- 2022.03.30
2022年3月28日:佐倉市コロナ交付金の手続き上のミスに係る損失に関する議会討論原稿の公開
◆目次
佐倉市コロナ交付金の手続き上のミスに係る損失と経緯の報告
佐倉市コロナ交付金問題:類似事案を発生させないための方策の検討
討論原稿を公開するにあたって
本件に関する経緯については、こちらの論考をご確認ください。
経緯を確認いただいた方の中には、佐倉市の交付金担当者の事務上のミスに憤りを感じる方がおられるかもしれません。
確かに、「ミスさえしなければよい」という理屈はそのとおりですが、人為的なミスは必ず発生します。
私は、むしろ今般の問題が発生した根本原因を「今の佐倉市に横溢する緩み」ととらえ、佐倉市のマネジメント上・体制上の課題の洗い出しとその対策策定と公表を執行部に求めました。
討論とは、議案に対して議員や会派がどう考え、どのような課題意識を持ち、結果執行部に対する意見や要望を伝え、賛否の理由を申し述べる重要な場です。
なお、今回の議会では、佐倉市議会の最大会派であるさくら会以外の会派すべてが討論を実施しました。
討論を実施しないということは、つまり本件について「なんの課題意識もない」という意思表明に外なりません。
以下、私が3月28日臨時会になした討論原稿です。
2022年3月28日臨時会 髙橋とみお討論
本件は、
- 国から佐倉市へ示された総額約18億8500万円の新型コロナウイルス対策等臨時交付金のうち
- 佐倉市が令和3年度分として見込んでいた交付限度額約5億3000万円について
- 佐倉市と千葉県との間で事務上の齟齬が発生したことを原因として、令和3年度への繰り越し事務手続きができていなかったことにより
- 令和3年度分として、佐倉市が当該臨時交付金を前提に使用した分のうち約4億2500万円を国に返還し、そのすべてを佐倉市の一般財源からあてることとしたい、とする件について
市長が議会に承認を得ようとするものです。
佐倉市にとって、一般財源で真水の4億2500万円はあまりに大きな損失ですが、私は本件に賛成いたします。
その理由は、否決すれば国への延滞金が発生するため、これ以上傷を広げないためには、確かに賛成以外にあり得ないと考えたからです。
他方、まず執行部から本日議会に提出された説明資料で強烈な違和感があったのは、本件の発生原因を
「千葉県において当該繰越明許費に係る翌年度にわたる債務の負担に要する手続がなされていないことが判明し、対象事業に充当できない額が生じた」とまとめていることです。
この説明では、問題の発生原因が書かれていないため、繰り越しできていない理由は「繰り越し手続きをしていない」千葉県にあり、佐倉市に瑕疵はないことになります。そうであるならば、佐倉市としては絶対に千葉県に譲ってはいけない。訴訟を起こしてでも県の責任を追及するべきでしょう。
本件は、結果的にいえばそうではない。佐倉市にも瑕疵があった、そこを公式資料でも認めなければ前に進めません。
役所の理論としては、公機関の無謬原則や、担当職員や部門を守ろうとするあまり、あのような表現となったのかもしれない。しかし、このような習慣は市民をはじめとする一般社会との認識・常識の乖離や断絶が発生するうえ、結果的には特に担当者を長く苦しめることになります。
佐倉市役所としてやるべきことはやり、結果どうしても繰り越しできないと腹をくくったのであれば、少なくとも自分たちにも事務上、マネジメント上の手違いがあったことを公式文書で認めたうえで、議会に承認を得なければなりません。
つきつめれば、今回の問題の発生は、今の執行部がかかえる「そのような問題との向き合い方」が直因であったと考えます。
さて、本件について、会派に所属していない私たち3名の議員は、議案提出とあわせ執行部に以下2点を要望しました。
- 本件に対する市の対応
- 再発防止の具体的な対策の提示
本日の執行部からの説明を聞く限り、上記2点について十分な回答があったとは思っておりませんが、確かに問題が確定してから本日まで日が浅いこともあるので、説明が不十分である点は理解します。
他方、その点の説明がセットになっていない中、白紙委任で賛成することはできません。
特に「再発防止の具体的な対策」については、近日中に執行部からの説明を求めます。
もし、十分な時間がたってなお再発防止について具体性のある対策が提示されない場合は、「私が本件に賛成したことは間違っていた」旨を、市民の皆さまに謝罪したうえで、対策の提示がない点について伝え、批判を展開しますのでご留意ください。
今回は、執行部から出てくるであろう対策が、実効性のあるものであることを信頼して賛成します。
以上、ご賛同くださいますようお願いします。
※髙橋注:討論では「 約4億2500万円 」とある個所を「 約4億3000万円 」と発言しましたが、正確を期すために、本原稿では 「 約4億2500万円 」 としました。
※髙橋注:討論は、事前に行われた議会運営委員会にて、公明党の委員長、さくら会の4名の委員、自由民主佐倉の1名の委員により、コロナ禍の蔓延防止措置を理由に、一人5分に制限されたためにそれにあわせた原稿としました。
私の意見としては、千葉県の蔓延防止措置は、当該臨時会に先立つ3月21日に終了していたことや、本件の重要性に鑑み、発言時間の制限をするべきではなかった(少なくとも、5分をめどとし、あとは討論をする議員の裁量にまかせようとした委員の意見のとおりとすべき)と考えております。
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