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佐倉市で実施すべきと考える「若者議会」の概要

若者が街づくりに参加すること

これまでの記事で、若者が自主的に街づくりに参加することの必要性を書きました。
開かれた市政、開かれた議会実現のために
「若者議会」を考えるようになったきっかけについて
次に、日本で実施されている「生きた施策」として、愛知県新城(しんしろ)市の事例を紹介しつつ、佐倉市でも取り組むべきと考える「若者議会」の概要を紹介したいと思います。
新城市のこの取り組みは、ネットで検索すると相当しっかりした紹介記事をたくさん見つけることができます。
最下段では、私が拝読した中で特に参考になったサイトや資料を紹介しますので、適宜参照ください。

愛知県新城市の「若者議会」について

1.愛知県新城市について

愛知県の豊橋市の北に位置します。2005年の合併で、面積としては愛知県で2番目に大きな基礎自治体です。
以下が、基礎数値です。佐倉市と比較できるよう列挙形式で紹介します。

面積
新城市:499.23㎢
佐倉市:103.69㎢

人口
新城市:約4万6千人
佐倉市:約17万6千人

歳入(平成30年度)
新城市:249億7,000万円
佐倉市:481億1.100万円

議員定数
新城市:18人
佐倉市:28人

2.若者議会の目的

これは、「新城市若者議会」の公式サイトにある、「What’s 若者議会?」というページにまとめられているので、少々長いですがそのまま引用させていただきます。

新城市若者議会は「新城市若者条例・新城市若者議会条例」に基づき、平成27年4月1日に設置されました。若者が活躍できるまちにするため、若者を取り巻くさまざまな問題を考え、話し合うとともに、若者の力を活かすまちづくり政策を検討しています。予算提案権を持ち、予算の使い道を若者自らが考え政策立案します。さらにそれを市長に答申し、市議会の承認を得て、市の事業として実施されます。こういう一連の仕組みやサイクルが、日本で初めて条例で定められています。
新城に対するさまざまな意見・想いを持つ若者同士、新城について語り合いながら「新城のこれから」について若者の視点で考えます。若者が活躍できるまちを目指して、新城市では若者の一歩を応援します。

以上のとおりです。 要は、「どうすれば若者の意見を市の政策に反映できるのか?」という問いから「若者たち自身で予算の使い方をデザインしよう!」というアプローチで政治参加する手法、といえそうです。

3.若者議会の役割と権利

新城市の若者議会は、市長の諮問機関として、年間1,000万円の予算の使い方を提案できます。具体的な提案プロセスは下段に譲りますが、これは画期的な手法であり、2019年1月段階でここまで大きな予算提案権を持つ若者議会は、他の基礎自治体では存在しません。
例えば、若者が「夜間勉強する場所がほしい」と思ったときに、自分たちで「どんな勉強場所が理想か」を考え、具体的な実現方法を市長に提案できるというわけです。
ここでの政策決定は、先の私の投稿のような「大人しか介在しないプロセス」ではなく、「若者の検討を前提としたプロセス」となり、政策の有効性はもちろん、若者の能力開発、佐倉市への貢献や帰属意識の醸成にも、当然に役立ちます。
なお、委員の報酬は1日3,000円とのことです。
さて、新城市の場合、仮に市長が交代したとき等に備えて、若者議会の制度を条例で定めている、というのも特筆すべきでしょう。もちろん、事業を継続していくうちに役割や規模が変わっていく可能性もありますが、少なくとも条例で規定されていれば、市長の専横によっていびつに変えられるような事態は避けられます。

4.若者議会の構成と流れ

構成と流れについては、「若者議会」の公式サイトに掲載されていた図がわかりやすかったので、それをもとに作成してみました。

新城市若者議会の流れの図
まず、若者議会の構成員について、条例でも記載があるとおり、以下の条文要件を満たす若者が応募します。人数が定員を超えるなどの場合は、条文を読む限り市長が選任権をもっているように読めます。
栗本拓幸氏がサイトで指摘しているとおり、このあたりの選定方法については、今後『「代表性」を如何に確立するか』が課題であるといえそうです。

第4条 委員は、次に掲げる者のうちから、市長が委嘱する。
(1) 市内に在住、在学又は在勤する若者であって、おおむね16歳からおおむね29歳までのもの
(2) 前号に掲げる者のほか、市長が必要と認める者
(3) 委員の任期は、1年とする。ただし、補欠委員の任期は、前任者の残任期間とする。
(4) 委員は、再任されることができる。

さて、上図であまり聞きなれない「諮問」や「答申」という言葉がありますので、ちょっとだけ解説させてください。
新城市の若者議会のような建付けの組織は、「諮問機関」と呼ばれます。諮問機関とは、『行政庁からの諮問に応じて意見を答申する権限をもつもの。』(ブリタニカ国際大百科事典)で、新城市の若者議会の場合、市長から「今年度の若者の意見って、どんなものでしょう?」と意見を尋ねられる機関、というわけです。若者議会としては、市長から尋ねられたので、しっかり意見をまとめて市長のお尋ねに答える必要があります。その「答える」という行為が「答申」と呼ばれるものです。
新城市の場合、だいたい5月に若者議会が招集され、11月に市長に答申するスケジュールのようですから、7ヶ月かけて事業検討することになります。
「答申」は、法的拘束力を持ちません。先の説明のとおり、若者議会は「1,000万円をどう使うか?」を、一生懸命検討するのですが、それを執行するか、つまり市として実施するかどうか、は、最終的には議会の賛成多数を得る必要があるのです。
とはいえ、議会としても、議会に上がってきた内容を否決するには、相応の理由と覚悟が必要です。事実、2015年から続く新城市の若者議会から発案され、市長により上程された議題が否決された実績はありません。

5.若者議会の広がり

若者議会を設置し、継続運営する効果については、実に多岐にわたる視点が必要で、それだけでも相当の文章が必要となります。
簡単に俯瞰しただけで、若者議会で検討・実施された議案の効果という直接的なものから、若者議会に参加した若者、参加していない佐倉市の若者、若者議会に年齢的に参加資格のない佐倉市の子供、佐倉市民全体、について、その教育的、あるいは啓発的な効果を見る必要があるでしょう。
その他、新城市のように複数年度にわたり実施することで、草の根のような人的つながりが形成される効果も見過ごせません。
最後に、下段にも紹介している「若者議会、その先へ! ―さらなる発展を試みる」と題された愛知大学地域政策学部鄭ゼミの報告書に記載されていた、アンケート結果の分析を紹介したいと思います。以下の引用文は、同ゼミが報告書を作成するにあたり、新城市在住の高校生19人に対して聞き取りとアンケートを実施した結果です。

「新城市は、若者の想いや意見を取り入れた政策を行っていると思うのか」という質問に対し、6割以上が反映していると答えていて、「思わない」と答えたのは5%に過ぎない。(中略)一方で、将来新城市への定着に関する質問には、68%が残るつもりであると答えている。

もし現在の佐倉市でこのようなアンケートを実施したときに、どのような回答が得られるでしょうか?興味深いところです。

平成30年度、新城市若者議会の全体にかかった予算は、提案できる予算上限が1,000万円、その他委員報酬、市外委員等報奨、先進地視察費、消耗品費、広報・広告費、議事録作成費、CATVでの放送委託費等を足し合わせて約700万円の、合計約1,700万円です。この予算は、佐倉市議会議員2名分の報酬等で賄える金額です。
市議会議員の定数について、現状の28を維持することが大切か、2名減らして若者議会の設置をすることが大切か、この記事が考えるきっかけになればうれしく思います。

※末筆になりますが、私の取材に快く応じてくださった新城市役所のご担当者様に、改めてお礼申し上げます。


6.参考サイト/資料

新城市若者議会公式サイト

新城市若者議会条例

新城市の「若者議会」に関する考察

若者議会とは?愛知県新城市の若者政策の取り組みをがっつり紹介します!

新城市の若者議会から考える国内における若者政策の発展

若者政策推進議連発足へー若者の意見は政治に反映されるようになるのか?

第59回 若者が活躍できるまちを目指して~愛知県新城市の「若者議会」の取り組み

【PDF】平成31年度 若者予算事業答申書 [125KB]

【PDF】若者議会、その先へ! さらなる発展を試みる- 愛知大学 [1.2MB]

【PPTX】新城市の概要,若者議会の活動.pptx – 愛知大学 [6.2MB]

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