を保持させるため、様々な技術基準を定めた仕様に基づく行政の開発許可が必須です。

明神橋は、当該仕様の元建設された工作物の一つです。

民間事業者である三菱地所は、上記開発許可を得て建設した明神橋を含む公共建築物を、佐倉市に引き渡しました。

佐倉市は、引き渡しに際して、すべての引き渡し物件について検査を実施した後に引き受けをしています。

今回被災した明神橋が、仮に上記仕様に基づかない形で建設されていたり、手抜き工事等が発覚したりした場合は(例えば、計画上打ち込まれているはずの鉄筋が施工されていなかった、崩落した崖地の埋め立て個所から予定されていないコンクリートガラが見つかった、等)、三菱地所にも瑕疵が認められる可能性はありますが、そのような事実はありません。

その意味で、正しい手順で引き渡しが完了している当該物件については、三菱地所の責任を問うことはできない、ということが言えます。

今回の被災は、もっぱら道路側から流れ込んできた表流水が、橋のたもとの地面を削ったことが主要因という分析です。これは私見ですが、人が多く利用する橋梁であれば、そのような危険は大きな被災の前段階で問題が露見し、水を逃がしたり必要個所を補強したりする「小さな工事」で済む場合が多いのだと思います。他方、明神橋は千葉リサーチパーク内に立地する「一般の人があまり利用しない橋」であったため、このような「大きな工事」が必要となる事態になったのではないか、と分析します。

そのため、私としては「このような危険性がある橋がないか総点検してほしい」と、担当課に要望しましたが、ひまわり会と市民オンブズマンのように予算そのものを認めない、という態度はかえって状況を悪化させる以外、なんの解決にもならないと考えます。

◆谷津橋について
谷津橋については非常に単純な話で、本橋梁の建設はPCBの使用が原則禁止される1973年の化学物質審査規制法制定前ですから、PCBを含む塗料を道路公団が使っていたとしても、遡及的に責任を問うことはできません。

わかりやすいところでは、公共建築物にアスベストを含む建材が利用されているケースがありますが、アスベスト規制の前に建築された建築物であれば、施工業者側の瑕疵を問うことができないのと同様です。

したがって、ひまわり会とオンブズマンのいう理屈で、当該予算案について反対することは、私はできないと考えています。


2021年12月21日:タイトルを変更しました

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