佐倉市の課題
佐倉市の「強味」と「弱点」
京成線に乗りユーカリが丘から臼井に入ると、西側の街では観ることがなかった田園風景が目に飛び込んできます。線路からほど近いところに里山が連なり、佐倉へ向かう車窓からは印旛沼の広がりを背景に、風車を眺めることができます。
JRでも、物井を境として、田と里山が本格的に姿を現しはじめます。
私たちは、住宅主体の街と、緑豊かな自然環境との境目に位置している「佐倉市」に住んでいます。
この「境目」という立地は、まぎれもなく佐倉市の強みの一つです。
東京の延長という発想から、田を埋め立て、里山を切り崩し、他の西側エリアと同じ住宅地や工業地帯に変えたとして、誰が魅力を感じるでしょうか。
他方、佐倉市は成田空港にも近く、高速道路のインターチェンジもある物流の優位性を活かした工業地帯があります。
また、関東平野の肥沃にして温暖な土地柄から、江戸時代の堀田11万石の歴史をはじめ、旧石器時代から連綿と続く「歴史」と「文化」を持つ市でもあります。
以上のように、現在の佐倉市は、たくさんの得難い優位性と可能性を持つ「自在な市」であるといえるでしょう。
その環境は、まぎれもなく私たち市民に恩恵をもたらしています。
他方、その「自在さ」が故に、さしたる特長がなくてもやってこれたところに「弱点」があるとも思っています。
「突出した特長のある市」としての佐倉市
少子高齢化の波は、確実に佐倉市にも訪れています。2008年には、総人口に占める高齢者(65歳以上)人口の割合は、22.1%に達し、2030年には30%を超えることが予想されています。
そのような中にあって、あと5年先、10年先の佐倉市は、どんな市であるべきでしょうか。佐倉市が策定した第四次総合計画では、現在の状況を「大きな変革期」ととらえ、「選ばれる街づくり」をうたっています。とはいえ、内容について少々辛口な表現をするならば「平均点をとりにいく政策」が並んでいるように読めます。基礎自治体にとって試練となる地方分権社会が目の前にあって、これまでと同じ「ちょっとテコ入れ」をしていく施策では、「選ばれる街」へ変わることはできないでしょう。
私は、他の市にはない「突出した」魅力づくりが必要と考えます。
例えば、東京都江戸川区は「子育てタウン」として広く知られています。東京の中心部ではない立地ながら、子育て支援制度を地道に打ち出し続けました。その結果、若い世代の転入が多く、23区の合計特殊出生率では毎年上位をキープしています。
佐倉市の自然や歴史・文化などの「ここにしかない」豊富な資源は、情操教育や歴史学習という観点では得難い強味です。それらと両輪で魅力的な子育て支援政策を打ち出すことで、「子育てと教育の佐倉市」となるよう舵を切る、という戦略もあるでしょう。
また例えば、鎌倉市は、歴史をキーワードにした街づくりと広報活動を続けることで、「文化度の高い市」というブランディングに成功しています。実際、東京からの距離でいえば佐倉市より遠い立地でありながら、1平米あたりの基準地価では佐倉市の4倍近い差があります。
最近はやりの「シティープロモーション」という名のもとに、場当たり的に施策を打ち出すのではなく、「5年後、10年後」を見据えた、しっかりした特徴あるビジョンが今、必要と考えます。
政策形成機能をもつ市議会へ
政策を実行するには、原資が必要です。
とはいえ、増加する福祉関連予算など、固定的に出る歳出から、かつてのように弾力性のある予算が組めないという懐事情があるのも理解しています。
そこで必要なのは、現状の資源でどう戦うか、という知恵。具体的には、「予算」と「人」という資源の最適化です。
それには、力の結集が必要です。また、本気で取り組む覚悟と粘り強い継続力が求められます。
「資源の最適化」の第一歩として、私は最初に議会が身を切ることが必要だと考えます。
市の財政の監査人たる市議会が、自らの資源を最適化することが、最初に求められる姿勢だと考えます。
さらに、「知恵」についていえば、これまでの行政監視機能が主体の議会から、政策形成機能をあわせもつ議会に変わっていく必要があると考えています。
本格的な地方分権社会の到来を控えた今、「将来の佐倉市」を考え、前に進めることができる議会となれるかどうかが、問われているのです。
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