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「政治屋」と「政治家」を分かつもの

前安芸高田市長の石丸氏による地域政党「再生の道」の話題が、昨日ニュースをにぎわせていました。
この政党の眼目は「政治屋の一掃」と読みました。この言葉を政治家が使う時、「自分は政治屋ではない」という前提がなければ成立しません。

◆会派という党議拘束

日本の地方議会の多くは、政党や守りたい利権ごとに「会派」を作り、その会派で賛否を拘束することで、権力を維持する仕組みをとっています。

確かに、政党や会派は、政策実現のためにある程度の「方向性の一致」は必要でしょう。しかし、その「ある程度」が度が過ぎれば、議員の主体性を圧殺し、立場の弱い議員は単なる「親分のための賛否マシン」に堕してしまうことになる。

なお、ここまで党議拘束、会派拘束が徹底している民主主義国は、日本をおいてほかに知りません(イギリスは、下院においては強い党議拘束がありますが、地方議会においてはその限りではありません。また韓国も、地方議会では地域の実情にあわせ、党議拘束は必ずしも強くないようです)。

議会は、市区町村の予算について、「やるorやらない」を決める全権を持っています。そのため、議会の過半数が常に同じ賛否に固定されている場合、「過半数会派軍団」に、市長は逆らうことができなくなります。

総勢28名の佐倉市議会では、さくら会、自由民主さくら、公明党の3会派18名が、過去6年に渡り「同じ賛否」で固定されています。一年間の一般財源の予算を500億とした場合、3000億円の執行を、この3会派が決めています。

この佐倉市議会の状況は、私が知る限り「異常な議会」です。しかし、人間とは不思議なもので、中にいるとそれが当たり前になってくる。そのような「政治家の慣れ」を回避することも、多選を禁止する理由なのかもしれません。

もちろん、単に「野合」ではなく、この18人の議員たちが、「正しい」と思う政策に投票した結果、総額3000億円の事業について「たまたま固定された賛否」になった可能性も否めません。

◆「政治屋」と「政治家」を分かつもの

では、彼らが「野合である」あるいは「利権集団である」と私が断じている理由はなんでしょうか?

それは、彼らから、「賛否の割れた議案」について、説得的な説明を聞いたことがないからです。

例えば、長嶋茂雄記念球場の「0円動議」の理由
長嶋茂雄記念岩名球場「予算0円」の闇 ①

過去2回に渡り繰り返された「草ぶえの丘指定管理者の否決」
前編:草ぶえの丘等指定管理者の「否決」からひも解く「佐倉市議会という病」

数億円を費やす謎の事業「里山自然公園の民有地買収」に関する「優先順位が高い理由」。
佐倉里山自然公園の民有地買収と基本構想について
これらだけで、十億円単位の予算が費やされている。

また、多数市民と執行部とで拗れた大問題として多くの報道があった「佐倉幼稚園存続問題」について、さくら会らが一年存続を決定したとき、「これだけ執行部と市民の信頼関係が損なわれてしまったのだから、存続するなら、外部諮問機関に諮問すべき」とした提言を無視した理由も、聞いたことがありません。
2024年8月議会最終日討論:佐倉市公立幼稚園の閉園について

結果、市民の議会への「なけなしの期待」は、さらに大きく失墜しました。一方で、市民の議会への関心がなくなれば、「組織票頼み」の彼らの思う壺かもしれません。

そして、せめてそれら決定プロセスの透明化を進めるため、多数の市民や私を含む議員が「委員会などの会議体の動画公開」を提案しても、否決し続けているのもさくら会、自由民主さくら、公明党です。なぜでしょう?
それは、彼らは「親分の言いなり」であるが故に、「自分たちの議会の議論を秘匿したい」からです。

冒頭の「政治屋とそうでない政治家」を分つものとは、「賛否について、市民の皆様に自分の口で説明できること」だと考えます。そのためには、政治の透明化は必須なはずですが、そこを阻害しようとする議員も、私は「政治屋」と定義します。

会派の親分の言うことを聞いて、「賛否投票マシン」となっている「政治屋」は、確かに一掃されるべきでしょう。その点は、石丸氏に大いに賛同します。

◆佐倉市の政治屋を一掃するために

あわせて、ここがとても大切ですが、佐倉市でも、ぜひ「政治屋の一掃」をするために、多くの「若い候補者」が次回選挙に立候補していただきたいと思っています。

イデオロギーは、保守でも革新でもかまわない。政治家は、市民の声を聞き、自分で考え、正しいと思った賛否を表明し、市民に説明すること、そしてそれを繰り返すことだと考えます。その地道な活動により、市民に評価してもらうことで、選挙の洗礼を受ける。少なくとも、盆踊りをおどり、自治会でボランティア活動をし、ママ友会でお酒を飲むことで票集めをし、説明や議会の透明性を高めることを忌避する議員にはならないでください。

このままでは、佐倉市は利権の温床のまま変わることができずに衰退していくのみです。
政治の道は、確かに茨の道です。しかし、志がある若い世代の方々は、ぜひ「自分の言葉」で挑戦してみてください。
私も、出来る限り応援させていただきます。

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