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佐倉市議会で否決:コロナ禍中の市議会議員報酬削減について

今回は、コロナ禍期間中の「議員報酬削減」議案に関する顛末をお話します。

結論から申し上げれば、当該趣旨の議案は、佐倉市の6月議会に「市民オンブズマンひまわり会」より上程され、私も提出議員の一人として名を連ねましたが、賛成10、反対17という結果で否決されました。
令和2年度における議会の議員の議員報酬及び特別職の職員の給与の特例に関する条例

本件は、考えさせられることの多い事案でした。

あまり語られることのない議会内の動きについて公開することは、市民の方々にはもちろん、議員を志す方にも有用な情報かと思い、できる限り経緯を含む顛末を公開させていただきます。

◆背景

新型コロナウイルス蔓延に伴い、日本の経済活動が大幅に制限されることとなりました。特に4月7日の緊急事態宣言発令以降は、政府による外出禁止要請や事業の休業要請をはじめとする諸政策により、長期にわたり市民生活に深刻な影響を及ぼす結果となりました。

◆問題意識と異論

市議会議員は、税金を原資とする報酬体系であるため実質的な経済上の痛みを感じることがありません。そのような立場にある者が、本件について市が提案する規制・補償政策を決定する権限を持ちます。このような状況について、市民感情として納得感は得られないと考えました。

本件については、事前に複数の市民の皆さまと協議しましたが、やはりほとんどの方は「議員報酬削減に賛成」の立場でした。他方、ごく少数でしたが、当該議案に懐疑的であった方もおられました。その理由の代表的なものをあげると

議員は議会での議案審議や提案により、市民のために働くのが筋であり、単に報酬を削減するのはパフォーマンス以外の何物でもない

というものです。

確かに、このご意見には考えさせられました。単に「市民感情として納得感を醸成するために議員報酬を削減すべきだ」というのは、パフォーマンスでないとは言い切れません。

しかし、たくさんの市民がコロナ禍で経済的な影響を受けている中、報酬等経済的にはまったく影響を受けない議員が、市民に寄り添った補償制度を検討・決定できるでしょうか?

さらに深堀りすると、仮に「できる」とした場合でも、市民感情として「納得感」が得られるだろうか?という自らに対する問いに答えるには、例えパフォーマンスと言われようと、しっかりアクションを起こすことが必要であると考えました。

以上の通り、「市民の納得感」や、「信頼関係構築」をする手段として、議員報酬削減という覚悟を示すことは「パフォーマンスを超えたところで必要な措置だ」という立場で、当該趣旨の議案について、議員間での賛成票獲得活動を開始しました。

◆経緯

1.臨時会招集作戦「失敗」

佐倉市議会にて、市議会議員の報酬削減に関する議論・調整をするため、臨時会の開催を打診すべく、4月14日に議案の素案送付を含め、複数会派の代表や議員に声かけを開始しました。

この時点での私の作戦としては、当該議案を協議するため臨時会を招集し、臨時会の場で全議員の合意点を確定させることでした。

臨時会の招集は、市議会の場合1/4の議員(佐倉市議会の場合7名)の賛同が必要です。そこで、要旨をまとめた文書を作り、各会派の長に電話やミーティングで打診を続けました。

しかし、残念ながら臨時会招集に必要な7名の賛同議員が集まりませんでした。ここで一つ目の躓きです。なお、この段階で本件に賛同した議員は、市民オンブズマンひまわり会の藤崎議員、宇田議員、無会派の玉城議員と私の合計4名でした。

なお、賛同議員が3名いれば、佐倉市議会では「議案の提出」まではもっていけます。

しかし本件は、純粋な政策論争ではなく、「議員報酬削減」という議員の覚悟を問う議案です。

政策論争ではない以上、仮にこれまでのように簡単に本会議で否決された場合、それこそ「議案は出しましたよ」という単なる私のパフォーマンスになってしまう。本議案については、その思いが終始私についてまわりました。

この件だけは、上程するからにはなんとか可決に持っていかなければならない。そんな中、突然無会派の私が条例案を上程し、委員会→本会議に持ち込んでも、可決される可能性はゼロです。

その意味で、まずは臨時会にて全議員出席の元、最低でも7名での賛同議員と協力して説得し妥協点を模索すれば、可能性は0ではないと考えました。

しかし、賛同議員の不足により、残念ながら臨時会招集の道は断たれました。完全に、私の力不足です。

2.議員による募金作戦「失敗」

上記のとおり調整をはかる中で、先輩議員から「一律報酬削減案を、会派でまとめるのは無理だが、議員任意の募金ならばどうか」という知恵をいただきました。佐倉市議会全体として取り組めば、公職選挙法の例外として扱われる可能性があるのではないか。

私は、議員報酬一律削減ができない以上、佐倉市議会が全会一致で実施できるなら検討に値する、と考えました。そこで、選挙管理委員会にあたってみましたが、やはり募金はどのような方法をとっても公職選挙法違反になる可能性が高い旨回答を得たので、それも断念せざるを得ませんでした。

3.申し出議員のみ報酬カット条例作戦「失敗」

その後、相談していた別の先輩議員から、議員提出議案として条例改正案を提出してはどうか、と打診を受けました。

具体的には、単に「一律1年間10%議員報酬カット」とするのではなく、議員中申し出た議員のみ「1年間10%議員報酬カット」という建付けの条例にすれば、他の議員の賛同も得られるのではないか、というものでした。

これはいけるかもしれない。私としてはブレイクスルーできる可能性をもつ方法に思えました。さっそく選挙管理委員会に打診しましたが、「申し出た議員のみ」とした場合、「申し出た議員」の報酬カット分が寄付行為とみなされるかもしれないという理由で、これも公職選挙法違反にあたる可能性が高いとのことでした。

時間をかけ、自分なりに法律を精査してみる手もありましたが、同時並行で進めていた調整も芳しい方向には進まず、仮によく練られた条例案ができても可決される可能性がほぼなくなったこともあり、本件に対する私の作業はその時点で終了させることにしました。

先にお伝えしたとおり、私は本議案については「否決されるために議案を上程」することに意味を見出せませんでした。

それ以降、もっぱら「市民オンブズマンひまわり会」の宇田議員が、議員や市長などの特別職も含む形で、報酬等1年間10%カット条例の提出までもっていきました。

◆結論

本議案に対する議決結果は、冒頭お話したとおり賛成10、反対17で否決されました。もちろん、私は本議案に賛成しました。

私が調整したときは議案の趣旨に難色を示していた会派も賛成されたことを考えると、議案提出されたことに意味があった、という見方もできます。他方、佐倉市議会では想像通り否決されてしまいました。

本記事を書いている今も、例え否決されるとわかっていても、議案提出をした宇田議員のほうが正しかったのではないか、という思いもあります。

皆さまは、いかがお考えでしょうか?

いずれにしても、当該趣旨の議案が佐倉市で可決されなかったのは、私の力不足も要因の一つであった点は否めません。

謹んで、お詫び申し上げます。

以上、本件に関する報告とさせていただきます。

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