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なぜ、佐倉市議会の委員会は必ず動画公開されなければならないのか

重要な決定ほど、市民の目から見えない現実

佐倉市では、市民の生活や財政に直結する重要な議案が、毎年のように議会で審議されています。
しかし、多くの市民は、その議論の中身を十分に知ることができないまま、最終的な「結果」だけを知らされているのではないでしょうか。

その最大の理由は、実質的な審議の場である「委員会」が、動画として公開されていないことにあります。

■ 重要な議案は、委員会で決まっています

地方議会において、本会議は最終的な意思決定の場です。一方で、条例案や予算、事業の是非、修正の方向性など、実質的な議論が行われるのは、常任委員会や特別委員会です。
つまり、委員会は「政策形成の核心」であり、そこでの議論こそが、市民にとって最も重要な情報であるはずです。

しかし現在、佐倉市議会では、この委員会の審議が動画で公開されていません。

■ 過去の重要議案と「見えない審議」

これまでにも、市民の関心が極めて高い議案が、数多く委員会で審議されてきました。

例えば、長嶋茂雄記念岩名球場の予算問題では、当初計上された予算が最終的に0円となるまで、どのような議論が積み重ねられたのかを、市民がリアルタイムで確認することはできませんでした。

佐倉市立さくら幼稚園の閉園問題では、子育て世代に直結する重大な判断が委員会で行われましたが、その議論の過程は映像として残っていません。本件では、私は全議員中一人、最初の審議で「閉園に賛成」をした議員ですが、その決定は委員会審議を見てなされました。その意味で、賛否はそれぞれありますが、市民に対する説明責任を果たすならば、委員会の動画は公開されるべきだと、この時強く思いました。

草笛の丘の指定管理者審査においては、不可解な「否決」が繰り返されましたが、なぜその判断に至ったのかを、市民自身が検証する手段は限られていました。

また、千葉県内で唯一となる市職員向け持ち家手当の復活についても、財政や公平性に関わる重要な論点が委員会で議論されましたが、その様子は公開されていません。

このほか、まちづくり協議会の決算審議における議員の強い言動や、委員会動画公開そのものを議論する議会改革推進委員会が非公開で行われている状況など、市民が「確認したい」と感じる場面は少なくありません。

■ これから控える、さらに重要な判断

今後も、佐倉市では重大な政策判断が続きます。

  • 小中学校の統廃合
  • 西志津多目的広場の売却を含む利活用方針
  • 里山自然公園をめぐる、数億円規模の民有地買収
  • 高齢者向け事業の継続や見直し
  • スマートオフィスプレイス事業の今後

これらはいずれも、市民生活や将来世代に直接影響する重要案件です。そして、その審議の中心は、すべて委員会で行われます

■ 「知る権利」が時間切れになる現実

現在、委員会を傍聴しない限り、市民が議論の中身を知る手段は、後日公開される議事録に限られます。
しかし、その議事録が公開されるまでには、およそ2〜3か月を要します。

3か月後には、すでに物事は大きく進み、社会的な関心や時事性は失われています。
発言のニュアンスや議論の応酬、委員会の緊張感は、文字だけでは十分に伝わりません。

結果として、
「市民にとって重要な議案ほど、何が議論されたかわからないまま結論だけが示される」
という状態が、繰り返されてきました。

■ なぜ、委員会は動画公開されなければならないのか

委員会の動画公開は、議員を縛るためのものではありません。
市民が、議論の過程を自ら確認し、判断するための最低限の前提条件です。

不規則発言や課題があるのであれば、なおさら公開し、改善していくべきではないでしょうか。
「問題があるから公開しない」という考え方では、問題は永遠に改善されません。

委員会の動画公開は、理念ではなく、市民生活に直結する現実的な必要性です。
重要な決定が、見えない場所で行われ続ける議会でよいのか――その問いは、今後も消えることはありません。

私は、これからも記録を残し、言葉で問い続けていきたいと考えています。

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