- 2026.01.29
佐倉ふるさと広場拡張計画を検証する:ドッグランとBBQ③
― ドッグランとBBQは本当に必要なのか
アンケートと現実から検証する
前回の記事では、市民アンケートの結果だけで具体的な事業内容を決定することの危うさ、いわば「人気投票型行政」の問題点について述べた。
今回は、いよいよ具体論に入る。
佐倉市の公式サイトで、将来像の一部として描かれているドッグランとバーベキュー(BBQ)について、本当に合理的な選択と言えるのかを、事実にもとづいて検証してみたい。
「可能です」という、便利で無責任な言葉
まず確認しておきたいのは、公式サイトにおける次の表現である。
また、芝生広場といった自由な空間は、
多種多様なイベント(花火、音楽、フードフェス等)の開催、
ドッグラン、BBQへの活用も可能です。
一見すると、穏当で、柔らかい表現に見える。
「可能です」と書いてある以上、「確定ではない」「例示にすぎない」と説明する余地も残されている。
行政が長年培ってきた、いわば逃げ口上としての完成形と言ってよいだろう。
しかし、この表現は本当に中立なのだろうか。
「可能です」は、実は強いメッセージである
行政計画において
- 何も触れられていない活用方法
- 「可能です」と明示された活用方法
のあいだには、決定的な差がある。
特に、Park-PFIや指定管理と結びつく計画では、文書に書かれた「可能な活用」が、
- 民間事業者の提案内容
- 事業計画の前提
- 収支シミュレーション
に、直接的な影響を与える。
つまり「可能です」と書くこと自体が、
「この方向での提案を期待しています」
という、明確なシグナルになる。
しかも、この一文では、
- 花火、音楽、フードフェス(イベント・一時的利用)
- ドッグラン、BBQ(施設・恒常的利用)
という、性質の異なるものが、同列に並べられている。
この並び方が、市民や事業者に与える印象は明確だ。
ドッグランやBBQも、拡張後のふるさと広場で想定されている「主要な使い方」の一つ
こうした読みが生まれるのは、ごく自然である。
ドッグランは「選ばざるを得ない」のか
では、ドッグランについて見てみよう。
佐倉市が、現在公表している根拠は、市民アンケートである。
アンケートでは、「ドッグラン」という選択肢が明示され、一定数の回答が集まっている。
この点自体は、否定されるべきものではない。
「犬を連れて利用したい」というニーズが存在することは、事実だろう。
しかし、ここで問うべきなのは、次の点である。
- そのニーズは、どの層にどれほど集中しているのか
- 周辺に同種の施設はどれだけ存在するのか
- 本来設定されているはずの「ふるさと広場のターゲット」とどれだけ親和性があるのか
- 他の来場者(花を楽しみたい人、静かに過ごしたい人)との衝突はないのか
- 常設施設として整備する必然性はあるのか
アンケート結果から読み取れるのは、「一定の要望がある」という事実までである。
そこから、だから、ドッグランを整備するという結論が必然的に導かれるわけではない。
少なくとも、アンケート結果だけを根拠に
「ドッグランでなければならない理由」は、導き出せない。
それでも「描かれている」現実
にもかかわらず、公式サイトでは、ドッグランは、将来像の中に自然に組み込まれている。
「確定ではない」「可能性の一例だ」
そう説明することは、現時点ではいくらでもできるだろう。
しかし、市民の目には、
ドッグランは、拡張後のふるさと広場で予定されている事業
として映っている。
この説明責任と印象の乖離こそが、問題の本質である。
もう一つ言えば、ドッグランやBBQが整備されたとき、行政は「事前に言っていましたよね(問題があるなら先に言ってください)」と反論もできる建付けにもなっている。
実に、行政にとって便利な表現ではないか。
次に、BBQについて考える
次に、バーベキュー(BBQ)について見てみたい。
ふるさと広場の周辺には、すでに、草ぶえの丘、サンセットヒルズ、という、BBQが可能な施設が存在する。
いずれも、自然環境に恵まれた、評価の高い施設である。
私は、その両方を実際に利用したことがあるが、立地や環境としては、非常に恵まれていると感じた。
サンセットヒルズが示す「市場の答え」
特に注目したいのが、サンセットヒルズである。
この施設は、かつては、肉やコンロなどの貸し出しも行う、利用しやすいBBQ場だった。
しかし現在は、主にオートキャンプ場として位置づけられ、BBQに関するサービス内容は大きく変更されている。
さらに、この施設は、直近の指定管理者募集において、応募事業者が現れなかったという経緯がある。
結果として、現在も佐倉市が直営で管理している。
ここで、極めて単純な問いが浮かぶ。
もし、BBQやオートキャンプが
安定した収益を生む魅力的な事業であるなら、
民間事業者は、なぜ応札しなかったのか。
これは、感想ではなく、市場からの回答である。
徒歩圏内に、さらにBBQ場を設ける合理性
そのサンセットヒルズから、徒歩圏内に位置するのが、ふるさと広場である。
その場所に、あらためてBBQ機能を設ける。
この判断について、
- 既存施設との役割分担
- 需要の上積みが見込める理由
- なぜ既存施設では対応できないのか
といった説明は、現時点では示されていない。
アンケートで「BBQをやってみたい」という声があったことと、実際に事業として成立させることのあいだには、大きな隔たりがある。
「可能です」の裏側で、何が起きているのか
ここまで見てきたように、
ドッグラン
BBQ
いずれについても、
- アンケートだけでは必然性は導けない
- 既存施設や市場の状況とも整合していない
という疑問が残る。
それでもなお、これらが将来像として描かれている背景には、「可能です」という便利な言葉の存在がある。
確定ではない。
しかし、方向は示されている。
説明はない。
しかし、絵は描かれている。
この状態こそが、市民参加を形骸化させ、政策決定を不透明にする温床となる。
おわりに
行政が、長年の積み上げによって身につけてきた「逃げ口上の技術」は、確かに洗練されている。
しかし、その情熱が、事業の中身や、丁寧な説明に向けられていたなら、市民との信頼関係は、もっと強固なものになるはずだ。
ふるさと広場拡張整備計画において、いま問われているのは、賛成か反対かではない。
何が、どのような根拠で描かれているのか。
そして、その説明は、十分なのか。 それを確認すること自体が、市民として、そして議会としての、当然の役割である。
目次
佐倉ふるさと広場拡張計画を検証する:ドッグランとBBQ
1 市が「決定した事業」は、どのように決まったのか
2 市民アンケートだけで事業を決めてよいのか
3 ドッグランとBBQは本当に必要なのか
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