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地方議会の透明性を確保する施策の提案とその背景

アゴラへの2本の寄稿論考で、地方議会の透明性を確保するための施策を提案しました。

制度で築く政治の透明性:地方議会の議案別議論促進サイトの構想①

制度で築く政治の透明性:地方議会の議案別議論促進サイトの構想②

多くの地方議会は、機能不全に陥っています。上記論考での提案は、議会の本来の役割を市民に理解してもらうための有効な手段であり、透明性の確保に資するものと考えています。

過去にも繰り返し述べてきた内容ですが、地方議会の機能不全が生じるメカニズムを改めて整理し、今回提案するサイトの意義について述べます。

◆ 地方議会本来の業務と実態

議会の最も重要な役割は、行政の監視です。 たとえば観光事業であれば、その目的、マーケティングの裏付け、市民への利益還元の見通しなどを精査し、予算の妥当性をチェックすることが求められます。これは、税金から高額な報酬を受け取る議員に課された当然の責務です。

しかし現実には、多くの議員が「審議したふり」をするだけで、アリバイが成立すればそれでよしとする。 行政と対立すれば、嫌がらせを受ける可能性があるため、できるだけ行政に「いい顔」をしておきたいという心理が働くのです。

その一方で、議員は地元のレストランで名刺を配り、事業者と行政をつなぐ便宜を図り、自治会や夏祭りで汗を流して票を積み上げる。 結果として、「本来の仕事をしないが、選挙に強い議員」が量産されていきます。

◆ 利権集団としての会派の誕生

こうした議員たちが「会派」を組み、票を独占することで、行政との馴れ合いが加速します。 主流会派と行政が「よい関係」を築くことで、会派の権力は増大し、「行政を操る会派のボス」が誕生する構造が生まれます。

行政は、議会に否決され続けると業務が立ち行かなくなるため、主流会派との協調を最優先に考える。 この構造が、利権会派を生み出す温床となっているのです。

◆ 国民の無関心を「必死で支える」既得権議員の群れ

このような現象は、多くの地方議会で程度の差こそあれ発生しています。 根本的な原因は、国民の地方政治への無関心です。 その無関心は、地方議会の役割が知られていないことに起因しており、議会で何が審議されているのかに興味を持てない状況を生んでいます。

そのため、既得権益を守りたい議員たちは、自分たちの本来の役割や仕事内容を市民に知られないよう努めます。 それが、自らの地位を維持するために不可欠だからです。

結果として、議会から発信される情報はわかりにくく、当たり障りのない「アリバイづくり」の内容に加工されてしまうのです。

◆ 外部からの構造改革の必要性

このような状況を打破するには、議会の自浄作用を期待していても改善は望めません。 そこで、議会外のシンクタンクや報道機関などが、今回提案したようなサイトを立ち上げ、議案ごとの審議内容や議員の発言を可視化する手法を考案しました。

制度の盲点を照らし出し、市民が議会の本来の役割に触れる入口をつくる。 それが、地方政治の再生に向けた第一歩になると確信しています。

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書 名:地方議会議員の選び方 佐倉市の事例を参考に
著 者:髙橋 とみお
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