- 2022.10.19
メガソーラ開発に関するTwitterでの問いかけに寄せて
「れんちゃん 素顔で生きる人」さん、問題提起をありがとうございます。
メガソーラの問題は、論点が多岐に及ぶため、整理が必要と考えます。
また、はじめに私の見解を申し上げておきますと、メガソーラ建設には問題があるケースが多い、と思っています。
以下、論点整理と本件に関する私の回答です。
◆エネルギーについて
本件の議論の前提としてあるのは、人間は電力を使って生活している、ということです。
もう少し広げると、電力や生の化石燃料等をもとにしたエネルギーを利用して、私たちは快適な生活を送っています。
人間が生活の質を向上させるためにエネルギーを利用するとき、どのような手段によるとしても、私たちの環境に何らかの負荷をかけています。
環境を前提にエネルギーを考えるとき、論者によって次のような「考え方の違い」のグラデーションが発生すると考えます。いわく、「エネルギーを使わない社会の実現」から「現在の生活の質を落とさないことを最優先とし、環境負荷は考慮する必要がない」までの考え方の濃淡です。
例えば、エネルギーを使わないことを含めた自然嗜好の極北として、ほぼ完全な自給自足生活を山奥で送る人たちもいる。一方で、生活の質の追及のみで、自分が環境に与えるインパクトを考えることなく生活する人もいます。
メガソーラにせよ原発にせよ化石燃料の発電にせよ、発電には環境負荷が発生する以上、私を含む論者は、以上のグラデーションの中で「自分がどの立場にいるのか」を、大括りにしてもまず抑える必要があると考えています。
◆発電について
次に、発電について考えます。
経産省配下の資源エネルギー庁の2021年の論考では、日本のエネルギーミックスの推移はざっと以下のとおりです。
日本に限らず、各国はそれぞれの実情にあわせ、複数の発電方法を効率的に組み合わせ、社会に必要な電力を供給する必要があります。
2022年6月に発表された「エネルギー白書2022」では、日本の年間の総発電量は1兆0008億kWh。おおよそこのボリュームの電力を、よりベターな方法の組み合わせで発電する必要があります。
各発電方法の特長、とりわけ長所短所は以下の論考にわかりやすい一覧表があります。
エネルギーミックスとは? 日本の2030年度目標や現状、課題を紹介
ただし、この表はあくまで発電方法別の「発電に対する」長所と短所の概要なだけで、今回のれんちゃんさんのように「太陽光発電のうち、メガソーラについて考えたい」ということであれば、もう少し深く見る必要があります。
メガソーラについて、先の表に書かれている以外の主たる問題点をあげるとすると
①森林の伐採等の環境破壊
②除草剤の大量使用と周辺環境の汚染
③パネルの寿命による大量産廃の発生
④パネル製造に係る中国によるウイグル人の過酷な労働問題
⑤総括原価方式による電気代の高額化(自然エネルギー全体に言える問題点)
などがあり、れんちゃんさんの今回の投稿はもっぱら「①、②」について問題提起されているように読めます。
私は、それ以外の点についても比較的高い問題意識を持っていることから、冒頭のとおり基本的には「メガソーラ建設には懐疑的」な立場です。
ただし、①、②の問題をクローズアップするのであれば、例えば
・荒れ放題の耕作放棄地であって
・ソーラパネルの下に日照が少なくて済む植物の栽培をする
等の方式をとれば、問題は最小限に抑えられる、とも考えられます。
もちろん、上記のような事例であっても、まったく環境に負荷を与えていないとは言えませんが、それは「それ以外の発電方法」でも多かれ少なかれ言えることです。
もし、佐倉市でメガソーラ建設の議案があがってきたとしたら、私はおおよそ以上のような観点で審査し、議案ごとに賛否を決すると考えています。
◆エネルギーミックスの在り方について
エネルギーミックスという観点で言えば、私は「極力生活の質を下げることなく」、「環境の負荷を最小限に抑えることができる」という点でも、(環境以外でも多くの理由がありますが)当面は原子力発電に一定程度役割を与える方策しかないのだろう、と思っています。
ご案内の通り、原子力にも多くの問題がありますから、フリーハンドにまかせるという意味ではありません。しかし、一定の要件をつけ、「核のゴミ」問題に日本としてしっかり取り組むことが条件ではあるものの、それ以外の道は現実的には取りづらいのではないか、と考えています。
原子力もダメ、化石燃料発電もダメ、メガソーラもダメとするならば、冒頭提起した「エネルギーを使わない社会の実現」を目指す側に立った論を展開することになるはずですが、私はそちら側ではありません。
以上をもってお返事とさせていただきます。
今回は問題提起をしていただきありがとうございました。
追伸
れんちゃんさんのツイートの最後にあった、「ソーラ開発の法規制が必要」が目的ならば、市議会議員へのツイートにコメントするよりは国会議員へ向けたほうがよいかもしれません。
私たち市議会議員のメガソーラに関する権限は、個別議案の審議件と、佐倉市の条例制定権だけです。なお、先のような観点から、すべてのメガソーラ開発が必ずしも悪であるとも考えられず、また今後の技術革新等の不確定性要素も加味し、私は佐倉市に「メガソーラ開発禁止条例」的なものをつくる考えは、今のところありません。
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