- 2022.11.22
長嶋茂雄記念岩名球場「予算0円」の闇 ①
先日、佐倉市にある「長嶋茂雄記念岩名球場」で、4年ぶりに「長嶋茂雄少年野球教室」が開催されました。
千葉日報:長嶋茂雄少年野球教室、4年ぶり開催 G戦士が熱血指導「名誉監督、来年は待ってます」横断幕でエール
ジャイアンツの往年の名選手7名による少年少女たちへの熱のこもった指導を観覧しながら、私は議員になったきっかけの一つであるこの球場を、複雑な思いで眺めていました。

地方議会の権力固定化による「国家的損失」
これから紹介する内容は、私が議員になる前の2013年から2016年までの「長嶋茂雄記念岩名球場」の改築に係る佐倉市議会で発生した「闇の深い」顛末の記録です。
本件を記事にした理由は、以下2点です。
- 権力が固定化した地方議会では、一部議員の利権や面子の維持のためだけに、国家国民の希望をも踏みにじる事案が容易に発生する証左として、よい事例である点。
- 佐倉市議会がなした「恥ずべき議決行為」を、記録として残しておくべきであると考えたこと。
また本件について、佐倉市議会主流会派である、さくら会等がなした行為の要約と結果は以下の通りです。
【最要約した説明】
2015年、国が7億円の国家予算を出して、市の独自財源とあわせ16億円程度で作ろうとした同球場を、さくら会は「0円」にし、国家予算を突っぱねてしまった。結果、その翌年当球場を作るために、佐倉市は大幅に規模を縮小した球場予算6億6,500万円を議会に上程し、そのときは議会が可決した。
結果、長嶋氏の名を冠した球場のために国からあてがわれた国家予算7億円を失った佐倉市は、佐倉市の拠出財源としてはほとんど変わらない予算で、スタンド座席も、硬球用の防球ネットもない、市民球場規模の球場を、長嶋茂雄記念岩名球場として作ることになった。この責任は、すべてさくら会の「0円動議」と、その動議に賛成した議員にある。
【上記の要約をもう少し詳しく説明】
- 【2013年】佐倉市に立地していた市民球場 「岩名運動公園野球場」を 、佐倉市で生まれ育った日本のスーパースターである長嶋茂雄氏を讃える目的で、 「長嶋茂雄記念岩名球場」 と名称変更し、その名前に恥じない球場として改築するプロジェクトが、佐倉市で立ち上がる。
- 佐倉市議会は「岩名運動公園野球場」を「長嶋茂雄記念岩名球場」に名称変更する条例改定に賛成し、さくら会は「長嶋氏の名前に恥じない立派な球場にする」よう市に公式に要請する。
- 本件について、佐倉市は千葉県高校野球連盟や国と交渉を開始。結果、当該球場の改築予算として、総額7億円の国からの交付金が内示される。
- 【2015年】執行部が、上記を踏まえ「長嶋茂雄記念岩名球場」の改築のために、国の予算7億円を含む予算総額16億7,000万円を算出し、佐倉市議会に上程する。
- さくら会がいったんは常任委員会で賛成・可決したにもかかわらず、そのわずか5日後の本会議最終日「0円」に修正してしまう。
- 結果、国が佐倉市に内示をだした「長嶋茂雄記念岩名球場」の交付金7億円は、予算化されず取り下げとなる。
- 【2016年】佐倉市は改めて「長嶋茂雄記念岩名球場」の予算を10億円以上縮小し、総額約6億6,500万円で議会に上程し、市議会で可決。このときは、さくら会も賛成にまわる。
- 結果、予算が大幅減額されたことで、当初計画されていた一三塁側スタンド、バックネット側の広い観客スペース、硬式用防球ネット等が設置できない「一般的な市民球場」の規模で設計、改築される。
- 以上により、「長嶋茂雄記念岩名球場」は高校野球の夏の地区大会予選すら実施できない設備の球場となり、現在に至る。
本件について私は、今でも「さくら会等当時の議員が、佐倉市民と我が国に取り返しのつかない損失を与えた事案」と考えています。なお、球場改築予算「0円」に賛成した議員は、現在でも12名が現職です。
冒頭私が「議員となるきっかけ」として紹介したのは、このような振る舞いをする議会を放置することは許されないと考えたことが、私が議員を志すひとつの契機となったことによります。
次の稿では、本件のはじまりから行政の予算の検討過程までを詳述します。
最近の投稿
- 2025年6月11日高橋議員佐倉市議会一般質問目次
- 夢咲くら館の汚水漏洩問題から考える対策
- 佐倉市における水道水用井戸水のくみ上げと雨水の涵養
- 里山自然公園の民有地買収の経過状況
- 佐倉市の自治会の現状と存続に向けた取り組み
カテゴリー
- 市議会議員は何をやっているのか?
- アゴラ他メディア掲載事例
- 一般質問・討論
- 委員会等
- 議案・提出議案
- 政権公約
- 動画コンテンツ
- 政策・提言等
- 選挙
- 市政報告会・イベント
- お知らせ・日常・メモ
- 書籍・書評
アーカイブ
- 2025年6月
- 2025年4月
- 2025年3月
- 2025年2月
- 2025年1月
- 2024年12月
- 2024年11月
- 2024年10月
- 2024年9月
- 2024年8月
- 2024年6月
- 2024年3月
- 2023年11月
- 2023年10月
- 2023年9月
- 2023年7月
- 2023年6月
- 2023年4月
- 2023年3月
- 2023年2月
- 2023年1月
- 2022年12月
- 2022年11月
- 2022年10月
- 2022年7月
- 2022年6月
- 2022年5月
- 2022年3月
- 2022年1月
- 2021年12月
- 2021年11月
- 2021年10月
- 2021年9月
- 2021年8月
- 2021年7月
- 2021年6月
- 2021年5月
- 2021年4月
- 2021年3月
- 2021年2月
- 2021年1月
- 2020年10月
- 2020年9月
- 2020年8月
- 2020年7月
- 2020年6月
- 2020年5月
- 2020年4月
- 2020年3月
- 2020年2月
- 2020年1月
- 2019年12月
- 2019年10月
- 2019年9月
- 2019年8月
- 2019年7月
- 2019年5月
- 2019年4月
- 2019年3月
- 2019年2月
- 2019年1月
- 2018年12月