一人暮らしの高齢者の命を守る「生活見守りセンサー」の提案
佐倉市において、一人暮らしの高齢者の見守りサービスを充実すべき背景に関する記事は前回書きました。
今回は、具体的な施策案について、その概要を書きたいと思います。
日々の生活の中で、家族・親族などと比較的頻繁に連絡している一人暮らしの高齢者の場合、見守りはできる限り家族などの「行政以外」で実施できたほうが、すべての関係者にとって「よりよい策」でしょう。
インターネットや携帯電話などのインフラが整備された現在、身寄りがある高齢者の場合、行政の介入がなくても見守りができているケースは多くあります。
とはいえ、高齢者が一人で暮らしている以上、それで万全というケースはほとんどありません。年齢を重ねれば重ねただけ、脳や心臓を原因とする発作がおきる確率はあがり、家族からの電話連絡は2、3週間に1回程度、などの場合、発見の遅れから助かる命も助からなかった、というケースはよくあります。
そこで、遠隔地に住む家族の方が、一人暮らしの高齢者の方の日々の活動(プライバシー維持のため動画はとらず、部屋の移動などをセンシングする場合が多いようです)、部屋の温度、部屋の明かり等をスマートフォン等でリアルタイムに確認できる仕組みを導入する基礎自治体がでてきました。また、私が調査したシステムでは、それらを確認できるだけでなく、日々のふるまいや部屋の温度等について、普段とは違う「異常」が発生したときに、アラートメールを家族と行政に自動配信される仕組みもありました。
私の友人でも、親は佐倉市に住んでいるものの、自分は職場のある東京や関西に住んでいる、という人は多くいます。
こういった仕組みを行政がいち早く導入し、知見を積むことが、「選ばれる佐倉市」になる重要な要素であると思っています。
導入事例を基にした「生活見守りセンサー」の概要と予算感
今回紹介するサービスは、あくまで「家族などの身寄りがある一人暮らしの高齢者」を対象とした導入事例(北海道亀田郡七飯町、愛知県豊田市、等)ですが、使い方によっては、一人暮らしの高齢者と「家族ではない」近隣住民やボランティアとのコンビネーションでも応用が可能かと思います。
または、こういったシステムはあくまで家族などの「身寄りがある」見守り対象者に限定して導入し、「身寄りがない」見守り対象者には、千代田区、板橋区、三鷹市などが実施している「高齢者電話訪問」で対応する、などの施策も検討可能かと思います。
目的
佐倉市で、近い将来1万人を超えなお増え続ける、いわゆる「一人暮らしの高齢者」の見守りサービスを推進する。
見守り対象者であるいわゆる「一人暮らしの高齢者」について、離れて暮らすご家族と、見守り関係者が情報の共有をして、高齢者が住みなれたご自宅で、安心して暮らすことができる行政サービスを構築する。
見守り対象者案(北海道亀田郡七飯町の事例を参考に)
- 要支援以上の介護認定を受けたおおむね65歳以上の一人暮らしの方
- 重度の高齢者を抱える高齢者のみの世帯
- ご親族など、見守りをすることができる身寄りがいる方
など
概要
見守り対象者の自宅の3部屋に見守り支援機材を設置し、見守り対象者の自宅の部屋の温度、行動、明かり等の情報をリアルタイムに管理する。
見守り対象者の情報は、ご家族のスマートフォンなどの管理画面で確認できる。
アカウント所有者である市、ないし外部委託者の管理画面では、すべての見守り対象者とご家族のステータス情報等が確認できる。
見守り対象者の動きや室温などに異常が発生した場合は、自動メール配信機能があり、ご家族や行政に即時に配信される。
異常を察知したら、ご家族と行政が連携し、すみやかに見守り対象者に対して的確な連絡、救急車の手配等支援を実施する。
愛知県豊田市、北海道亀田郡七飯町などで導入されている機材の参考サイト・資料
製品サイト
製品パンフレット【PDF:554KB 】
七飯町導入リリース【PDF:554KB】:
豊田市導入リリース【PDF:555KB】:
予算イメージ
※以下すべて税別
初期費用(オープン価格)
親機本体参考価格:35,730円
子機本体参考価格:19,690円
初期設定費用参考価格:3,000円
月額使用料参考価格:3,460円
※集中管理システム使用料、SIMカード通信料含む。
※価格は、台数に応じて変化しますので別途相談とのこと。
七飯町のセット数を前提とした予算イメージ
20セット(1件あたり親機1台、子機2台)導入した場合の年間費用
初期費用:(35,730+19,690+19,690+3,000)×20台=1,562,200円
月額使用料:3,460×12×20=830,400円
合計金額:2,392,600円(税別)
※上記価格は参考価格。20セット購入の場合、価格は要交渉とのこと。
まとめ
以上が、私が今回調査したシステムの概要ですが、もちろんこのシステムである必要はありません。
こういったサービスは日進月歩ですから、佐倉市の実情にあったものがあればそれを選定するのがよいでしょう。
一つ言えるのは、どのような施策をとるにしても、今後増え続ける一人暮らしの高齢者のケアを「行政やボランティアなどの協力者だけ」が「アナログ的な手法」で網羅的に実施することは不可能だ、ということです。
この問題は、できる限り速やかに着手し、しっかりとした経験と知見を積み重ねていく必要があります。
なお本システムは、定価ベースでも、議員一人の報酬額で初期費用あわせ年間70台を、月額使用料換算では200台を運用する予算が確保できます。議員定数28をそのまま据え置くことが大切か、議員数を減らしてこのような一人暮らしの高齢者対策を進めることが大切か、本稿をきっかけにお考えいただければうれしく思います。
※末筆になりますが、私の取材に快く応じてくださった七飯町役場のご担当者様はじめ、情報を提供くださいました方々に、この場にて改めてお礼申し上げます。
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