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2024年8月議会最終日討論:佐倉市公立幼稚園の閉園について

※原稿をお読みいただく前の髙橋注:前提として、佐倉市では「最後の公立幼稚園」であった佐倉幼稚園を閉園させるかどうか、という審議であったという意味で、 佐倉市にとってとても重要な意味をもちます。 この議案が可決すれば、佐倉市では公立幼稚園はなくなることが確定します。


2024年9月25日:8月議会最終日

議案第14号の、いわゆるさくら幼稚園閉園条例について、昨年8月議会において、幼稚園閉園に賛成した唯一の議員として賛成の立場で討論いたします。

事業予算執行の是非を議員賛否の第一義と考えるため、私はその一点で今回の閉園条例に賛成の立場です。閉園条例に賛成する理由については、昨年8月の私の討論をご確認ください。

とはいえ、この「さくら幼稚園閉園条例」について、条例上程に至るまでのプロセスや手続きが乱暴、かつ杜撰だったことは確かです。

その意味で、執行部が上程した閉園条例が可決することは、佐倉市の行政にまた一つ「負の成功体験」をさせることにもなると考え、この原稿を読みあげている今も、迷いの中にいます。

昨年8月に可決された、いわゆる「検討条例」が審議された討論において私は、大きくは以下2点の指摘をしました

  1. 市民と教育委員会の信頼関係が壊れてしまった状況において、仮に1年という検討期間をおくのであれば、第三者による諮問機関の設置と答申というプロセスを経ない限り、「閉園ありきの議論を繰り返したにすぎない」という批判は免れない。
  2. 「検討条例」は、1年という検討期間を設定しているが故に、施行日(つまり検討期間の開始)が本年4月1日だとすると、結論を得るのはその翌年である2025年の3月31日ということになる。そのため、仮にその時点で閉園を決定したとしても、本年10月の新規園児募集をせざるを得ず、その募集に応じて入園した園児が卒園するのは2027年3月であるため、仮に閉園を決定した場合、計画として問題がある。

「1.」については、執行部は検討期間中1回も諮問機関を立ち上げることなく、本議会で閉園条例を上程しました。また、本年6月に実施された保護者との意見交換会も、保護者からは『とても「意見交換会」と呼べるようなものではなかったことを、参加保護者一同の証言として議員の皆様にお伝えいたします。』とする文章が送られてきております。閉園の方向性がすでに固まっていた本年6月3日一回の意見交換のみで、6月14日の第6回検討会で閉園を確定する手法は、確かに存続を求める市民からすれば「議論の蚊帳の外」に置かれ続けたという疎外感はぬぐいがたいものがあります。

「2.」については、私は現時点でも、今回の閉園条例が昨年8月に可決した「検討条例」の違反になる可能性について完全に否定できないでいます。

昨年8月に可決した、いわゆる検討条例の「検討」部分を読み上げます

「(検討)
2 市は、この条例の施行後1年を目途として、佐倉市立佐倉幼稚園の運営状況等について検討を加え、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとする。」

この条文に関し執行部は『この条例が定める検討の開始は、「条例の施行」ではない』と、私の質問に答えました。しかし、条例が「施行後1年」としている以上、検討の開始は施行です。それ以外に読みようがない。しかしそうなると、本条例の施行前に行った検討は、条例上意味をなさなくなる。そのため執行部は、そのような無茶な解釈で説明せざるをえなかったわけです。

なお、この問題は、ちょうど一年前の昨年8月「検討条例」が審議された際、私や三井議員の討論で指摘されています。そのため、私は本条例の検討の開始を「本年4月1日となる施行日」ではなく、「議決後20日以内になされる公布日」にすべきとする趣旨の討論をしたわけですが、執行部はそのとき、その指摘に対して何の対応もしませんでした。

またさらに、本年3月の予算委員会において、昨年8月に可決したいわゆる「検討条例」がある限り、条例違反の疑いがあるため佐倉幼稚園の閉園はできないという観点から、いわゆる「検討条例」を改正する必要があるという私の指摘に対して、教育委員会は「改正する」と答弁しました。

しかし、結果としていわゆる「検討条例」が改正されることなく、本議会「閉園条例」が上程されました。執行部は、「閉園条例には検討条例を廃止する内容を含む」と言いますが、法務に確認したところ仮に閉園条例が可決したとしても検討条例は法的には存在し続けるそうです。また、検討期間としては4月1日からの検討ですから、現在5ヶ月半しか検討していない、つまり検討条例違反ということになる。

そのような批判をかわすために、執行部は「所要の措置を含めて1年間だ」と言っていますが、そうなると昨年8月議会や本年の予算委員会で複数の議員から指摘された「1年間の検討期間」に関する疑義に対して、これまで一切説明してこなかった、という怠慢が指摘されることになる。また、先の通り予算委員会で検討条例を「改正する」とした答弁は、閉園条例が可決しても検討条例は残るという観点からすれば、虚偽答弁の疑いすらある。

行政が実施する事業は、市民や議員全員が納得できないものも含まれます。すべての市民に納得されなかったとしても、最低限説明を尽くす必要がありますが、今回の閉園条例の上程について、執行部はその最低限の努力もしてこなかったことになります。

結論としては、昨年の検討条例が、諮問機関の設置を前提とせず、検討期間の始まりを公布後としなかったことの二点が、今のこの混乱の原因です。私の指摘を少しでも検討したのであれば、執行部は同条例の再議を求めることもできましたが、何の手もうたなかった。また、その後も条例の問題を指摘した議員にすらなんの説明もしてこなかった執行部の対応は、議会過半数との適切な緊張感を失った「ゆるんだ行政」の明らかな失態といわざるをえません。

今後、冒頭述べた少子高齢化による財政事情により、公共施設の再配置や、小学校の統廃合等、佐倉市を二分するような行政資源の再設定計画が実行されていくことになります。しかし、このような緩んだ、市民度外視の対応をする西田市政にそれができるか、といえば、今のままではとうていできないと考えます。 議案第14号、いわゆる「さくら幼稚園閉園条例」については、先の通り行政として猛省すべきものであることを指摘し、賛成討論とさせていただきます。


2024年8月議会最終日討論:令和5年度決算について

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