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佐倉ふるさと広場拡張計画を検証する:ドッグランとBBQ②

― 市民アンケートだけで事業を決めてよいのか

「人気投票型行政」という落とし穴

前回の記事では、佐倉市の公式サイトにおいて、ふるさと広場拡張後の姿が、すでにかなり具体的に描かれていることを確認した。
ドッグランやバーベキューといった事業要素が、「検討中の可能性」ではなく、将来像の一部として提示されている点である。

では、こうした事業は、どのような根拠にもとづいて描かれているのだろうか。現時点で、市が公式に示している根拠は、市民アンケートの結果である。

佐倉ふるさと広場拡張整備に関するアンケート調査について

市民の声を聞くことは、当然重要である

まず、大前提として確認しておきたい。
市民の声を聞くこと自体は、極めて重要である。公共施設の整備にあたって、市民アンケートを実施することは、むしろ当然のプロセスだ。

どのような施設が求められているのか。
どのような使い方が期待されているのか。

これらを把握しないまま計画を進めることは、行政として無責任である。
問題は、そのアンケート結果を、どのように政策決定に位置づけるのかという点にある。

アンケートは「判断材料」であって、「結論」ではない

市民アンケートは、本来、

  • 参考情報
  • 判断材料
  • 仮説を立てるためのデータ

である。

しかし、アンケート結果だけをもって、具体的な事業内容を決定してしまうと、行政は簡単にある状態に陥る。
それが、「人気投票型行政」である。

「要望が多かったからやる」
「声が大きかったから決めた」
一見、市民の意向を尊重しているように見えるが、これは実は、もっとも危険な行政のかたちでもある。

なぜ「人気投票型行政」は危険なのか

理由は明確だ。公共事業には、必ず以下の要素が伴う。

  • 税金の投入
  • 維持管理コストの発生
  • 他の政策との優先順位
  • 利用者間の利害調整
  • 将来世代への影響

これらは、アンケートでは測れない。
仮に「ドッグランがほしい」という声が多かったとしても、

  • どの程度の需要があるのか
  • 周辺に同種施設はどれくらいあるのか
  • 既存利用者や整備後の来場者との衝突は起きないか
  • 市にとって、どの程度の利益・負担になるのか

といった点を検討しなければ、事業としての妥当性は判断できない。
アンケート結果は、あくまで「入口」にすぎない。

行政に求められるのは「説明責任」である

だからこそ、行政には、次のような説明が求められる。

  • なぜこの事業を選んだのか
  • 他の選択肢と比べて、どこが優れているのか
  • 想定されるリスクを、どう考えているのか

これらを整理し、市民や議会に示したうえで、はじめて
「この事業でいこう」という判断が成立する。

逆に言えば、

  • 聞かれていないから説明していない
  • 書かれていないから公開していない

という姿勢は、行政としてもっとも避けるべき態度だ。
説明がないまま事業だけが「確定したもの」として描かれるとき、
そこには、市民の判断の余地が残されていない。

アンケートは「免罪符」ではない

市民アンケートは、行政にとって便利な道具でもある。

  • 「市民の声を踏まえた」
  • 「要望が多かった」

こうした言葉は、決定を正当化するための免罪符として使われがちだ。
しかし、それでは、市民参加は形骸化してしまう。

市民の声を本当に尊重するとは、その声を材料として、行政が責任をもって考え抜くことである。

次回に向けて

では、佐倉市が拡張整備の根拠として示している市民アンケートの内容は、本当に、ドッグランやバーベキューといった事業を「選ばざるを得ない」と言えるものなのだろうか。 次回は、アンケート結果そのものを丁寧に読み解き、
「アンケートから何が読み取れ、何が読み取れないのか」を検証してみたい。


目次

佐倉ふるさと広場拡張計画を検証する:ドッグランとBBQ
市が「決定した事業」は、どのように決まったのか
市民アンケートだけで事業を決めてよいのか
ドッグランとBBQは本当に必要なのか

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