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佐倉市第5次地域福祉計画の“計画の構造”と“指標の妥当性”をただしました【一般質問解説】

2025年12月4日一般質問:佐倉市第5次地域福祉計画


佐倉市の福祉施策の最上位にあたる「第5次地域福祉計画」について、現在、市の諮問機関で進捗点検が行われています。その中で委員から、計画そのものの骨格に関わる重要な指摘が複数出ていることを受け、今回私は 計画の構造上の問題成果指標の適否 の2 点を問い質しました。


①「包括的支援体制」の位置づけが法の趣旨に合っているのか?

社会福祉法では、市町村の地域福祉計画において「包括的支援体制の整備」を必ず盛り込まなければならないと定めています。
これは、個別施策の羅列ではなく、相談支援・関係機関連携・情報共有など、各分野を横断してつなぐ“仕組みそのもの”を整えることが趣旨です。

しかし佐倉市の地域福祉計画では、「基本目標5」に住宅支援・障害支援・子育て支援といった“個別施策”が並んでおり、包括的な仕組みづくりという本来の趣旨とズレているのではないかと指摘しました。

千葉市など他市では、法の趣旨どおり「包括的支援体制」を計画の骨格に据え、その上に個別施策を整理しており、構造の違いが明確です。

市は答弁で、
「アウトリーチ支援などを軸に、個別施策の積み重ねも包括的支援体制の一部と考えている」
と説明しましたが、私は、個別施策と包括的支援体制は計画階層が異なるものであり、再整理が必要だと再度主張しました。


② 行政が直接実施していない取り組みを“成果指標”とする妥当性

次に、計画の指標設定の妥当性について取り上げました。

地域福祉計画では「子ども食堂の開設数」や「学習支援団体数」を指標として掲げていますが、他方で市の別計画(子ども・子育て支援事業計画/こども計画)では、
「行政が直接整備しないため指標にしていない」
と明記されています。

つまり、市の計画同士で「指標にする/しない」が分かれており、整合性が取れていない状況です。

行政が直接コントロールできない団体数を成果指標として良いのか?
また、他の計画との整合性をどう担保するのか?
これを市に質しました。

市は、
「行政が直接主導していなくても、地域福祉の推進に関わる取り組みであり、市が一定の関与をしているため指標化は妥当」
と答弁しました。

私は、指標化するのであれば「団体数」ではなく、
市が何をどう支援したか(連携数、支援件数、協働体制の充実度など)
といった“行政の責任範囲にある指標”に改善すべきと意見を述べました。


■まとめ

今回の一般質問では、「施策の中身」ではなく 計画の構造に内在する問題 を取り上げました。
地域福祉計画は福祉分野の最上位計画であり、ここに構造上の誤りやズレがあると、市の施策全体に影響が出てしまいます。

市からは「推進委員会の意見を踏まえて見直しを検討する」との答弁もありました。
今後も、法の趣旨に沿った計画運用が行われるよう、継続してチェックしてまいります。

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