【執筆書籍の紹介1】全国の地方議会議員の大半に欠けている「情報公開」に対する姿勢
2019年2月10日、つまり本ブログ記事を書いている2月24日から2週間ほど前、私は自著「地方議会議員の選び方」という本を出版しました。
佐倉市民の方々とお話する中で、この本を書いた動機について聞かれる機会が何回かありましたので、本書の紹介と含め、今日から2回シリーズで本書の「はじめに」の文章を掲載いたします。
この文章は、全国の地方議会議員に欠けている「情報公開の姿勢」と、「議員定数と市税」について、私の考えをまとめたものです。
議員の「質」について 全国の地方議会議員の大半に欠けていること
私は、出版社での広告企画業務を皮切りに、直近では経済産業省の外郭団体で広報業務を長く担当する等、広告、広報の仕事をしてきました。
その傍ら、生まれ育った佐倉市の歴史を学び、それを市民の皆さんに楽しんで知っていただく手段として、2013年に「歴史噺」活動をスタートしました。佐倉市の歴史を学び、その知識を書籍出版や講演活動で伝えていく、という活動を通じて、歴史の延長線上にある「今」の佐倉市にも興味がおよんだのは、自分の中では自然な流れでもありました。
その流れの中で、行政の仕組みについて学ぶうち、市の運営に関し最終決定権を持つ市議会と、市議会の構成員である市議会議員について興味を持つようになったのです。
さて、佐倉市議会を調査していくうちに、市議会議員が発信する情報があまりに少ないことに違和感を覚えるようになっていきました。より正確に言うと、情報の「量」ではなく「質」に明らかな問題がある、というモヤモヤした感覚だったと記憶しています。その感覚は、自分が長く携わった広報的な視点に根ざしていたのだと思います。
その「違和感」を形にしていく作業が、本書の執筆でした。
調査開始当初は、市議会議員たちが「発信していない」情報の核心は何か? 現職議員の何が問題なのか?を言語化できるほどには、具体的なポイントをつかみきれていませんでした。
そこで、佐倉市以外の議会も含め調査し、関連文書や書籍を読み、現役議員や議員経験者の皆さんに意見を聞くなどして、ようやく「ここが核心だ」と思う地点にたどり着きました。
その詳細は本書の内容に譲るとして、「核心」を一言で言うと
「議案に対する、議員個人の賛否の理由」を市民に伝える義務を果たしている地方議会議員が、「絶望的に」欠けている、ということでした。
たとえば、子育て支援、福祉事業、公民館や図書館の整備といった市民からの請願や陳情については、市民からの票を預かる議員自身が、議会で表明した賛否の理由を市民にしっかり伝える義務があります。また、市民の生活にかかわる、重要な議案の賛否についても同様です。
それらの情報が議員から提示されてはじめて、私たち市民が議員の評価をすることができ、次の選挙に納得した一票を投じることができるようになります。
冗談に聞こえるかもしれませんが、調査開始早々には、「議案に対する、議員個人の賛否の理由」を表明している議員がまったく見つからなかったため、「法的に禁止されているのでは?」と思い地方自治法を調べる、ということまでしたくらいでした。
しかし、先述の議員経験者の方と話すうち、理由は「法的な問題」ではなく、「議員の意識の問題」や「会派拘束による制度的な問題」であることがわかってきたのです。
このように、手探りで少しずつ書き進めた結果が本書です。
全国に3万2,000名以上いる現職の地方議会議員について、控えめに言って「大半」が、義務を履行することなく現職にある、というセンセーショナルな日本の現状を、少々大仰な言い方になりますが、国民である皆さんが可視化して理解いただけるようまとめたつもりです。
本書のタイトルは「地方議会議員の選び方」ではありますが、投票する立場の市民の皆さんのみならず、現職の地方議会議員や議員を志す方全員に読んでいただきたいと思っています。
※「議員定数と市税」について書いた後半の文章は、こちらをご覧ください。
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