佐倉市はすべての会計年度任用職員の健康診断費用を拠出すべきか:ひまわり会と市民オンブズマンへの反論2
◆はじめに
ひまわり会と市民オンブズマンは、「佐倉市が任用するすべての会計年度任用職員の健康診断費用を、佐倉市が拠出するべき」としています。
今回議会に上程された補正予算に、「すべての会計年度任用職員の方々の健康診断費用」が含まれていないために、ひまわり会と市民オンブズマンの藤崎議員と宇田議員は、予算全体に反対をしました。
結論から言うと、私は健康診断の対象となる会計年度任用職員について、一定の要件を設定している佐倉市の方針に賛成します。よって、ひまわり会と市民オンブズマンの方針には反対です。
◆会計年度任用職員の定義と佐倉市の概況
ひまわり会と市民オンブズマンへの反論を展開するまえに、佐倉市の会計年度任用職員の現状を説明します。
「会計年度任用職員」とは?
地方公務員法の改正に伴い、令和2年度から新たに設けられた「自治体に任用された非常勤職員」の呼称です。
業務内容
行政関連の業務なので多様です。一般的な事務作業をはじめ、スクールソーシャルワーカー、保育士、図書館司書等の他、コロナワクチン接種会場の運営スタッフ等の一部も「会計年度任用職員」となっています。
健康診断を受けられる要件
週当たり18時間以上勤務する職員(本制度開始前までは「週当たり2日以上勤務する職員」)
上記要件に関する法令の裏付け
厚生労働省通達:短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律の一部を改正する法律の施行について(PDF資料)
会計年度任用職員一人当たりの健康診断にかかる予算
4,250円/年間
佐倉市の会計年度任用職員の人数
819人(令和3年4月1日を基準日)
内、令和3年度の改定により健康診断の対象から外れた会計年度任用職員の人数
243人(令和3年4月1日を基準日)
◆ひまわり会と市民オンブズマンへの反論
以上が、佐倉市の会計年度任用職員に関する概況です。
次に、私がひまわり会と市民オンブズマンの言う「すべての会計年度任用職員の健康診断費用を拠出するべき」に反対する理由を述べます。
上記でみてきたとおり、会計年度任用職員は、コロナワクチン接種会場の運営スタッフ等の、いわゆる「短期雇用者」も含まれます。
例えば、皆さまが3日間で終わる日雇いのアルバイトをしたときに、雇用主に対して健康診断の権利を主張するでしょうか?
さらに、コロナワクチン接種のために集団接種会場で接種にあたってくださった医師や看護師の皆さまも任用形態は会計年度任用職員ですから、そのような方々のために健康診断予算を拠出するとなれば、おかしなことになってしまいます。
ひまわり会と市民オンブズマンが言っている通り「すべての」会計年度任用職員を健康診断の対象とした場合、上記のようなケースすべてに健康診断の権利が発生することになります。
税金を預かる行政としては、そうした民間との比較や「おかしなことにならない」ための目配りも含め、適正な制度を検討するうえで一定の目安がほしいところです。そこで厚生労働省は、「どの程度の勤務実態がある労働者を健康診断の対象とするか」について、基準を公表しました。それが、先に紹介した「短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律の一部を改正する法律の施行について」です。
その内容を読むと、厚生労働省は
義務規定
1週間の労働時間数が当該事業場において同種の業務に従事する通常の労働者の1週間の所定労働時間数の4分3以上であること
努力規定
1週間の労働時間数が当該事業場において同種の業務に従事する通常の労働者の1週間の所定労働時間数の概ね2分の1以上である者に対しても一般健康診断を実施するのが望ましい
としています。
そこで佐倉市は、義務規定を順守するのはもちろんのこと、上記努力規定の「概ね2分の1」を前提に、「週あたり18時間以上」の労働実態をもって健康診断の対象としています。なお、ざっと全国自治体の制度を俯瞰したところ、「週あたり20時間以上」から、佐倉市のように「週あたり18時間以上」としている自治体が多いようです。
以上から、私は今回佐倉市が示した「週あたり18時間以上」という指針は妥当と考え、ひまわり会と市民オンブズマンの考え方には反対いたします。
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