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コロナ禍でも議員報酬を死守した「さくら会等議員団の議」

政務活動費は削っても報酬は削らない「珍議会」

【記事の概要】

2020年1月、新型コロナウイルス感染症が世界を襲った。

実質的に自分たちの給与額を決定できる市議会議員は、コロナ対策予算を十分に捻出するためにも、市民と痛みを共有するためにも、議員報酬を削減しコロナ対策に振り向ける必要性があると考えた。

そこで、私を含む有志10名の議員が、2020年から2021年の二年間にかけて、コロナ対策に利用する事業費捻出のため、議員報酬削減を議会に上程した。本議案が可決されれば、総額約2,170万円とあわせ、佐倉市の小中学校のコロナ禍に対する負担軽減等のための基金が設立され、市民や事業者からの募金の受け皿となるはずだった。

しかしさくら会等議員団は、議員報酬削減とあわせ、基金の設立を含む4つの議案すべてを否決し、議員の政策チラシ作成や配布等の政務活動の原資としてしか使えない「政務活動費」の削減で本件の幕引きをはかった。

この時、さくら会幹事長である櫻井道明議員は、10名もの議員が提案した「コロナ対策として暫定的な議員報酬の削減」を「一切検討していない」という驚くべき見解を、議事堂で表明した。10名もの市民の代表たる議員が提案した内容について、最大会派が「一切検討しない」振る舞いは、民主主義的には悪と断じざるを得ない。この事象は、佐倉市議会の在り様そのものとも言える。

ちなみに、コロナが猛威を振るっていた2020年、減額した政務活動費で、さくら会は所属議員10名全員にiPadを購入している。 コロナ禍のさなかに購入したiPadで、市民への議会報告をしっかり実施していただきたいと心から願っている。(以下本編)


2020年1月、新型コロナウイルス感染症が世界を襲いました。

結果、2023年1月現在、世界で約670万人もの人々が命を落としています。

本ウイルスにより世界がパニックになっていた20年初頭から21年にかけて、世界中で多くの事業者が廃業となり、各国で渡航中止などの措置がとられるなど、未曾有の危機となったことは記憶に新しいところです。

経済的観点に絞ってみても、我が国で2020年のGDPがマイナス6.2%となるなど、急激な冷え込みが発生しました。

議員は市民と痛みを共有すべきか?

実質的に自分たちの給与額を自分たちで決められる市議会議員は、市民と痛みを共有するためにも、コロナ対策予算を十分に捻出するためにも、議員報酬を削減しコロナ対策に振り向ける必要性があると考えました。

もちろん、コロナ禍中の暫定的な議員報酬削減には、「ポピュリズム」という文脈で批判的な言説もあります。実際、暫定的な議員報酬削減のためにネットで言論を展開していた私のもとにも、そのような批判が多く集まりました。

他方、当時私が「仮に議員報酬を10%削減した場合」を試算したところ、年間1千万円程度の一般財源の確保につながることがわかりました。仮に「ポピュリズム」の誹りを受けたとしても、その1千万円で少しでも佐倉市のコロナ対策に役立つならば、すぐにでも動く必要があると考えました。また、私はあらゆる統治システムを「市民の納得感を得ながら運営する装置」と定義していますので、痛みを共有するというような一定のポピュリスティックな振る舞いも、時に応じては必要だと考える立場です。

そこで、私を含む有志の議員が、2020年から2021年の二年間、コロナ対策として報酬削減を議会に上程してきましたが、さくら会等議員団の反対により報酬削減の受け皿となるべき基金の設立を含む4つの議案すべてを否決されました。

コロナ禍中は「議員報酬削減」か?「政務活動費削減」か?

議会での「コロナ禍中の議員報酬削減」の活動は、4月14日に開始しました。この日から私は、約1週間かけて公明党を除くすべての会派に対して、コロナ禍中における暫定的な議員報酬削減の条例の制定に関する説得に奔走しましたが、主要会派から賛同をえられませんでした。そのあたりの顛末は以下のページに詳しいのでご興味があればぜひご一読ください。

「理由を表明しない」という「民主主義的悪」

先に述べたように、時限的措置にせよ議員報酬の削減には様々な議論があり、「削減に反対=悪」ではもちろんありません。しかしさくら会等議員団は、私たちの提案に対してことごとく「意見表明せず」否決しました。

さらに、合計3回にわたり、議員報酬削減の議案が最大10名もの議員の署名をもとに上程されたにもかかわらず、「一切検討していない」という驚くべき意見を、さくら会幹事長の櫻井道明議員は議事堂で表明しました。これは、民主主義においては明らかな悪です。

2021年2月定例会佐倉市議会録画放映:本会議最終日
令和3年3月22日

この動画がその証拠です。これは、下段にあるとおりさくら会の櫻井議員が、さくら会等議員団を「代表して」政務活動費を年間10万円削減する条例案を提出した際に、稲田議員や私をはじめとする「暫定的議員報酬の削減」を提案した議員が、「政務活動費ではなく、議員報酬を削減する、とする我々の提案をどう考えるか?」を質問したときの、櫻井議員の答弁です。特に、1時間55分18秒経過からはじまる櫻井議員への質疑については、各会派重要な質問をしておりますので、ぜひご確認ください。

1時間38分37秒経過から:櫻井道明議案説明

1時間55分18秒経過から:各議員から櫻井議員への質問と回答

櫻井議員は、稲田議員 (動画1時間55分18秒から) の「(私たち議連が提案している)議員報酬削減という考えはなかったのか?」という2回の問いかけに対して「そういった考えや議論は、最初からございませんでした」と明確に答弁しています。それでは、さくら会等議員団の皆さまは、そもそも「議員報酬削減」については、「何も考えていない」うえに「何の議論もしていない」ということになりますね。討論できないのも当然です。

また、その直後の櫻井議員への私からの質問で、「私たち議連が提案している、議員の給与である議員報酬」削減ではなく、「議員の政務活動の原資としてしか使えない政務活動費」の削減を優先させた理由を問いましたが、櫻井議員は何も答えられませんでした。考えていないのですから、答えられませんね。

なお、このように動画が公開されていれば、後に証拠として市民の皆さまに説明ができます。この動画は、本会議であったため現在でも公開されていますが、議案審議の中心である委員会は一切動画公開されていません。その理由は、さくら会等議員団が過去市民の皆さまや私たちからの「公開するべき」とする提案のすべてに反対してきたからです。

委員会等動画のインターネット公開を否決し続けた佐倉市議会の歩み

なぜ反対するのかは、上記の櫻井議員の動画を観れば一目瞭然、というところかと思います。委員会審議についていえば、例えば委員の発言に対する恫喝ともとれる委員長の振る舞いや、重要議案を審議せず素通りする委員たちの「やる気のなさ」など、本会議よりずっと酷い惨状を呈していると考えます。地方自治法に規定された議会の公開原則に照らして、一刻も早く委員会等の会議体の動画公開をすべきと考えます。

政務活動費のみ削減してお茶を濁すさくら会等議員団

さくら会等議員団は、議員の給与に相当する「報酬やボーナスの削減」には断固反対し、チラシや議案調査等の活動のためのみにしか使えない「政務活動費」を削減する提案でお茶を濁しました。佐倉市議会のように「政務活動費のみ削減した市議会」は、私の知る限りありません。

そんなさなか、さくら会は2020年減額した政務活動費から、さくら会所属議員10名全員にiPadを購入しています。

さくら会 会派に対する政務活動費の収支報告について(PDF資料)
該当ページ数:38/271

その額、46万8,160円佐倉市議会では、政務活動費で購入した物品は政務以外では使用することはできません。もし、政務活動以外の目的で利用したら、それは違法行為です。

私は、議員になってからPCを買い替えていますが、政務活動以外の用途もあるため政務活動費は利用していません。さくら会の皆さまは、 iPad を政務活動以外では利用しないわけですから、なんというか、立派ですね。

そんなわけで、皆さまの元にさくら会所属議員からのiPadを利用した議会情報がいきわたっていることと思います。なお、調べ方が悪いのでしょう、私としては今のところ、さくら会の議員の皆さまによるiPadを活用した議会情報の提供について、まったく効果らしきものは感じられません。今後のさくら会の活躍に期待したいところです。

なお、私は政務活動の質を極力落とすことなく、2021年の政務活動費を全額受け取りませんでした。これは、「意見表明することなく議員報酬削減に反対し」、「48万円のうち10万円の政務活動費の拠出で2年間お茶をにごした」さくら会等議員団に対する私の意地でもあります。責任会派ってなんでしょうか?さくら会さん。

髙橋とみお 議員に対する政務活動費の収支報告について(PDF資料)

議員報酬削減なら2,170 万円のコロナ対策費が市民に還元「できたはず」

なお、さくら会等議員団が提案した「政務活動費(チラシの印刷や配布等の予算)の削減」で捻出できた予算の合計は二年間で560万円です。

私たち議連が提案し、さくら会等議員団により否決された「議員報酬(議員の給与)の削減」により、可決していれば捻出できた予算の合計は二年間で約 2,170 万円。この金額を元に基金を設立し、佐倉市の小中学校のコロナ禍に対する負担軽減、地域経済や住民生活の支援に貢献できる「はず」でした。それを、一切検討することなく否決したのが、さくら会等議員団の議会でのふるまいです。

(※議会視察も2020年から21年の2年間取りやめとなりましたが、佐倉市にかかわらずほぼすべての市町村議会で視察中止となったことから、その件に関する予算は勘案しておりません)


◆コロナ禍と議会審議の経過◆
2020年1月:コロナ禍発生

↓↓↓↓↓

【令和2年度】
2020年6月定例会:議員報酬削減

 →賛成10人、反対17人で否決(さくら会等議員団17名の反対による)

提出:宇田実生子、五十嵐智美、藤崎良次、玉城清剛、髙橋とみお

目的:コロナ対策費用捻出のため
原資:市長等と全議員の年間報酬の10%
期間:9ヶ月
金額:約1400万円

↓↓↓↓↓

2020年8月定例会:政務活動費の削減

 →賛成21人、反対6人で可決

提出:中村孝治、岡村芳樹、山本英司、玉城清剛、髙橋とみお、宇田実生子、石井秀明、齋藤寛之

目的:子どもたちが安心、安全に学べる環境を確保するため
原資:全議員の政務活動費48万円から43万円とする(年間5万円分削減)
期間:1年分
金額:140万円

↓↓↓↓↓

2020年8月定例会:議員報酬と議員の期末手当の削減

 →賛成10人、反対17人で否決(さくら会等議員団17名の反対による)

提出:五十嵐智美、萩原陽子、稲田敏昭、玉城清剛、髙橋とみお、宇田実生子、松島梢、川口絵未、藤崎良次

目的:新型コロナウイルス感染症対策及び地域経済や住民生活の支援に資する基金の設立
原資:全議員の年間報酬と期末手当の10%
期間:6ヶ月
金額:約1100万円

——-

2020年8月定例会:新型コロナウイルス感染症対策及び地域経済や住民生活の支援に資する基金の設立

 →賛成10人、反対17人で否決(さくら会等議員団17名の反対による)

提出:髙橋とみお、五十嵐智美、萩原陽子、稲田敏昭、玉城清剛、宇田実生子、松島梢、川口絵未、藤崎良次、木崎俊行
目的:新型コロナウイルス感染症対策及び地域経済や住民生活の支援

↓↓↓↓

【令和3年度】
2021年2月定例会:政務活動費の削減

 →賛成21人、反対0人で可決

提出:櫻井道明、中村孝治、岡村芳樹、山本英司、玉城清剛

目的:飲食店等の経営継続に資する施策の展開など
原資:全議員の政務活動費48万円から38万円とする(年間10万円分削減)
期間:1年分
金額:280万円

↓↓↓↓

2021年8月定例会:議員報酬の削減

→賛成10人、反対17人で否決(さくら会等議員団17名の反対による)

提出:髙橋とみお、五十嵐智美、木崎俊行、藤崎良次、玉城清剛、稲田敏昭、松島梢、川口絵未、萩原陽子、宇田実生子

目的:子どもたちが安心、安全に学べる環境を確保するため、小中学校、幼稚園、保育園や学童保育所などの衛生管理や学びに係る資材、人材を確保
原資:全議員の年間報酬の10%
期間:6ヶ月
金額:約770万円

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書 名:地方議会議員の選び方 佐倉市の事例を参考に
著 者:髙橋 とみお
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